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業績が伸びない原因は、技術力や商品力ではないかもしれない。 5年後の勝敗を分けるルールメイキング戦略とは。
- [更新日]2020/11/19
- [公開日]2017/10/26
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- 株式会社広告と写真社
「ルールメイキング戦略」という言葉をご存知でしょうか。
2014年に経済産業省にルールメイキング戦略室が設置されたり、2016年6月、多摩大学内に「ルール形成戦略研究所」が創設されたり、2016年11月に「世界市場で勝つルールメイキング戦略 ~技術で勝る日本企業がなぜ負けるのか~」(朝日新聞出版)が出版されたり、近年ビジネス界を中心に注目を集めています。
私は仕事柄、企業のトップやキーマン、エンジニア、マーケッター、アナリスト、研究者、政治家、行政官僚など、世の中を動かす仕事をしている方々への取材が多いため、時代のキーワードに接する機会が非常に多く、そこで今ひっかかっているのがルールメイキング戦略です。
私は学者や専門家ではないので、具体的な定義や概念は、ネットの情報や専門書に任せるとして、ここでは私がビジネスの中で感じたことを記載します。
■ルールメイカーになるか、ルールテイカーで終わるか
そもそも私は、過去10年間ほど、世界でトップ5に数えられる外資系の超大手IT企業と仕事をしています。そこで私がしている仕事は、販促活動でも広告制作でもありません。日本の政策立案に関わる有識者(国会議員・中央省庁および地方自治体の役人・審議会に参加するような影響力のある企業人・研究者など)を対象とするロビイング活動に必要な情報誌をつくっているのです。
その活動を通じて感じたのは、世界で市場を席巻している企業は、本当にルールメイキングがうまいということです。自分たちが目指すゴールに向けて、どうすれば市場の流れを変えられるのか、誰がルールを決めているのか、どんな情報を提供すれば有利な状況をつくれるのか、常に戦略を練り、きちんとそこに投資しています。
一方、日本企業の中には、自分たちで市場のルールを変えられると考えている人はほとんどいません。決められたルールからはみ出さないように神経を使い、自分たちの技術・サービスがどうすればそこにハマるのかばかり考えています。つまり、ルールメイカー(ルールをつくる人)ではなくルールテイカー(ルールを守る人)なのです。
たとえば、「Industry 4.0」、「Digital Translation」、「Connected Car」なんていうキーワードがありますが、これは外資系企業が市場で有利に戦うためにつくった枠組みのひとつです。そんなのは技術の話でルールじゃないと思うかもしれませんが、その裏には綿密なルールメイキング戦略があります。彼らはそのキーワードを戦略的に用いることで、新たな市場を創出し、関係者に働きかけて自らが有利になるルールの作成に向けて動いているのです。
■業界のルール作りなら昔からやってきたと、昭和の社長は言う。
ルールメイキング戦略なんて、欧米企業は昔からやってきたことだし、高度成長期には日本企業もやっていたことで、今さら何を、と思う方もいるでしょう。では、なぜ今脚光を浴びているのでしょうか。
その背景には、テクノロジーの急速な発展があります。特に、ここ5~10年の変化は驚嘆すべきものがあります。一番大きな出来事は、わずかな資本と優れた頭脳、卓越したルールメイキングのスキルさえあれば、数人でも世界を驚嘆させるサービスを生み出し、市場のリーダーになれてしまうことです。
UBER、Airbnb、Snapchatなどは、その典型例です。日本ではメルカリですね。今までにないサービスをつくりだすと、競合もいない、市場のルールも定まっていない、適用する法律もないなんてことは、当たり前です。逆に、規制があるから誰もチャレンジできなかったということもあります。新しい市場をつくるために必要なのは、技術やアイデアだけではなくルールメイキング戦略です。そして、それは必ずしも政治家や行政、業界団体、標準化組織などに働きかけることを意味していません。まず、無料でサービスを提供し、ユーザーを獲得してデファクトスタンダードになるフリーミアム戦略もひとつのルールメイキングの手法と考えていいと思います。消費者の支持を得てしまえば、規制を変える方向に行政を動かすこともさほど難しくありませんから。
ルールメイキングを語るときに欠かせない、もうひとつの背景が新興市場の急成長です。特にASEAN地域の新興国は、これから10年で世界の経済を牽引するエンジンになるといわれています。にもかかわらず、新興国市場は、まだ市場のルールがきちんと定まっていません。ルールメイキング戦略を持っていれば、この新しい市場で大きな存在感を発揮することができます。もちろん、世界中の企業がその機会をうかがっているので、容易にルールメイクできるわけではありませんが、大きなチャンスがあることは間違いありません。
■うちの会社にはルールメイキングなんて関係ないと思っていませんか?
ルールメイキングなんて、政治家や行政にコネを持つ大手企業にしかできないなんて思ってはいけません。先ほども例を挙げたたように、今はテクノロジーを活用すれば、立ち上げたばかりのスタートアップでも、新たな市場を創出し、ルールメイカーになれる可能性があるのです。日本の企業は、技術やサービス、商品を尖らせることにばかりに注力しがちですが、もっと大きな視点で、自分たちがルールメイカーになるための戦略に投資するべきではないでしょうか。
さらにいえば、ルールメイキングって日々の営業活動とか、コミュニティーの中とか、小さなレベルにも適用できるのではないかと、個人的には考えています。要するに、これって自分たちの活動を有利に進めるために周りを味方につけていくための活動ですから。考えてみれば、小学校のクラスにも、さりげなくルールつくって優位に立つ人っていましたよね。
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