プロトタイプ開発とは?メリット・注意点や適している案件の特徴などについて徹底解説します
- [更新日]2022/02/25
- [公開日]2022/02/25
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目次
プロトタイプ開発とは?メリット・注意点や適している案件の特徴などについて徹底解説します
Webサイトやスマートフォンのアプリ開発では、多くの場合、開発チームが要件を定義して設計・実装を行います。しかし、この方法では最終的な製品がユーザーにとって使いやすいのか、ユーザーが本当に必要としている製品になっているかどうかがわからず、実装完了後に大きな手戻りが発生する可能性があります。
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プロトタイプ開発とは、システムの本実装を開始する前に試作品(プロトタイプ)を作成し、試作品を使って使い勝手や機能の妥当性を検証してから本実装を行う開発手法です。
これらの特徴により、本実装に着手したあとの仕様変更が起きにくくなり、実装後の手戻りが少なくなります。
ウォーターフォール開発とは、システム全体を要求分析→設計→実装→評価→リリース/運用の順に開発していく手法です。水が滝を流れるように、システム全体を上流工程から下流工程へ順番に開発していくことからこの名前がつきました。
アジャイル開発は、システム全体を機能単位でいくつかの小集団に区切って、小集団ごとに開発/評価/リリース/運用を繰り返しながらシステム全体を仕上げていく開発手法です。最初のリリースの段階でシステム全体を作り込む必要がないため、開発スピードが速くなり早い段階で運用を開始できます。
プロトタイプ開発には次の3つのメリットがあります。
プロトタイプ開発では、本番開発の前に試作品によるユーザー評価を実施します。ユーザーは開発の早い段階で試作品を使って機能の使い勝手やデザインの確認やフィードバックをすることが可能です。
プロトタイプ開発では、試作品の段階で技術検証が可能です。もしもシステム開発における技術的な課題があった場合は、本番開発に入る前に課題を洗い出せます。また、試作品を評価することで、不具合やバグが多くなりやすい機能を早い段階で見つけられるところがメリットです。
試作品による検証によって、不具合やバグが多くなりやすい機能を把握できます。本番開発では不具合が多くなりやすい機能にスキルの高い開発者をアサインしたり、評価を手厚くしたりといった対策が行えるので、最終完成品の品質を高められます。
プロトタイプ開発には次のようなデメリットもあります。
プロトタイプ開発は、試作品の開発と本番開発の2フェーズの開発が必要になり、その分多くの工数がかかります。試作品の開発で作成したコードは本番開発にも流用できるので完全な二重開発にはなりませんが、流用するよりもはじめから実装し直したほうが早いケースもあり、試作品のコードの全てを本番開発で活かせるわけではありません。
プロトタイプ開発で試作品を作る段階では、仕様が全て固まっているわけではありません。そのため、試作品を評価していく中で必要な機能数が多いことが判明し、当初の予定よりも開発期間が長引くことがあります。
大規模システムでは、プロジェクトに関わるステークホルダーの人数が多くなります。試作品を評価する人数が多くなると、関係者のスケジュール調整が大変になり、評価するまでに長い時間がかかり、逆に効率が悪くなってしまう可能性もあります。
プロトタイプ開発が適しているのは次のような案件です。
ここからは、プロトタイプ開発の開発工程を解説します。
システムに実装する機能やコンテンツなどの要件を定義します。ユーザーの操作性や反応速度といった非機能要件も漏らさず定義します。最終的に要件を固めるのは試作品評価のあとなので、試作品を動かしながら要件を固めていく箇所は、試作品が作れるレベルでゆるく定義しておくとよいでしょう。
要件定義が出そろったら設計に移ります。この段階では、機能の基本設計やざっくりした画面フローを作成します。詳細な設計は試作品による検証のあとになるため、ここでは試作品が作成できるレベルの設計にとどめ、試作品の開発に早く移行することを重視しましょう。
試作品の開発では、まず試作品として必要な要素を整理します。具体的には、試作品で何を検証したいのかを発注者側と開発者の間で認識を合わせて、どんな試作品を作るか(どの機能、どの画面をどこまで試作するのか)を決定します。
作成した試作品をユーザーやクライアントにも評価してもらい、機能や操作感がユーザーのイメージやコンセプトに合っているかを確認します。
評価で挙がったフィードバックを元に試作品を改善する工程です。評価の段階で仕様変更や、試作品に追加したい機能の要望があれば、それらにも対応します。
試作品による評価で、最終完成品の要件や仕様が固まったら本番開発に移ります。本番開発ではシステム全体の設計・実装・評価を行い、最終完成品を作り上げたら、いよいよリリースです。
プロトタイプ開発の特徴やメリット・デメリット、他の開発手法との違いを解説しました。
このように、手遅れになる前に試作品を使って事前検証を行う開発手法が、「プロトタイプ開発」です。本記事では、プロトタイプ開発の特徴やメリットやデメリット、他の開発手法との違いを解説します。
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1. プロトタイプ開発とは
プロトタイプ開発には次のような特徴があります。
試作品として作成するのは、ユーザーに見えるデザイン部分やユーザーが操作するインターフェース部分が中心です。紙に手書きで画面フローを描くペーパープロトタイピングや、ツールでユーザー画面デザインを描いたモックアップも試作品に含まれます。
試作品は、最終仕様に対してどこまで忠実に作るかによって、ローファイ(Low Fidelity)とハイファイ(High Fidelity)に分けられ、大ざっぱな試作品はローファイ、最終仕様に近い試作品はハイファイと区分します。
システム開発でよく用いられる開発手法には、プロトタイプ開発の他に、ウォーターフォール開発やアジャイル開発があります。それぞれの手法は開発プロセスが異なるので以下の表にまとめました。
プロトタイプ開発
要求分析 → 基本設計/UIデザイン → プロトタイプ開発(詳細設計/実装/評価)→ 本番開発(設計/実装/評価) → リリース/運用
ウォーターフォール開発
要求分析 → 設計 → 実装 → 評価 → リリース/運用
アジャイル開発
要求分析 → 機能A開発/リリース/運用 → 機能B開発/リリース/運用 → 機能C開発/リリース/運用 → ・・・
プロトタイプ開発とウォーターフォール開発との違い
ウォーターフォール開発は、要求分析の段階でシステムの開発規模が把握しやすいため、工数見積やスケジュール管理がしやすいのが特徴です。その一方で、ユーザーが評価できるのはシステム全体が完成したあとのため、開発の後半でユーザーからの仕様変更や使い勝手改善といったフィードバックを受ける可能性があり、手戻りが大きくなるリスクがあります。
プロトタイプ開発は、試作品のユーザー評価のフィードバックを本番開発にインプットできるため、最終完成品の見た目や操作感などの使い勝手に関する品質が高いです。その一方で、試作品の実装/評価を行う工程が増えるので開発スピードは遅くなりやすく、プロトタイプ評価のフィードバックを受けてからでないと開発規模が読みづらいというデメリットもあります。
プロトタイプ開発
ウォーターフォール開発
品質
◯
プロトタイプ評価のフィードバックを本番開発に反映できる
△
ユーザー評価がシステム完成後になる
開発スピード
△
プロトタイプ開発が必要な分時間がかかる
◯
要件定義後、すぐに本番開発に着手できる
プロジェクト管理のしやすさ
△
プロトタイプ評価するまで開発規模が見積もりにくい
◯
要件定義した段階でシステムの開発規模が見積もれる
プロトタイプ開発とアジャイル開発との違い
また、実際の運用から得た使い勝手などのフィードバックを次の機能開発に反映できるため、最終完成品がユーザーにとって使いやすいのも特徴の一つです。その一方で、システム開発中にユーザーからのフィードバックが入ることで仕様変更が発生しやすく、スケジュール管理がしにくいというデメリットがあります。
プロトタイプ開発では試作品評価が終わった段階でシステム全体の仕様が固まり、開発規模を見積もれるので、本番開発フェーズではアジャイル開発に比べて仕様変更が少なくなり、スケジュール管理がしやすいです。
プロトタイプ開発
アジャイル開発
品質
◯
プロトタイプ評価のフィードバックを本番開発に反映できる
◯
ユーザーからのフィードバックを開発に反映できる
開発スピード
△
プロトタイプ開発、本番開発を経てリリース
◯
リリース対象の機能が完成した段階でリリース
プロジェクト管理のしやすさ
◯
プロトタイプ評価で仕様が固まる
△
逐一フィードバックが入り、仕様変更が起こりやすい
2. プロトタイプ開発のメリット
顧客との認識ズレが防げる
もし、ユーザーと開発者との間に仕様に関する認識のズレがあった場合も、早い段階で気づけるので、本番開発ではユーザーの意図を正しく反映できます。
不具合やバグの早期発見につながる
洗い出された課題によっては、開発者の増員や新しいツールの導入などの対策が必要なケースもありますが、開発の早い段階でこれらの対策の必要性を検証して準備できるため、開発スケジュールの変更を最小限に抑えられます。
品質が高い状態で提供できる
3. プロトタイプ開発のデメリット・注意点
莫大なコストがかかる
限られた予算の中でプロトタイプ開発を採用する場合、「ユーザーに一番使われるインターフェース」といった特に重要な機能に絞って試作品を作ることでコストを抑えられます。プロジェクトの最初の段階で、どこまでを試作品として作り込むのか、関係者で取り決めておきましょう。
プロジェクト期間が長期化する恐れがある
プロトタイプ開発では、試作品を開発・評価する段階で仕様が固まりきっていないことを考慮し、最初から余裕をもった開発スケジュールを組むことが大切です。
大規模なシステム開発に向いていない
開発規模が大きい場合は、アジャイル開発など、他の開発手法を検討しましょう。
4. プロトタイプ開発が適している案件の特徴
5. プロトタイプ開発の開発工程
①要件定義
②設計
③プロトタイプ開発
試作品の設計を丁寧に行うことで、事前検証の効果が高い試作品を作れるのと同時に、重要ではない部分の試作を省けるため、開発工数を削減することが可能です。
整理ができたら実際に試作品を作成します。異常系処理など、試作品として重要ではない部分の実装は省き、早く試作品の評価に移れることを重視しましょう。
④評価
⑤修正
修正が完了したら再度ユーザー評価を行い、最終完成品の要件や仕様を固めていきます。
⑥本番開発 / リリース
6. まとめ
プロトタイプ開発は開発の早い段階でユーザーによる検証が行え、本番開発前に要件や仕様の精度を高められるのが最大のメリットです。多少工数がかかっても、開発の早い段階でシステムの動作検証や技術検証をしたい場合には、プロトタイプ開発をおすすめします。
開発するシステムの内容や期間、予算に合わせて適切な開発手法を選択することが、システム開発を成功させる重要なポイントです。システム開発を外注する場合は、開発会社とも話し合い、最適な手法を選択するようにしましょう。
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