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【50歳からの挑戦記】第2回「いつのまにか、俺ってグローバル人材じゃね?」

このコンテンツは、50歳を過ぎた生粋の日本人コピーライターが一念発起し、テクノロジーをフル活用して英語力向上を目指すドキュメンタリーです。英会話教室や英語教材の広告ではありません。コンテンツ内に登場するツールやコンテンツの評価は、あくまでも個人的感想なので、その辺は大人の判断で読んでください。 ■英語力って、結局単語量かもね 第1回の記事で、Podcastで英語に耳が慣れてきた話をしました。今回は、その続きです。耳が慣れてきた私は、もっと聞き取れるようになりたいと考え、単語量を増やす作戦を追加することにしました。その理由は、以下のような体験を何度もしてきたからです。 ネイティブの人と会話するとき、知っている単語が並んでいる間は何となく意味がわかるのに、知らない単語が出てきた瞬間、脳内でエマージェンシーコールが鳴り響き、脳内捜索隊が記憶の引出しをかたっぱしから開けはじめるんです。「これも違う」「あれも違う」「これか?いや違う」「あ、そもそも引出しに入っていない」と、もう脳内はしっちゃかめっちゃか。そっちに気を取られてしまい、それ以降の会話はまったく理解できなくなります。この脳内のエマージェンシーコールを発動しないようにするには、とにかく単語量を増やすしかありません。 以前、高校生の息子と一緒にスタディ○○リを勉強しているとき、名物先生が「単語を4000字、完璧に覚えれば、長文が読め、ライティング力もあがり、受験はOK」と豪語していました。そりゃそうなんですけど、その先生のやり方は相当ハードで、自分には絶対無理だと思いました。もちろん、子どもには「そうだ。4000語くらい、がんばればすぐ覚えられるぞ」と父の威厳を振りかざしながら、偉そうに言いましたけど、そう甘くないよね。 でも、私は受験生じゃないから、先生の御神託より、デジタルを信じます。机に向かってガリガリ勉強するのは無理なので、肌身離さず持ち歩いているiPhoneとiPadを使って、空き時間に単語を覚える道を選びます。App Storeにアクセスし「英単語」で検索しました。すると、出てくる、出てくる、たくさんのアプリ。いったいどれが良いのやら、さっぱりわかりません。カテゴリを分けてみると、受験生向けのアプリと、TOEIC対策用のアプリがあるようです。 とにかく良さそうなアプリを5個くらいインストールして使いはじめました。最初は「アプリだけで覚えられたら苦労しないよ」となめていましたが、意外と楽しくて「あれ、俺ってけっこう単語知ってるじゃん」という変な自信が出てきました。「知っている」は語弊ありますね。「見たこと(聞いたこと)ある」が適切かな。今、ビジネスの世界(特にIT業界)って外来のカタカナ語がものすごく多いじゃないですか。デフォルトとか、リテンデンシーとか、エンパワーメントとか、ドリブンとか、もうビジネス言語の半分くらいは外来語が混ざっているので、意外と、そういう言葉が頭に入っていて、Capableが出てくると、「ああ、ケイパビリティっていうよね」、Descriptionとか出てくると「あ、ホワイトペーパーでよくみるやつね」といった感じで、結構わかるんです。 単語学習アプリの大半は、英単語あるいは日本語が出題され、3択か5択で答えを選ぶので、うろおぼえでも結構答えられます。しかも、ゲーム感覚(クイズに答える感じ)なので、満点採れないとくやしくて、何度もチャレンジしたくなる。何度も繰り返しているとうろおぼえだったものが定着してきます。 最初に使った「瞬間英単語TOEIC600点」はスピード重視のアプリです。意味がわかっていても、早く答えないと×がつきます。これにハマって1日に何度もやってたら、単語を見た瞬間に意味がわかるようになってきました。「書いてみろ」っていわれたら、ちょっとあやしいけど。これ本当に効きますよ。 「すばやく英単」という12,000語覚えられるアプリも結構いいし、最近はTOEIC600を卒業して「TOEIC800」というアプリをはじめました。 瞬間英単語「TOEIC600」 1万2千語 「すばやく英単」  究極英単語「TOEIC800」 単語の発音を強化するために「英語耳ゲー」というアプリも使いました。これは日本人が苦手な「R」と「L」の発音を聞き分けるゲーム形式のアプリです。10人くらいのネイティブな男女が、「Right」と「Light」とか、「Pray」と「Play」とか発音して、ランダムに発音される単語を正確に聞き分けるゲームです。しばらく続けていたら50%以上の確率で聞き取れるようになりました。ところが、ここからが地獄。何100回聞いても100%の確率で聞き取れるようにはならないんです。同じところで何度も何度も間違える。もう時間はかかるし、イライラするしで、最近は触っていません。「B」と「V」を聞き分ける「英語耳ゲー2」にも手を出しましたが、こっちもイライラするので、もうやりません。でも、削除はしません。もっと聞き取り力が上がれば、クリアできると信じているので、半年後とか、英語力がアップした段階で、再チャレンジしてみます。 「英語耳ゲー」 ■やっぱり、マンガは強いね さて、耳が慣れ、単語がわかってきたら、次のステップへ進みたくなりました。次は何がいいかな?いろいろ考えました。 次のヒントは、最近、日本語をペラペラしゃべる外国人が増えていることにありました。その手の人が決まって口にするのが「アニメ(マンガ)で日本に興味を持ち、日本語もそれで覚えた」というコメントです。今までは「そうだよな、日本のマンガはおもしろいから、自然に覚えちゃうんだろうな」と他人事でしたが、ハッと気付きました。「そうだ。英語版のコミックを原語で読めばいいんじゃないか」。さっそくApp Storeで検索したところ、外国語版コミックを無料で楽しめるアプリはほとんどありませんでした。「バットマン」とか「スパイダーマン」とかマーベルなら公式アプリがあるけど、無料版はほんの2,3ページしか読めないので、これじゃ勉強になりません。1冊数百円程度だから買えばいいといえば、その通りですが、あんまりアメコミが好きじゃないんですよ。金払ってまで買う気にはなれません。日本のマンガを外国語に翻訳したバージョンがあれば、一番いいのですが、それも見つけられませんでした。非公式ならあるかもしれませんが、それを使うのは人としてNGなので、探してもいません。 マンガで勉強作戦は失敗かと諦めかけていたそのとき、ベースは英語で日本語の対訳がついている「バイリンガル版」というコミックを見つけました。とりあえず半信半疑で「バイリンガル版 SHERLOCK ピンク色の研究」(シャーロックホームズを現代版にしたBBCのドラマをコミカライズしたもの)を入手。Amazon プライムで1,296円、翌日には自宅へ届きました。 数週間かけて培ってきた単語力を活かし、英語で物語を追い、捕捉的に対訳を見る、わからない単語はGoogle翻訳で調べながら読みました。結構疲れましたが、英語がわからなくても、シーンと表情でセリフの意味も何となくわかるので、挫折せず読み終えることができました。とにかくストーリーが良いし、キャラが立っていて、物語に没頭でき、早く次のページを読みたいと前のめりになり、英語のハンディを感じませんでした。1冊読み終え、「もう1冊買おう!」と、再びAmazonでポチッ。その後、もう1冊「SHERLOCK」を購入して計3冊読み終えてから、最初に買った「SHERLOCK ピンク色の研究」を読み返してみると、あら不思議。ほとんど辞書を使わず、英語で読めるじゃないですか。しかも、英語の構造や文法もおぼろげながらわかってきました。 正直、これが読めたとき「成果が出てるぞ」と実感しました。「1回読んだ本だから、内容がわかるの当たり前だろ」って、つっこみには耳を貸しません。 「バイリンガル版 SHERLOCK ピンク色の研究」 ■気が付いたら、世界中に友だちが・・・だいぶ話が長くなりましたが、あと一息なので、一気に書ききりますね。最後に紹介する方法が、今一番お気に入りの勉強法、これが「今回は三日坊主にはならない」と断言できる、最大の理由です。 英語の勉強をはじめて約1カ月、上達を実感していますが、まだ自習の域を出ていません。外国人と話したとき本当に聞き取れるのか、会話が成り立つのか、それを実証しなければ、英語力が向上したとはいえないでしょう。そこで、次のステップとして必要なのは、ネイティブとのコミュニケーションだと考えました。 英会話教室に通うことも考えましたが、それは第1回に話した理由でなし。外国人や帰国子女の知り合いに協力してもらうことも考えましたが、仕事の知り合いばかりで、頼みにくい。最近はSkypeなどを使って、英語ネイティブなフィリピンの人たちと話す安価なオンライン英会話が流行っていますが、「いや英語力あがったとはいえ、やっぱり辞書ひいたり、Google翻訳使わないと会話が成り立たないので、いきなりリアルタイムは無理」と後ずさり。解決策を見いだせぬまま過ごしていたある日、Podcastの番組で「外国のペンパルをつくればいいのよ。そういうサイトはいろいろあるわよ」とUSネイティブが話していたのを聞き、「それだ!」と思い、さっそくネットで検索。あるね、いろいろ。その手のサービスは「Language Exchange」と呼ばれていて、その筋では知られた存在のようです。 Language Exchangeの仕組みを説明します。 自分のネイティブな言語とこれから学びたい国の言語を登録し、お互いの情報を公開。それぞれのプロフィールを見て、メールを送り、受け入れられればパートナーになります。いってみれば、語学版SNSですね。これ、たくさんのサイトがあって、中には、完全に出会系化しているところもあり、トラブルも多いようです。いくつかアクセスしてみたところ、「閉鎖しました」っていうサイトがいくつもありました。 いろいろリサーチして、辿り着いたのが、今使っている「Conversation Exchange」です。 Conversation Exchange ここは、比較的まじめに語学や各国の文化を学びたい人、交流したい人が集まっている気がします。そもそも、顔写真や実名を載せなくてもいいところが、出会い系とは一線を画していて良いです。それと、同じ相手に3回続けて連絡することが禁じられているなど(相手から返信があればOK)、トラブルを防ぐルールが組み込まれているようです。 早速「Conversation Exchange」に登録し、パートナーを探しました。プロフィールを登録し、検索機能で「ネイティブ:英語、勉強したい言語:日本語、国名、ペンパル(チャットとか対面も選べる)」で探しました。いますね、たくさん。日本語人気を実感しました。ただね、みんな若いんですよ。これから日本語を学んで日本で仕事をしたいとか、今大学で日本語を専攻しているとか、昔日本に滞在していて母国に帰ったけど、忘れないように日本語を使いたいとか、あとはアニメやドラマから入って日本語を学びたい人とか、20代と30代が7割。男女比は半々かな。そんななか、50歳を過ぎた日本のおっさんは、圧倒的不利な状況です。断られるのは覚悟の上で、プロフィールを見て趣味が合いそうな人に申し込みメールを送りました。8~9割はガン無視されますけど、数打てば、何人かは連絡をくれます。向こうから、パートナーになりたいと申し込んでくる人もいます。 そうして知り合ったペンパルが、今7人います。 日本人とポーランド人が交流するサイトを運営するロンドンの男性(25歳)、ロンドンで微生物学を学んでいる女子大学院生(28歳)、かつてカシオの現地法人で働いていて今は専業主婦のキャビテ(フィリピン)の女性(46歳)、日本のアニメが好きなダバオ(フィリピン)のOL(27歳)、最近日本語の勉強を始めたメルボルン(オーストラリア)の女性(29歳)、昔日本に住んで英語の先生をしていたキャンベラ(オーストラリア)の男性(39歳)、オークランド(ニュージーランド)に住んでる女性(29歳)。 今は、彼らと毎日SkypeやLine、WhatAppなどのチャットを使い、英語と日本語で会話を楽しんでいます。自分の英語が通じるのも楽しいし、お互いの興味やいろいろな話を聞けて、この異文化交流にすっかりハマっています。このツールは相手がいるので「三日坊主」にはなる心配はありません。会話が続かなくなる人杜かもしれませんが、そのときは、またパートナーを増やせばいいのです。たくさんの人と長くコミュニケーションを取り続け、いつか旅行で現地へ行き、会ってみたいというのが、今の目標です。 1か月前まで想像もできませんでした。ロンドンとオーストラリアとニュージーランドとフィリピンに友だちがいて、毎日英語でチャットしている自分なんて。 あれ、いつの間にか俺ってグローバル人材じゃね?←第1回「英会話教室に通わず英語力を身に付けられるか?」へ戻る【あとがき】Conversation Exchangeでチャットをはじめた結果、やっぱり文法わかんないとダメだと気付き、中学レベルから勉強をやり直しています。また、オフライン版Language Exchangeというのにも参加して韓国人やアルゼンチン人の友だちもできました。機会があればまた続編を書きたいと思います。了

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【50歳からの挑戦記】第1回「英会話教室に通わず英語力を身に付けられるか?」

このコンテンツは、50歳を過ぎた生粋の日本人コピーライターが一念発起し、テクノロジーをフル活用して英語力向上を目指すドキュメンタリーです。英会話教室や英語教材の広告ではありません。コンテンツ内に登場するツールやコンテンツの評価は、あくまでも個人的感想なので、その辺は大人の判断で読んでください。 ■この歳までごまかしてきたけど、やっぱり英語力ないとダメみたい。 大手外資系IT企業との打ち合わせに参加したときのこと。もう、日本語だけで仕事をするのは限界だと痛感させられました。うちの会社は「ことばに強い」とか偉そうに言っているのに「英語には弱いじゃないか」と、つっこまれるのを覚悟の上で、この記事を書きます。 打ち合わせの同席者は、US本社の上級職(ネイティブ)、女性マネージャー(日本語より英語が得意な帰国子女)、制作パートナーのデザイナー(UK出身ネイティブ)、ミーティングルームに入る前に、いきなり先制パンチをくらい、足元がふらつきました。「今日は英語で打ち合わせしますけど、井上さんは大丈夫ですよね。わからなかったら言ってくださいね」と一言。「いや、全部わからないって」と涙目で訴える私の心の声は届かず、無情にも打ち合わせがスタート。約1時間後、打ち合わせ終了。理解できた単語は半分以下。内容とコンセプトはなんとなくわかったものの、まるで隅田川を泳ぐ魚の姿くらい全体像がぼんやりしたまま解散となりました。ほかのメンバーは、プロジェクトの方向性がみえてきたとホクホク顔です。 わかってますよ。外資系企業の仕事しているんだから、英語くらいできなきゃだめだって。年に数回は外国人のインタビューしてるんだから、英語できなきゃだめだって。 いや、私だってチャレンジはしたんです。英語の教材で自習したり、通勤途中にスピード○○ニングみたいな教材聞いたり、子どもと一緒にスタディ○○リで勉強したり、でも、だめなんです。すぐ飽きちゃう、教材がつまらないから。 “神”といわれる予備校の先生のWeb授業も、「あれ?なんの神さまでしたっけ?」って感じ。挫折するたび、私は言い訳します、「仕事が忙しいから仕方がない」と。 しかし、今回は本気です(毎回いっているけど)。ペラペラしゃべれるレベルとまではいわないけど、ネイティブと打ち合わせしても、何言っているか理解できるレベル、英語の資料も辞書を片手に読めるレベルを目指します。1年以内に。 ■「そのうちAIが自動翻訳してくれる」は、ただの言い訳です 問題はやり方です。いかに効率的に、楽しみながら学び、継続できるか。その方法は何か。 最初に考えたのは、ありきたりですが英会話教室に通うことでした。でも、気乗りがしない。出張多いから定期的に通うのは難しいし、お金もかけたくない、何より50過ぎての教室通いは気恥ずかしい。コストは、仕事に必要なスキルだから経費で落とせないこともないですが、英会話教室という響きがくすぐったくて、どうも前向きになれません。 「じゃ、どうするんだ」って責められると、今まではこんなこと言っていました、私。 AIが急速に進歩しているから、もうすぐ「翻訳こんにゃく」レベルのツールができて、どこに国の人でもリアルタイムで話せる日が来るんだ。それほど遠くない話だから、今、無理して英語を学ぶ必要はないと。 でもね、現状の翻訳ツールを使えばわかるけど、まだまだ、日本語の文章は小学校低学年レベルなんですよ。確かに3年前と比べたら飛躍的に性能がアップしているけど、テクノロジーの進歩が早いと言っても、あと3年はかかるというのが実感です。現代は市場の変化がとてつもなく早いので、3年の間にビジネス環境はガラっと変わってしまいます。それについていくには、やっぱり、今すぐ英語の力をつけないと、ダメですよね。 さて、IT系の仕事をたくさんしている私は、やるからにはテクノロジーを最大限に活用しようと考えました。 目標は、試験の合格ではないので、文法は二の次。どんな話者の英語も聞き取れ、8割方理解できることが目標です。もうすこし具体的に言うと、わからない単語が出てきたときに「その単語の意味はなんですか?」と聞けるようになること。これって結構難しいんです。一般常識レベルの単語を聞いちゃうと、「こいつ英語まったくわかってねぇな」とバレちゃうし、逆に、専門用語とか社内で使っている略語とか、ちょっと難しい表現について質問すれば、「こいつ英語の基本ができてるな」と思ってもらえるわけです。そのレベルまでいきたいなと。 というわけで、この目標達成に向けて、私は耳を慣らすことを第一のテーマに設定しました。過去に取材した人たちから「外国へ住んで最初は苦労したけど、ある日突然何をしゃべっているのかわかるようになった」、「英語の映画を見まくっていたら、3カ月くらいで突然、脳内で日本語に変換せず、自然と英語が理解できるようになった」といったエピソードを何度も聞いていたので、「どうやら、わかんなくても英語を聞き続けることがポイントらしいぞ」と思っていたからです。 この学習に活用したツールはPodcastです。 ■レッスンじゃなく、英語の雑談をPodcastで聴きまくる 私は、いつも移動時間(歩いているとき、電車に乗っているとき、自転車に乗っているとき)は、必ずPodcastを聞いています。基本的には日々のニュースとその解説、世の中の動向がわかる番組、あと落語などを聞いています。この番組をひとつ減らし、英語に関するPodcastを聞くことにしました。番組選びは難航しました。以前、スピード○○ニングっぽいコンテンツを聞いていましたが続かなかったので、この手のものは却下。基礎英語や英会話教室が提供している番組も同じ理由でNG。英語オンリーの番組も、さっぱり理解できないのでアウト。選り好みした結果、見つけたのが以下の2つです。 1つは「勝手にEJ(English Journal)」 もう1つは「台本なし英会話レッスン」 これオススメします。何が良いかって、いちいち英語を翻訳したり、解説したり、しないんです。両番組とも、メインパーソナリティーは日本人、パートナーはネイティブ。日本人は、日本語をしゃべり(「台本なし」のソータは英語もしゃべる)、ネイティブは英語のみ。1つのテーマを決めてお互い好き勝手に話します。何よりいいのは内容がおもしろいこと。おもしろいから、必然的に何をしゃべっているのか聞き取りたくなる。しかも、日本語で前振りとフォローがあり、日本人でも知っている単語・固有名詞がバンバン出てくるので、わかりやすいのです。 「勝手にEJ」は、英会話のアルクが同名の月刊誌を出版していて、それを題材に雑談しています。この前は「手塚治虫の漫画」をテーマに、日本人と外国人がそれぞれの視点で文化の違いにも触れながら、おもしろトークをしてました。「台本なし」は、聴視者からのメールや書き込みでテーマを決めているようで、たとえば「日本とアメリカの卒業式の違い」とか「一人暮らしとシェアハウス」とかをテーマに漫才のようなかけあいで20、30分話します。 テーマが身近だからか、日本語で前振り、つっこみ、質問がはいるからか、スピーカーの発音が良いのか、私でもおおよそ英語で何をしゃべっているのか理解できます。もちろん最初は、わからなかったのですが、2、3回コンテンツ聞いていたら、かなり聞こえてきました。これを毎日続けていたら、1週間ほどで耳が慣れてきました。 Podcastは、ほかにもSteeve JobsやObamaの演説とか、童話の英語版とか、CNNニュースとか、いろいろ試したけど、今使っているのは上記の2つだけです。これは毎日必ず聞いています。 これだけで上達するほど英語は甘くありません。英語挫折経験の上級者たる私は、当然わかっています。だから、他にも英語力をアップするため、あの手この手を駆使しています。うまくいったものもあるし、続かないものもあります。 偉そうに記事書いてますけど、実は英語を本気ではじめてから、まだ1カ月弱です。だから、この先、また挫折しちゃうかもってリスクがないわけじゃありません。 でも、今回は違うと確信している理由があるんです。まだ1カ月弱なのに、半端ない上達感を感じていて、英語の学びがどんどん楽しくなっているのです。その実感がなければ、こんな記事、書けません。ここまで書いて挫折したら恥ずかしくて、外歩けませんよ。知り合いも読んでるし、この記事。 だいぶ、長い記事になってしまいました。話したいことは、まだたくさんあるので、私がみつけた「楽して英語が上達する」ノウハウについては、第2回に詳細を記載することにします。第2回「いつのまにか、俺ってグローバル人材じゃね?」へ続く →

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対談 第4回「日本にもプロポーザルエキスパートを」

今回の対談では、国内では数少ない提案書づくりのプロ「プロポーザルエキスパート®」の水嵜清美さんに、提案書作成についてお話を伺います。前回は「勝てる提案の原石を掘り起こす」を題材にセッションしましたが、第4回は「日本にもプロポーザルエキスパート®を」をテーマにお話を伺います。 井上     外資系企業だとブランドのフォーマットがガチガチで、どんな資料でも色使いとか写真とかロゴ位置とか、フォントまで決まっていて自由度が少ないじゃないですか。その中で、どう豊かな表現をしていくんですか。 水嵜     ここまでやっても大丈夫かなって少しずつ手探りで広げていく感じです。 井上    絵で見せたりとか写真入れたりっていう提案書もありますか。 水嵜     いまご縁をいただいている会社はビジョナリーなところがあり、絵のコンテンツは常に新しいものが大量にストックされています。海外のコンテンツ担当者は、新しいブランドガイドラインが決まってから、数カ月くらいは少しはみ出したものをつくったりしますよ。ここまでは大丈夫かなって探っているんでしょうね。私も、ああ、ここまでは大丈夫なんだと、それをフォローアップしながらつくりますね。 ■プロポーザルエキスパート®に仕事を依頼するには 井上     水嵜さんは今、外資系の組織で仕事をしていますけど、実際は自分の会社(グッドプロポーザル)の代表ですよね。例えば、水嵜さんにプロポーザルの仕事を外部委託したいという依頼が来たら、受けられるんですか。 水嵜     ありがたく受けさせていただいてますよ。 井上      どのレベルから受けてくれるんですか。 水嵜     今も何社かお話はいただいていて、コンテンツの背景とか流れとか、構成をこうしたいという要望を聞いて、新規の作成や修正のお手伝いをしたり、あとは翻訳者を使って文章作成したりしています。 井上      プロジェクト単位で受注する感じですか。 水嵜     そうですね。定期的にお仕事をいただいているイメージです。最近は、企業研修やセミナーを長期で請け負うことも増えています。 井上      提案書の作成自体に予算がついている会社って少ないと思うので、そこだけ外部に頼むことは少ない気もしますけど。 水嵜     でも、ありますよ。規模によりますけど、どうしても取らないといけない案件の場合、逆に案件の規模に応じて予算化しています。そういう場合、かなり大掛かりな仕事で半年ぐらいのプロジェクトになることも少なくありません。 ■日本の会社に提案書のコンビニを 井上     今後の仕事の展望を教えてください。 水嵜     今日お話ししたような、社内のプロポーザルエキスパート®サービスの魅力を多くの方に知っていただいて、社内にこのような機能を持つ、持ちたいという会社さまが増えていけばと思っています。そのためのお手伝いになることを続けていきたい。会社に人を1人でも置くことは、負担も大きいと思いますが、社内に提案コンビニをつくると、本当に営業が効率化するし、多様な価値が生まれ、機会がひろがるということを、ぜひ知っていっていただきたいですね。 井上     それはいいですね。 水嵜     プロポーザルエキスパート®になってみたい方は、そのアプローチとして、例えば私と一緒にプロポーザルエキスパート®をやってみるというタイミングもあるでしょうし、企業研修などを提供しながら、そこで学びを得て立ち上げていくというやり方もあると思います。 井上      今後、AIが普及すると単純作業は置き換えられていくといわれますが、水嵜さんがやっているような仕事って、なかなか置き換えが効かないところですよね。 水嵜     私のやっている中でも、コンテンツ管理のところはAI化できると思います。実際にツールはありますから。問題は、それ以外の人がやらないといけない部分ですよね。 井上     提案書をつくるって、人と人が関わりながらじゃないとできないので、そこは置き換えられないと思います。特に、暗黙知をいかに顕在化して提案書につなげられるかが大事だと思うので、そこはエキスパートの存在が今まで以上に大事になるんじゃないですかね。本日は、知られざるプロポーザルエキスパート®の世界を垣間見ることができ、とても勉強になりました。水嵜さん、本日は本当にありがとうございました。 水嵜     こちらこそ、ありがとうございました。了 ←第3回「勝てる提案の原石を掘り起こす」を読む

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対談 第3回「勝てる提案の原石を掘り起こす」

今回の対談では、国内では数少ない提案書づくりのプロ「プロポーザルエキスパート®」の水嵜清美さんに、提案書作成についてお話を伺います。前回は「勝てる提案書のつくり方」を題材にセッションしましたが、第3回は「勝てる提案の原石を掘り起こす」をテーマにお話を伺います。 井上     プロポーザルは、チームで進めるという話でしたが、今はどんなチームでやっているのですか。 水嵜     今は、外資系企業内のチームで、世界中にプロポーザルエキスパート®の人たちがいます。最初に話したように、プロポーザルライターさんがいっぱいいたり、さらにはビットマネジャー、ビットデベロッパーさんとか、それを統括するプロポーザルディレクター、チームの管理をするオペレーションの人たちがいます。コンテンツを書く人たちは、提案書のひな型をつくっています。グローバルの提案書って、日本ではパワポが主体ですけど、基本的には、みんなMS Wordで中身を書きます。うちの製品には、こういう強みがある、こういう特徴があるみたいなことを、あらかじめ書いているわけです。そこに、写真が入ったり、いろんな製品があったり。ソリューションとして、これを一式導入するとこんなことが解決できます、みたいなことが全部書いてある。あとは、提案書の構成って、ある程度決まっているので、こういう流れでやりますよって概要があって、詳細があって、付録があって、みたいな。そういうのも全部ひな形があります。製品については、開発の部署と連携して書くので、内容はぶれません。会社として言いたい話がちゃんと正しく入っている、ひな型があるということです。 要するに、コンテンツ管理システムが会社に揃っているので、それを検索して、必要なものを落としてつくる感じです。そういうひな形が、フランス語、スペイン語、中国語、韓国語、日本語、といったように翻訳されて用意されているんですよね。 井上    さすがグローバルカンパニー。 水嵜     でも全部じゃないですよ。たとえ日本語のWordで欲しいコンテンツが提供されていても、結局そこからカスタマイズしないといけないし、場合によっては、コンテンツ管理システムとは別に、ほかの目的でつくられたスライドを日本語化して、内容が合っているかどうかの確認にだけ使うこともあります。 日本には、そういうライターさんたちは存在しません。日本には直接営業とかかわる、ビットマネージャーしかいなくて、営業のサポートをするシンプルな一事業所みたいな感じです。第1回で提案書のコンビニの話をしましたけど、まさしく1軒のコンビニでやっている感じです。 だから、ビッドマネージャーが複数いても、あなたは、Aチームのサポートをしてね、次の人はBチームのサポートをしてね、という具合に、日本の営業部門をサポートしているわけです。私は、たまたま最初に入らせていただいたこともあり、かねてよりいろいろな方にメンバーになっていただきました。プロポーザルエキスパート®チームとして品質の高い提案書をつくるには、それぞれの得意分野を活かしつつ、横の連携を取りサポートし合うというのが理想です。それがうまく回っていたときは、勝率も上がり、品質も喜ばれて、非常によかったと思っています。グローバルでは、この仕事はこの人がやると契約で決められているので、本当はそんなゆるいやり方は認められていないのですけどね。 井上     グローバルでは、横の連携はないんですか。 水嵜     ないみたいでした。私は日本の立場に立って、お願いして日本的なやり方でやらせていただいたのですが、外国人の上司だと説明するのが非常に難しいんですよ。でも、個々の担当者が得意なことをやらせてあげたいし、それで会社の人たちも喜んでくれ、結果も出ていたので、これほど良いことはないと思ってましたけどね。 井上      過去形で話すということは、今はチームでやれていないということですね。 水嵜     そうなんですよ。だいたい2、3年ぐらいで体制が変わってきたので、同じやり方は続けられず、今現在は、特定の大きな案件だけをはば広くご支援していますね。海外に仲間がいて、大きな案件のときは、相談したりサポートもらうことはありますけど。 井上      そういう人がたくさんいるといいですね。 水嵜     そうなんです。たくさんいると、誰かしらに助けてもらえていいですが、連携が難しいのは、日本でも海外でも同じですが、やっぱりお互いがちがう個性や、やろうとしていることを尊敬し合うというか、そういうのがないと、なかなか難しいですよね。 ■かっこいいデザインは、土台がなければできない 井上     私の仕事だと、成功事例をケーススタディにして、この業界でこう使われていますよみたいなものを見せつつ提案っていうパターンが多い気がします。 水嵜     そうですね。事例があるとものすごくいいですよね。日本は特にそれ多い気がします。ちなみに、私はこの間まで日本の提案用コンテンツを管理していたのですが、一番人気は会社紹介でしたね。海外では有名な会社でも、日本では知られていないって、割と普通にあるので。 井上     会社紹介の資料って、もう十分揃っているんじゃないですか。業界ごとに、いろいろつくり替えたりするんですか。 水嵜     基本的に私は、標準コンテンツを制作管理しています。各案件によっては、顧客の要望に応じて、カスタマイズすることもありますね。ただ、提案書に、会社紹介は必ずいるので、そのコンテンツをきちんと管理しておくということです。 井上     我々みたいな小さい会社は、まず自己紹介から始まります。うちみたいに知名度もブランド力もない会社は何が違うのか、はっきり見せないと、仕事につながりません。でも、デザイン会社って、どこも「こんなにかっこいいものをデザインしました」みたいなものを見せるわけですけど、それよりもうちは「言葉に強い」を、全面に打ち出すようにしています。お客さんは、上手なデザインを見せられるとセンスの良さを評価するのでしょうけど、本当はデザインって、その前段階のマーケティングとか、会社の戦略とかがあって、その上に乗っかっている表現のひとつなので、「デザインが上手です」は実はアピールになっていないと思うんですよ。本当の価値はその前段階、この商品がどうやったら客先に届くか、ターゲットの心を動かすか、どの媒体を使えば響くか、どういう表現をしたら他社との違いを分かってもらえるか、そこを突き詰めた末に、この表現が一番届くから、このデザインになった、そのプロセスが大事なんです。 そういう意味では、基本は全部言葉なんですよ。戦略は言葉がないとつくれないし、マーケティングとか、人の心を動かすのも言葉が大事で、最終的なデザインにはキャッチコピーが入らなかったとしても、そのビジュアルにたどり着いたプロセスは全部言葉で構築されているんです。だから、言葉がきちんと使えない会社にいいデザインはつくれないと、私、本気で思っています。提案書も当然言葉で構築していくわけですよね。だけど、そこをロジカルに詰めるだけでは、やっぱり伝わらない。左脳で考えた土台の上に、どう右脳の表現を乗せていくかってことじゃないかなと思うんですよ。 水嵜     近いと思いますね。第1回でお話ししたように、私、研修でよく「準備が7割」ってよく言うのですが、最初に何を言うか、お客さんが誰なのか、何を伝えるのかを、営業さんは分かっていて依頼してくるわけですけど、その前段階のところをもう一度詰めて、どういうことなのかヒアリングして、提案のコンセプトやテーマを決めていくことが大事ですよね。 ■徹底したヒアリングで勝てる原石を掘り起こす 井上     私も、デザインをつくったり、企画考えたりするとき、必ずクライアントの担当者にヒアリングさせてもらいます。絶対に、オリエンシートに表出していない思いとか、可視化されていない何かがあるので、それを掘り出さないと良い企画はつくれないんです。だから、それってどういうことですかとか、競合はどうしているんですかとか、どんどん掘り起こして、場合によっては営業や開発部隊、社長とか、いろいろな人にヒアリングして、それを解きほぐしていく。すると、なんだ、こんな原石あるじゃないですか、って見つかるんですよね。 水嵜     そうですね、そこまで行けば本当はいいんですけどね。初期の頃、つくっていた法人向けの提案書なんかは、結構そういうのがあって、コンセプト的なものを作るのが上手な技術者の方とディスカッションしていく中で、キーワードが出てきて、その結果、先ほど話したお客さんが発注書を破く(第1回より)みたいな提案書ができたわけです。その案件以外でも、そういった形でキーワードを掘り当てて、それが絵になり、響くものに仕上がって案件が取れたことは、結構ありますね。 井上      ただ、絶対の自信を持ってつくるんですけど、やっぱりお客さんへ見せるとき本当にドキドキしますよ。実は好き嫌いって結構あるので、駄目って言われたらショックだなとか。 水嵜     それは尖ったものをつくっていることと、1人で考えて、自分の手元で醸成しているから、そういう思いになるんですよね。もっと、いろいろな人とディスカッションしながらつくると、もうちょっと着地点が分かるんでしょうけど。 井上     そういわれれば、その通りですね。それゆえに、尖ったアイデアを削らないまま出せるって強みはあるんですけどね。 水嵜     確かにそうですね。何がいいのか分からないけれど、最初の部分がとにかく大事だっていうのは間違いないですね。先日、ある件で、そこを最後まで突き詰め過ぎてスケジュールが狂ったという話を伺ったのですが、プロポーザルエキスパート®のような、進捗管理を第三者的に見れる人を置けばいいのにって心の中で思っていましたね。提案書って文章にしても、構成、見栄えにしても、絶対的に相手を動かさなきゃいけないのは間違いないんですけど、芸術作品じゃないので、ほどほどにっていうのは、基本にあるんですよね。。 井上     それはそうですね。 水嵜     結局、オペレーターとしては落としどころというか、ここまでやれば必要十分だっていうのが分かっているわけですよ。なので、ここまでにしようと決めて、これだったら最低限お客さんの目線は動かせるし、内容が頭に入るねって。このコピーもこれで最低限そろったねという感じで合わせられる。それが尖ったものになれば、渡した瞬間相手に刺さることになるわけですね。 ←第2回「勝てる提案書のつくり方」を読む 第4回「日本にもプロポーザルエキスパート®を」へ続く →

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対談 第2回「勝てる提案書のつくり方」

今回の対談では、国内では数少ない提案書づくりのプロ「プロポーザルエキスパート®」の水嵜清美さんに、提案書作成についてお話を伺います。前回は「提案書って誰がつくるの?」を題材にセッションしましたが、第2回は「勝てる提案書のつくり方」をテーマにお話を伺います。 井上     提案書づくりの専門家ってことは、その案件の勝ち負けという結果が出るじゃないですか。まして、外資はそれが評価軸になるわけで、結構ストレスの高い仕事ですよね 水嵜     もう結果は丸見えですよ。それで給料が劇的に上下する営業さんは本当に大変ですけれど、私の場合、今日お話ししてきた件については幸いほぼ影響はありません。私は社内チームではなく、外注として提案書の作成をしていたこともあるのですが、外注でお受けする場合だと、中にはベースの報酬に加えて、入札で勝ったらボーナスを出すという話はあったりしますね。いずれにしても事前契約になりますが。 井上     そもそも水嵜さんは自分の会社を持っているわけで、外注として制作請負をすることもできるけど、今は社内に駐在するような形をとっていますよね。提案書を外注に出しにくい理由はあるんですか。 水嵜     やはりコンプライアンスですよね。提案書って営業活動で、営業活動は経営活動そのものですから、会社の肝の部分はやっぱり簡単には見せられないんですよ。だから、社内でも他部署がどんな提案書をつくっているのか、見せてもらえません。まして、よく知らない外部の人間に、提案書を見せてくれる会社はなかなかありませんよ。だから、私が外注でお受けしたのも本当にありがたいお話です。 井上     そうですね。大体コンフィデンシャルって書いてありますもんね。だから、そういうチームは社内に置くほうが好まれるわけですね。 水嵜     別の業界でも、コンサルタントの方や中小企業の提案書とかプレゼンテーション資料等をつくるお手伝いをしています。最初はテンプレートの作成から入って、ブランディングして、その後は、会社紹介的なものをつくったり、プレゼン資料をつくったり、そうしていくうちに、その会社さんの事業内容や何がウリなのか、いろいろ見えてくるわけです。それが次の資料づくり、ひいては提案書を作成する機会に生きてきます。そういう意味で、そのお客さまを理解するほど適切な解が出てくるので、継続してお手伝いするメリットはあるのかなと思っています。 井上    広告はプロジェクト単位での依頼が多いので、その領域に関してはコンフィデンシャルな資料も見せてもらうし、営業さんの提案書も見せてもらいます。もちろん、前提として機密保持契約(NDA)は結んでますけどね。それでも、当該部署以外の資料は見せてはもらえないので、全体の把握はできませんね。 水嵜    たしかに、NDAを結べば、もちろん必要と判断されたものを見せていただくことは可能ですけど、制作に関係する全体像を把握させていただくのは、ちょっと大変ですよね。 ■ストーリー仕立ての提案書は、よく効く 井上    良い提案書と悪い提案書っていうテーマで話を聞きたいのですが。 水嵜     ああ、これ、よく聞かれるんですよ。でも、本当に良いも悪いもないんですよね。 井上     良いも悪いもないとは、どういうこと? 水嵜     結局、提案書をつくる素材とか情報が、私のところに来るわけで、それの善し悪しは、私が判断する話ではありません。提供された素材の使いやすさとかはあるかもしれないけど、素材自体を良いとか悪いとか思ったことありませんね。あるのは、良い作り方と悪い作り方というか、プロセスの話ですね。たとえば、パワーポイントのスキル不足でなんともできてない資料は、ちょっと扱いづらいけど、意図さえ理解できれば、どちらかというと直しがいがあると感じます。 井上     水嵜さんの視点だとそういう話かもしれないけど、世間一般だと、パワポのデフォルトで用意されているテンプレートだけでつくった、文字がものすごく大きくて、ゴチャゴチャしたスライドとかって「何だこれ?」って思いますけどね。 水嵜     それも結局、レイアウトの素地があるかないかの話になっちゃいますね。私はDTPのオペレーションをやっていたことがあるので、ページレイアウトの基本は身にしみついていますけど、一般的に職場でそこが身についている人は、まだ本当に少ないですよ。だけど、DTPは習っていなくても、パワポの操作スキルは習得している人いますよね。そういう素材であれば、調整もそれほど時間がかからずに終わりますけどね。 それ以前に大きいことがあって、実は業界によって全然作り方が違うんですよ。提案書の専門家って、世の中を見渡してみるとたくさんいて。私みたいに外資の提案書チームで仕事している人もいれば、コンサルティング会社で提案資料をつくっている方もいますし、企画書提案書を研究して本を書いてる人もいます。パワーポイントマスターみたいなスペシャリストもいます。そういう視点からいうと、どういう方向性で提案書を作るかで、正しいとされる見栄えが全然違ってきてしまうわけです。例えばコンサルタントの資料作成方法だと、見出しがあってその下に2~3行あって、全部左上に揃える、フォントはこのサイズみたいなルールがあるけど、パワポマスターが見ると、これじゃ全然駄目ってなるので、正しさの基準っていうのが、いろいろあると思います。もちろん提案シーンにもよりますしね。 井上     うちの会社は、案件によってプレゼン資料つくりますけど、基本的には、競争に勝つためにつくるので、提案書のお作法である「はじめに」があって、目次があって、会社紹介があってみたいなことをやっていたら、コンペの中で埋没しちゃうので、あえて、定石を外しにかかるみたいなことを考えるわけです。 水嵜     たしかに。構成の話ですね。 井上     自己紹介もなしで、いきなりキャッチコピーをドンと出して、「こんなことでいいんですか」とデッドボールすれすれの球を投げたりする。そういう驚きを与えて、この会社は違うと思わせることが、重要だったりするわけです。実際、資料の中で使うデータは、他社と同じだったり、製品・サービスは、それほど差がないかもしれないけども、客をハッとさせてプレゼンで勝つには、そこがすごく重要だと思っています。 実は、直近で新しいラーメンチェーンのコンセプトを考えてほしいって依頼があり、そのときの提案資料は、うちっぽいものになりましたね。コンセプトを3案つくって、先方に提案する訳ですけど、ビジネスっぽいプレゼンだと伝わらないと思ったので、ストーリー仕立てにしたんですよ。コンセプト案に沿ったお店の空間を描き、そこに仮想的につくりあげたペルソナが来店し、ラーメンを頼み、食べて、どんな体験をするかを、物語で見せたんですね。そういうプレゼンをして、この人が満足する店を作りましょう、そのためにはこういうメニューが必要です、こういう店名にしたらどうでしょうって、提案をしたわけです。 なんというか、提案書にもいろいろあって、どうやったら伝わるか、相手の心を動かせるかっていう部分が、私は一番肝なんじゃないかなと思うわけです。 水嵜     やっぱり相手の心を動かさないと、そこから先に進めませんよね。そのやり方として、ストーリーはもちろん効くと思います。特に、プレゼンテーションのセミナーをやるときにそういう話をしますね。結局プレゼンテーションって、私のスタンスでいくと、提案プロセスの一つなんですよ。提案書を提出した後、説明の場とかプレゼンテーションの場があるので、そこをイメージしてつくるのですが、提出するのは文章なんです。スライドであっても提出時の最終形が結局文章のスタンスで、印刷したときにどうなるかをイメージしてつくるんですね。 ただし、それをそのまま投影したらいいわけではなく、そこも作り直しが必要です。あとは内容の構成ですね。提案書の流れで第1章、第2章と、やっていいのかどうかもディスカッションのポイントです。その先に、ストーリーテリングで見せるみたいな手法があるわけですが、今、話されたラーメン屋さんのようなケースを伺うと、一番効くと感じます。でも、今の私の環境では、実際にそこまでやらせてもらえる話は多くないですよね。ストーリーも、いわゆる昔話的なヒーローストーリー『ロード・オブ・ザ・リング』とか『スター・ウォーズ』的なものが基本ですけど、幾つかパターンがあって、そういうものでインパクトを与えていくっていうのは有効だと思いますね。 ■プロポーザルエキスパート®として独立するには 井上     一方でプレゼンって、目の前の担当者だけではなく、決裁権を持つ上司とか社長のところまでひとり歩きしていくので、エモーショナルな表現だけではなく、なぜ利益を生むのか、どうしてコストダウンにつながるのか、そういうロジックをきちんと備えておかないと、判子を押してもらえないので片手落ちになってしまいます。そこは、専門家にきちんと試算してもらったり、資料を揃え、ロジックをつくってもらえると、我々も助かるな。 水嵜     そうですね。社内だと誰がやるか分担できる。そのフェーズでは自分も進行管理に入ります。提案過程では、そこのディスカッションが一番のポイントですね。どこの会社も、価格競争に陥らないようにしたいというのは基本中の基本で、競合分析も、あまりやり過ぎるのはよくないという議論があったりして。だから、ストーリーもそうですけれど、サービスをデザインするっていう感覚が求められていると、すごく感じますね。 井上     水嵜さんは、組織のことからデザイン、プロジェクトマネジメント、フィニッシュまで、全部が分かっているところが強みですよね。そこまでやれる人っていうのはなかなかいないと思います。 水嵜     そうでしょうかね。その辺は一個一個勉強してきた積み重ねはあるかもしれません。私としては、また一緒にやれる仲間が欲しいなって、常々思ってるんですけどね。 井上     パワーポイントマスターはいそうだけど、そこまでできる人はなかなかいないでしょう。 水嵜     いえいえ、いらっしゃるでしょう。また、意欲のあるパワーポイントマスターならあまり時間をかけずに一緒にできるようになりそうですけれど。プラスアルファで幅を広げたい気持ちのある方、大歓迎です。本来は、ディレクター目線の方の方が、プロポーザルエキスパート®には向いています。ただ、自分で手を動かさなきゃいけないところもあり、ディレクターしかやってきてないというのもちょっと。 井上     そうですね、オペレーションもちゃんとやってないとね。 水嵜     そうなんですよ。そういう意味じゃ割と、中小で何でもやってきた方のほうが向いているかもしれないですよ。 井上     例えば、そういう仕事をしてきて、水嵜さんみたいにプロポーザルエキスパート®として独立することは、あり得ますか。 水嵜     あると思います。時折、外資系を中心にそういう募集があるので、それに乗ってしまうのが、ひとつのパターンですね。外資系だと英語をある程度使いますが。それが社員なのかベンダーなのか分かりませんけど。海外だとベンダーの方は多いですよ。インディペンデント・コントラクターって言いますけど、欧米では非常に一般的です。アメリカなんて国土が広くて、会社に通えないから在宅で仕事している人も多いですよ。提案書の作成には、いろいろな知識や経験が必要なので、ある程度サービスやSE、営業をやった後に転向する方が多く、年上の方が価値があると思われるところもあるようです。ある程度の年齢から、プロポーザルの専門家になるっていうのも全然ありだと思います。私が、今一緒にやっているアジアパシフィックの人たちも、50代とかですよ。私、一番年下みたいな感じですから。 ← 第1回「提案書って誰がつくるの?」を読む 第3回「勝てる提案の原石を掘り起こす」へ続く →

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対談 第1回「提案書って誰がつくるの?」

今回の対談では、国内では数少ない提案書づくりのプロ「プロポーザルエキスパート®」の水嵜清美さんに、提案書作成についてお話を伺います。第1回は「提案書って誰がつくるの?」をテーマに、提案書づくりの舞台裏を覗いてみます。 井上     まず、これを読む人に我々が誰かわかってもらうため、自己紹介しましょう。うちは広告や冊子などのコンテンツを制作している会社です。強みは、言葉を使った表現力です。あとは、この商品・サービスが今なぜ必要で、どのマーケットにフィットするかをきちんと見極めて表現する、つまり上流からきちんとやっているところが特徴ですね。 水嵜     私もいろいろな業界に携わっていますが、IT業界のフィルターを通して見ているイメージですね。ここ10年は、お客さんが顧客企業に提出する提案書の作成支援を生業にしています。今、ある外資系企業の提案書作成支援チームの国内担当を1人でやっています。そこでは、誰もが知っているグローバル企業から金融、流通、官庁、地方自治体、中小企業まで、ほぼすべての業種をカバーしてきました。現在は一部大手に絞って支援しています。 井上    プロポーザルエキスパート®という職種なんですよね。 水嵜     はい、プロポーザルエキスパート®と呼ばれてきました。これって10年前からチームの名前だったんですよ。略して、みんなにPEと呼ばれていました。提案書の専門家のことですが、呼び名はともかく、日本以外の国では結構当たり前にいる職種ですよ。 井上      日本ではあまり聞かない気がします。 水嵜     外資系には意外といるんですけどね。プロポーザル、つまり提案書の専門家にも、いろいろカテゴリーがありまして、井上さんが一部お仕事のなかでされているような、提案書を書く人もプロポーザルライターと呼ばれています。ほかには、制作全体をまとめるプロポーザルディレクターとか、制作一件ごとの進行管理をするプロポーザルマネージャーもいます。私がいる会社ではプロポーザルマネージャーはいなくて、代わりにビッドマネージャーがいます(注:ビッドとは入札のこと)。さらに、ビッドマネージャーの仕事を請け負う人は、進行管理を実行する意味で、ビッドデベロッパーといいます。プロポーザルデベロッパーという人もいますね。海外だと、名前や組織は統一されていないのですが、社内にさまざまな役割の人が集まったプロポーザル支援チームが普通に存在しています。 井上      提案書をつくるユーザーは、やっぱり営業部隊ですか。 水嵜     基本的には営業ですけど、実質、SEさんが主導することも多いですね。これも会社によるかもしれません。 井上     普通の提案書って、営業さんが自分でパワポを使ってつくるイメージなんですけど。 水嵜     日本はね。でも、日本でも何冊ものバインダーにまとめた文書の提案書を提出しなければいけない、コンサルティング会社や、公共事業をはじめ、大きな建設・建築系のような業界などには、支援する人がちゃんといますよ。 井上     提案書にもいろいろな種類があるわけだ。 水嵜     そうなんです。表紙裏表紙を入れてスライド10枚ぐらいの提案書もあるし、厚さ5cm10cmのバインダー3冊ということもあります。こうなってくると、MS Wordでゴリゴリ書く方が効率いいので、SEさんが一生懸命書いたりします。すごくライティングスキルを問われるし、1人じゃ書けないので役割分担して、自分の役割のパートを一生懸命書く。当然、進捗管理が必要になるし、資料や図表も誰かが調達しないといけないし、このデータを出していいのか判断も必要だし、ベンダーさんが入ることもある。それだけの人数が関わると誰かが取りまとめないと進みませんよね。 ■会社の中に、提案書作成専門のコンビニがある感じ 井上      なんか全体像が見えにくいので、プロジェクトのスタートからゴールまでの典型的な流れを教えてもらえますか。 水嵜     その話に入る前に、準備段階から話しますね。まず、プロポーザルエキスパート®の仕事を立ち上げるにあたり、社内のミーティングとかに顔を出して、「プロポーザルエキスパート®は、こういう仕事をやっているのでよろしくお願いします」って、あらかじめいろいろな部門のマネジャーやメンバーにお知らせしておくことが大事です。私がプロポーザルエキスパート®とは何かをイメージしてもらうためによく使うのは、「会社の中にある提案専門のコンビニ」、そういうイメージです。直接言ったりしませんけどね。 井上      それ、わかりやすいですね。 水嵜     コンビニだからなんでも扱うわけです。小さな話だと「こういう写真とかデータ、素材を持ってますか」とか「絵を描いてもらいたいんですけど」とか、そんな感じで声が掛かる。事前に予定ができるという意味で一番ありがたいのは、年単位で動く、決められたプロセスで予定どおりに動くプロジェクトです。そういう場合、RFI(リクエスト・フォー・インフォメーション(注:情報提供依頼書))とかRFP(リクエスト・フォー・プロポーザル(注:提案依頼書))が順番に出てきます。例えば、RFIに対する回答提案書を提出して、これに勝つと次のRFPが出るのは1年後なので、そのときまたお願いしますとか、そんな感じになります。その合間には、他の会社をサポートしたりするわけです。 井上      水嵜さんは、そのプロジェクトの中で、書いたり、調べたり、データ作ったりとか、どこまで関与するんですか 水嵜     それはお客さまや案件によるし、そのときの状況にもよっていろいろですけど、たまに海外関連の話が来ちゃうと、その件にかかりきりになってしまうことがありますね。とはいえ、案件がたくさん来ても、基本的に断ったことはなくて、タイミングや必要な作業によって上手くこなせたりしますし、そうでなくても少なくとも何かの支援はします。他のチームなりメンバーなりに手伝ってもらってなんとか乗り切ってきた感じもあります。 井上     プロジェクトには、営業さんとか、技術者とか、法務とか、いろいろな部門の人が関わるのですか。 水嵜     そうですね。必要な段階で出てきていただく感じですね。他社と一緒にプロジェクトを進める場合もありますよ。価格だったり、製品やサービスの仕様だったり、その提供の方法だったり、複数の会社と組む場合は契約関係だったり、いろいろイレギュラーなところがあって、会社としてはそこを一番気にするので、私がウォッチしていて「そこは気を付けてください」って言っていくのが一番上のレベルでの支援です。本当に支援レベルによります。提案書って1件1件本当にちがうものなんですよね。   ■提案書づくりは、準備が7割 井上      提案書ってことは、必ず競争相手がいるってことですか。そうとは限らない? 水嵜     そうとは限りません。でも、基本的に他社は意識しています。公共の入札案件とか、大規模案件だと、いろいろな会社が寄ってくるので、必ず競合はいて、その分析はします。私が企業研修の講師をするときには、そういうセオリーややり方を一通りお伝えします。 井上     コンペで勝つには、価格で勝負ってこともありますよね。 水嵜     実はそれが一番かもしれませんよね。ただ、私のところに来る案件は、もちろん提案内容で勝つこともあるし、営業さんががっちりお客さんつかまえているから勝てるとか、「今回はコストでいくんだ」とか、いろいろあります。勝つためのテーマを決めるディスカッションは、一番重要なプロセスかもしれませんね。私は研修のとき、プロセスの7割は準備だと言っています。その7割の準備の中に、そういう分析とかテーマ作り、構成作りが全部入っているわけです。だから、スライドとかMS Wordで文書をつくる作業は、本当に最後の部分です。 井上     それだけ、いろいろな業務に関わるには、幅広い知識と組織内の人脈が必要になるよね。 水嵜     たとえば限られた広さのオフィスの中だと、ある程度お互いの顔がわかっているので、手順を踏む必要はありますけど、私がわざわざ間に入ってかかる時間を長くする必要はないですね。大事なことは声掛け、進捗管理です。忘れないように、「これをしっかりしていきましょう」っていうところくらい。ただ、全体の進行状況を常に把握するのとリスク管理は大事ですね。 さっき質問された、プロジェクトの手順を簡単に説明しますね。最初に仕事の依頼が来たら、まず営業さんにヒアリングして、依頼申請手続きをしてもらいます。こういう案件で誰が担当みたいな。それから、必要な関係者を挙げてもらいキックオフミーティングをやります。その時点で、方向性とか、手順とか、事前にヒアリングした内容を話してみんなに認知してもらいます。そこから制作のプロセスがスタートして、みんなで手分けして最初のレビューやりましょうとか、次ここで2回目のレビューやりましょうとか。入札の案件だと、お客さんに対して質問する期間が決められているので、その質問期間や回答の反映過程も押さえないといけませんね。 ■提案を受けたクライアントが、目の前で他社の発注書を破り捨てた 井上     我々のような広告業界の人間は、提案書って言うとプレゼン資料とかカンプ(サンプル)で、そこはロジックも大事なんだけど、やっぱり見せ方がすごく重要なんですよね。提案書をつくるとき、見せ方とか、表現とかって、どのくらい意識していますか。 水嵜     提案の何が効いて案件を獲得できたのか、私もすごく知りたいのですけど、たまにしか聞こえてこないんですね。でも、提案書を見せたら、その場でお客さんの態度が変容して、目の前で他社への発注書を破いてくれたっていう劇的な出来事は聞いたことありますけど。 井上      すごい。かっこいい。 水嵜     それから、なかなか提案を見てもらえない某有名企業の社長さんに向けて、提案ビデオをつくったことがあるんです。海外にある本社で持っていた動画素材に日本語字幕を付けて、ハンディカムで撮影した映像と合わせて編集しました。お客さんの中のIT部署の皆さんと「これでどうかな、響くかな」みたいな感じで一緒につくって、それを見せました。そうしたら、あとから聞いた話ですが、そのお客様の社長が「これの検討はもう進めてるのか」と突然言いだし、担当者が「まだです」と言ったところ、「すぐにやれ」の一言で導入が決まったということもありました。そう言う意味で、やはり、見せ方、選び方や、見てすぐ分かるっていうのは、基本中の基本で、それは常に念頭に入れているつもりです。 だから、サービスレベルの話でいうと、プロジェクトマネジメント的な進行管理と制作編集の部分を両方やるフルサービスが一番上だとすると、中間が結構幅広くて、そこはドキュメントの制作担当者としてサポートする感じなんですね。そこまで、プロジェクトの全部を追いかけないというサービスの仕方もあるわけです。そのレベルだと、お客さんの時間とか皆さんの制作の進捗具合を考慮して、できる範囲でわかりやすく、きれいに仕上げていくという作業になります。一番下のレベルは、半日ぐらいで、もう本当に見出し周りとページのヘッダーフッター揃えと、表紙みたいな最後の仕上げだけちょっと手伝うっていう感じですね。 第2回「勝てる提案書のつくり方」へ続く →

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業績が伸びない原因は、技術力や商品力ではないかもしれない。 5年後の勝敗を分けるルールメイキング戦略とは。

「ルールメイキング戦略」という言葉をご存知でしょうか。2014年に経済産業省にルールメイキング戦略室が設置されたり、2016年6月、多摩大学内に「ルール形成戦略研究所」が創設されたり、2016年11月に「世界市場で勝つルールメイキング戦略 ~技術で勝る日本企業がなぜ負けるのか~」(朝日新聞出版)が出版されたり、近年ビジネス界を中心に注目を集めています。私は仕事柄、企業のトップやキーマン、エンジニア、マーケッター、アナリスト、研究者、政治家、行政官僚など、世の中を動かす仕事をしている方々への取材が多いため、時代のキーワードに接する機会が非常に多く、そこで今ひっかかっているのがルールメイキング戦略です。 私は学者や専門家ではないので、具体的な定義や概念は、ネットの情報や専門書に任せるとして、ここでは私がビジネスの中で感じたことを記載します。 ■ルールメイカーになるか、ルールテイカーで終わるかそもそも私は、過去10年間ほど、世界でトップ5に数えられる外資系の超大手IT企業と仕事をしています。そこで私がしている仕事は、販促活動でも広告制作でもありません。日本の政策立案に関わる有識者(国会議員・中央省庁および地方自治体の役人・審議会に参加するような影響力のある企業人・研究者など)を対象とするロビイング活動に必要な情報誌をつくっているのです。 その活動を通じて感じたのは、世界で市場を席巻している企業は、本当にルールメイキングがうまいということです。自分たちが目指すゴールに向けて、どうすれば市場の流れを変えられるのか、誰がルールを決めているのか、どんな情報を提供すれば有利な状況をつくれるのか、常に戦略を練り、きちんとそこに投資しています。 一方、日本企業の中には、自分たちで市場のルールを変えられると考えている人はほとんどいません。決められたルールからはみ出さないように神経を使い、自分たちの技術・サービスがどうすればそこにハマるのかばかり考えています。つまり、ルールメイカー(ルールをつくる人)ではなくルールテイカー(ルールを守る人)なのです。 たとえば、「Industry 4.0」、「Digital Translation」、「Connected Car」なんていうキーワードがありますが、これは外資系企業が市場で有利に戦うためにつくった枠組みのひとつです。そんなのは技術の話でルールじゃないと思うかもしれませんが、その裏には綿密なルールメイキング戦略があります。彼らはそのキーワードを戦略的に用いることで、新たな市場を創出し、関係者に働きかけて自らが有利になるルールの作成に向けて動いているのです。 ■業界のルール作りなら昔からやってきたと、昭和の社長は言う。ルールメイキング戦略なんて、欧米企業は昔からやってきたことだし、高度成長期には日本企業もやっていたことで、今さら何を、と思う方もいるでしょう。では、なぜ今脚光を浴びているのでしょうか。 その背景には、テクノロジーの急速な発展があります。特に、ここ5~10年の変化は驚嘆すべきものがあります。一番大きな出来事は、わずかな資本と優れた頭脳、卓越したルールメイキングのスキルさえあれば、数人でも世界を驚嘆させるサービスを生み出し、市場のリーダーになれてしまうことです。 UBER、Airbnb、Snapchatなどは、その典型例です。日本ではメルカリですね。今までにないサービスをつくりだすと、競合もいない、市場のルールも定まっていない、適用する法律もないなんてことは、当たり前です。逆に、規制があるから誰もチャレンジできなかったということもあります。新しい市場をつくるために必要なのは、技術やアイデアだけではなくルールメイキング戦略です。そして、それは必ずしも政治家や行政、業界団体、標準化組織などに働きかけることを意味していません。まず、無料でサービスを提供し、ユーザーを獲得してデファクトスタンダードになるフリーミアム戦略もひとつのルールメイキングの手法と考えていいと思います。消費者の支持を得てしまえば、規制を変える方向に行政を動かすこともさほど難しくありませんから。 ルールメイキングを語るときに欠かせない、もうひとつの背景が新興市場の急成長です。特にASEAN地域の新興国は、これから10年で世界の経済を牽引するエンジンになるといわれています。にもかかわらず、新興国市場は、まだ市場のルールがきちんと定まっていません。ルールメイキング戦略を持っていれば、この新しい市場で大きな存在感を発揮することができます。もちろん、世界中の企業がその機会をうかがっているので、容易にルールメイクできるわけではありませんが、大きなチャンスがあることは間違いありません。 ■うちの会社にはルールメイキングなんて関係ないと思っていませんか?ルールメイキングなんて、政治家や行政にコネを持つ大手企業にしかできないなんて思ってはいけません。先ほども例を挙げたたように、今はテクノロジーを活用すれば、立ち上げたばかりのスタートアップでも、新たな市場を創出し、ルールメイカーになれる可能性があるのです。日本の企業は、技術やサービス、商品を尖らせることにばかりに注力しがちですが、もっと大きな視点で、自分たちがルールメイカーになるための戦略に投資するべきではないでしょうか。 さらにいえば、ルールメイキングって日々の営業活動とか、コミュニティーの中とか、小さなレベルにも適用できるのではないかと、個人的には考えています。要するに、これって自分たちの活動を有利に進めるために周りを味方につけていくための活動ですから。考えてみれば、小学校のクラスにも、さりげなくルールつくって優位に立つ人っていましたよね。

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