【オフショア開発の現在と今後】在宅作業者との情報共有を行うWeb会議システム

多様化するワークスタイルに対応する、コミュニケーションシステムに注目

【オフショア開発の実際①】【オフショア開発の実際②】のいずれも、従来から企業の需要が高い、データベースシステムを中核としたソリューションでした。今回ご紹介する事例は、コミュニケーションのためのソリューションです。ITが高度化するにつれ、会社員のワークスタイルが変わりつつあります。「モナド」という言葉が流行ったのは数年前ですが、現在、カフェやコーヒーショップでパソコンを広げて仕事をしている光景はすっかり日常的になっています。こうしたワークスタイルの多様化に対応するコミュニケーションシステムは今後、さらに需要を拡大していくと予想されます。

事例③：在宅作業者に仕事内容を説明したい某企業の場合

とある企業では、データ入力作業を専門のスタッフに任せていました。ひたすら入力するだけなので、スタッフは会社に通勤する必要はなく、在宅での作業を認めていました。というより、在宅作業にすることで、スタッフにかかるさまざまな経費を節減する目的がありました。

問題は、作業の内容や手順をどのように説明するか、です。全スタッフを集めて説明会を開くのもいいが、コミュニケーションシステムを使って、効率的に情報共有できないのだろうか。弊社は、その企業の担当者の方から、そういう相談を受けました。しかし、イチからフルスクラッチで開発する予算はありません。話し合いを続けた結果、今はWebRTC機能を実現するフリーソフトがあるから、そういったものを活用して、低コストでリモートコミュニケーションシステムを構築する方向性を探ろうということになりました。

オープンソースのWebRTCを活用し、必要な機能を実装

ところが、フリーソフトは、作業の説明には欠かせないホワイトボード機能や画面共有機能が充実しておらず、そのまま使うことはできませんでした。そこで私たちは、オープンソースを活用しつつ、必要な機能を追加していく2次開発の手法を採ることにしたのですが、ここでもうひとつ、難題が立ちはだかりました。そのオープンソースはOpenLaszloだったのですが、それは私たちにとって未知の言語だったのです。

この事例で最も大変だったのは、「初めての言語を勉強しながらシステム構築していくこと」でした。既存のソースを理解してからの開発でしたし、資料もすべて英語でした。しかし、こうした体験は私たちにとって、楽しみでもあります。新技術や未知の技術を吸収することは、技術者にとって生命線と言えることだからです。結果として、お客様にご満足いただけるリモートコミュニケーションシステムが完成し、私たちの苦労は報われたと思います。

弊社は、お客様のご要望をできるかぎり叶えたいという思いが強い会社だと思っています。今回、お客様が欲しいと思っているシステムとご予算は全く見合ってはいませんでしたが、「何か手はあるはず」と諦めずにさまざまなオープンソースを検証していきました。自分たちにとって未知の言語を扱うことに不安がないわけではなかったですが、期待に応えたいという思いが私たちをゴールへ導いてくれたと思っています。

今後の展開：日中の個人ユーザーが交流できる、ビジネスプラットフォームをリリース

最近、スマートフォンのアプリを1本、リリースしました。これは、フリーランスやSOHOでビジネスを展開している個人ユーザーのためのアプリです。自分の持っているスキルをプラットフォームに展示し、それを見て興味を持った依頼主は直接展示したアカウントにアクセスし、仕事を頼むことができます。LINEのようなチャット機能や音声によるコミュニケーション機能もあります。タイムラインもありますので、過去の投稿を見に行くこともできます。

今はまだテスト段階で、中国版しかなく、300人ほどのユーザーしかいません。今後、東京オリンピック開催のタイミングで日本語版もリリースし、まずは東京のフリーランスやSOHOのビジネスユーザーに紹介したいと考えています。そして、ゆくゆくは日本と中国のビジネス交流を活発化するプラットフォームに育てることができればと思っています。

他にも、弊社の持っている日本と中国の両方のビジネスリソースを活用できるようなアプリをいくつか企画中です。私たちの開発力をぜひ活用してください。自社の製品やサービスを中国市場に売り出したい、とお考えの企業にとって、相談しやすいブレーンになれるのが、私たちアイジェントだと思います。