株式会社Qoonestは独自の「全国観光協会調査」にて全国1518の観光協会ウェブサイトの多言語対応に関して調査しました。主要4言語(英語、中国簡体、中国繁体、韓国語)のうち、最も対応率が高いのは英語で33.1%、次いで簡体語と韓国語が25.4%で最も対応率が低いのが繁体語22.1%という結果になりました。
これだけ多くの外国人観光客が日本に訪れているのに、なぜ観光情報の発信役である観光協会の多言語化が進まないのでしょうか。私は「翻訳費用の高さ」と「翻訳後の検証」がその原因ではないかと考えます。
Googleを使って「ホームページ 翻訳」で検索をしてみました。その内、上位3社の翻訳サービス提供会社の翻訳費用を調べ、共通条件を適用し翻訳を依頼した場合の費用を算出しました。
(条件)
翻訳対象:30ページ
翻訳文章量:1ページ500字
翻訳言語:英語
<A社>
翻訳単価 1文字 約20円
ページ単価 10,000円
翻訳費用 300,000円
<B社>
翻訳単価 1文字 約15円
ページ単価 7,500円
翻訳費用 225,000円
<C社>
翻訳単価 1文字 約25円
ページ単価 12,500円
翻訳費用 375,000円
上記のように30ページ程度の小規模なホームページを英語に翻訳するだけでも約30万円かかります。観光系の場合はスポット紹介が多いため大抵30ページ以上になりますし、翻訳精度を上げようとすれば文化や歴史など専門知識も必要になりますので、それなりの追加費用がかかるでしょう。もし主要4言語全てに対応しようとしたら翻訳費用だけで120万円以上の支出を覚悟する必要があります。このような費用の高さが翻訳対応を遅らせるひとつの原因だと考えます。
誰も検証できない翻訳文
もうひとつの原因は「作り手の多言語対応力の低さ」が挙げられます。多くのウェブ制作会社は社内に翻訳スタッフを抱えていません。そのため、多言語対応のウェブサイトを制作する場合は翻訳作業を外注します。ここまでは何も問題はありません。
問題は翻訳された原稿の検証が制作会社内で行えない、ということです。通常、日本語の場合は制作ディレクタが文章の校正作業を行ないます。しかし、多言語に対応できる制作スタッフは残念ながら非常に少ないため、翻訳文を検証無しでそのままクライアントに丸投げする可能性が高くなります。
最悪なのはクライアントにも多言語検証できるスタッフがいない場合です。この場合は翻訳文がほぼノーチェックで公開されることになります。これは非常に怖いことです。自分たちが伝えたいことと、相手が受け取る情報が全く異なる可能性があるためです。
こういうことが分かっているから制作会社は多言語サイトを積極的に受注しようとしませんし、観光協会(業者)も積極的に多言語化を推進しようとしないのではないでしょうか。そして安易に機械翻訳に手を出してしまうのだと考えられます。
つまり、多言語化が進まない本質的な問題は「翻訳費用の高さ」ではなく「多言語化に対する作り手の意識の低さ」にあると私は考えます。若干悲観的なシメになりますが、今後どれだけ翻訳費用が安くなっても、作り手の多言語化に対する意識が高まらない限り多言語対応率は大幅に向上することはないでしょう。
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EDITOR PROFILE
株式会社クーネスト
清本 秀樹
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