単体テストとは？結合テストとの違いやメリット・デメリット、実施手順を解説

単体テストとは？結合テストとの違いやメリット・デメリット、実施手順を解説

システムやソフトウェアを開発して運用をはじめる前には、必ずテストを実施します。テストは1回行えば良いわけではなく、いくつかの段階を踏んで行われるのが特徴です。

ここでは、テスト工程の最初のほうに行われる「単体テスト」について、その方法やメリット・デメリット、実施手順などを解説します。

単体テストとは？

単体テストは「ユニットテスト」と呼ばれることもあり、プログラムのモジュール、コンポーネントなどの機能単位の動作を単体で確認するテストです。

一般的にテスト工程は以下のように進み、単体テストは最初に行われます。

＜テスト工程＞

• 単体テスト（ユニットテスト）
• 結合テスト（統合テスト）
• 総合テスト（システムテスト）
• 運用テスト（受入テスト）

単体テストは、プログラマーがプログラムを完成させた直後に行われることが多いです。プログラムが動作することはもちろん、求める機能を満たしているかを細かくテストします。

単体テストを実施する目的

単体テストの目的は、それぞれの機能について詳しくテストを行うことで、正常な動作が行われることを担保することです。

上記でご説明したとおり、単体テストは、プログラマーがプログラム完成直後に実施することが多いです。そのため、プログラムの仕様や動作を知っているプログラマーがすぐにテストすることにより、効率良くテストできます。また、早い段階で不具合を検出して解消しておくことで、後の工程で手戻りが発生することを防ぐ効果もあります。

結合テストとの違い

結合テストは、モジュールやコンポーネントを組み合わせて、プログラム全体として正しく動作することを検証するテストです。

単体テストで、各モジュールやコンポーネント単位で動作確認を行っても、モジュール同士の整合性がとれていない場合もあります。そのため、結合テストを行い、複数のモジュールやコンポーネントを組み合わせてテストすることで、プログラム全体が仕様どおりに動作することをテストします。

一方、単体テストは機能ごとにテストして、個別にバグや不具合を取り除くためのテストです。

単体テストのメリット

単体テストを行うことで得られるメリットについて、解説します。

バグを早期に発見して修正できる

プログラム完成後にすぐに単体テストを行うことで、バグを早期に発見して修正できます。細かい単位でテストするため、バグを発見しやすく、作成者が対応すれば修正もスムーズです。

リファクタリングを安全に行える

リファクタリングとは、システムやソフトウェアなどの挙動を変更せずに、内部構造だけを変更することです。内部構造を改善することで、コードの視認性や拡張性が高まる、最適化できるなどの効果があります。

単体テストは、コードの製造直後にプログラマーが担当することが多いため、リファクタリングをスムーズに行えます。

アジャイル開発との相性が良い

単体テストは、コードの製造後すぐにプログラマーが担当するため、バグや不具合の検出から修正までをスムーズに行えます。そのため、開発、製造、テストの流れを繰り返していく、アジャイル開発との相性が良いです。

コードの理解が促進される

単体テストでは、テストコードを作成してテストを行うこともあります。この場合、あらかじめテストコードを作成することで、コードの流れや実行結果を理解したうえでコーディングを行えるため、コードの理解が進むというメリットもあります。

単体テストのデメリット

単体テストを行うことで起こる、デメリットについて解説します。

準備やテストコード作成に手間がかかる

機能ごとに単体テストを行うためには、テスト項目の抽出やテスト環境作成などの準備が必要です。また、テストコードを作成してテストを行う場合には、テストコードの開発も必要です。そのため、これらの準備に手間がかかるというデメリットがあります。

実施者のスキル次第で精度が変動する

テストに必要なスキルは、コーディングスキルとは別物です。たとえば、できるだけ多くのテストパターンを最小限のテスト件数で網羅する、最適なパターンを挙げるなどのテストスキルが必要になります。そのため、テスト実施者のスキルによって、テスト精度が大きく変わってきます。

単体テストの種類とやり方

単体テストは、大きくホワイトボックステストとブラックボックステストにわかれます。ここでは、それぞれのテストについて解説します。

ホワイトボックステスト

ホワイトボックステストとは、ソースコードを見て、プログラムの内部構造に着目しながらテストを行う方法です。

内部構造がわかったうえでテストを行うので、詳細に確認できます。一方で、設計者やプログラマーが意図していない部分、たとえば想定されていないデータが入力されると、エラーが起こるなどの不具合を検出できないことがあります。また、プログラムの内部構造を理解している人が担当しなければなりません。

着目する観点によって、さらに制御フローテストとデータフローテストの2種類にわかれます。

制御フローテスト

プログラムには多くの分岐条件が含まれていますが、この分岐条件に着目してテストを行うのが、制御フローテストです。

たとえば、分岐A→分岐B→分岐Cと進むプログラムがあったとします。それぞれの分岐が2通りにわかれる場合は、分岐のパターンが8とおりであり、8とおりのテストを行えばすべてを網羅することが可能です。しかし、現実のプログラムはそんなに単純なものではなく、すべてのパターンのテストを抽出すると、膨大な数になってしまいます。

そのため、テスト対象のプログラムや状況にもよりますが、すべての分岐処理を確認するテストは最低限行う必要があります。

データフローテスト

データフローテストは、データの流れに着目して、テストを行う方法です。

プログラム内部で使うデータには、最初に定義された後にデータを使用し、消滅するというライフサイクルがあります。しかし、処理が複雑になるとこの正しいライフサイクルが保たれず、定義していないのに使用してしまう、定義したまま消滅せず残ってしまうなどのエラーが起こる場合もあります。

このようなバグを発見するために、データの流れに着目して行うのがデータフローテストです。

ブラックボックステスト

ブラックボックステストとは、ソースコードがわからない状態でテストを行う方法です。仕様書で定められた内容どおりに動作することをテストするもので、プログラムが内部的にどう動くかには着目しません。入力内容と出力結果の正しさについて、テストします。

プログラム構造について理解していない担当者でも、テストスキルがあればテストを行うことが可能です。ただし、内部処理を網羅したテストはできないため、ホワイトボックステストと併用することが多いです。

単体テストの実施手順

単体テストを実施する際の流れは、以下のとおりです。

1.テスト計画と準備

テスト内容を検討し、テスト計画を立てます。計画にもとづいて、テストコードやテスト仕様書、テストデータなどを準備します。

2.テストの実施

単体テストを実施します。

3.結果の記録

実施したテスト結果は、後でどのようなテストを実施したかを検証するために必要になるので、エビデンスとして記録します。保存するのは、ログ、結果ファイル、画面キャプチャなどです。

結果を検証してNGだった場合には、プログラム修正後に再度テストを行います。

単体テスト実施時の注意点

単体テストを実施する際の注意点は、以下のとおりです。

テスト範囲を明確にする

どこまでテストを行うのか、どのような結果であればテストOKになるのかなどを、明確にしておく必要があります。テスト範囲を明確にしておかないと、テストケースがどんどん増えてしまい、非効率です。

テスト結果を記録する

テスト結果は、エビデンスとして必ず記録しておきます。後で問題が起きた際に、検証する材料になります。

不具合が検出された場合の対応フローを定める

不具合を検出した場合には、プログラム修正、再テストが必要です。修正時に他モジュールに影響はないか確認する、他担当者へ不具合内容を横展開するなどの対応を決めておく必要があります。

単体テストの自動化するなど効率化をはかる

テストコードを作成して単体テストを自動化する、過去のテストケースを流用するなどにより、テストを効率化することも可能です。テスト計画段階で、テスト効率を上げるための対策を検討すると良いでしょう。

まとめ

単体テストは「ユニットテスト」と呼ばれることもあり、プログラムのモジュール、コンポーネントなどの単位で、単体で確認するテストです。早期の段階でバグや不具合を検出し、対応するために必要なテストといえます。

テストコードを活用してテストを自動化するなど、効率の良いテスト方法を採用しつつ、テスト品質を下げない工夫が必要とされるでしょう。