農業×テクノロジーで日本の高齢化社会に変革を起こせるか

日本は間も無く超高齢化社会をむかえることになります。そして、農業もまた少子高齢化による影響を大きく受ける分野です。高齢就農者への大きな負担、後継者不足によって農業を継承できなくなってしまうことによる日本の自給率低下です。これらを解決するために「アグリテック」の活用が推進されています。
今回は、アグリテックの基本的知識と、具体的にどのようなアグリテックの活用方法があるのかを解説します。

アグリテックとは

アグリテックとは、Agriculture(アグリカルチャー)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語になります。Row-Technologyである農業においての課題をICTやAI、ロボット技術などで解決をする意味合いを持ちます。
日本では、「スマート農業」という言い方をするシーンもあります。基本的にはアグリテックと同様の意味を持ちます。

近年の日本は、農業における就農者の減少と既存農家の高齢化によって、労働者不足、後継者不足が深刻な問題になっています。何が深刻化というと、それは「日本の自給率低下」です。自給率が低下すること、食料を海外からの輸入に頼ることになりますので、もし輸入が止まってしまうと食糧難に陥ることになるのです。
農業は、若い就農者を増やしたいと思っても、農業へのイメージによって若者に敬遠され、栽培技術やノウハウを伝承することが難しい状況なのです、そういった課題をテクノロジーで解決しようと考えられているのが、アグリテックになります。

アグリテックの課題解決

ここでは、アグリテックの目的から具体的な課題解決について解説します。

① 農作業における労力軽減、省力化

昨今の日本は、農業分野において農家の高齢化が進み、後継者不足に陥っています。そして高齢の就農者の軽労化も必至なこともあり、ICTなどのテクノロジーを活用してそれらを支援することが求められています。

② 農業技術の継承

農業のノウハウは、それぞれの農家によって属人化しており、それらを継承する人がいなければそこで途絶えてしまいます。継続的に農業を継承していくためには、それらのノウハウをシステム化する必要があります。

③ 食料自給率の向上化

農作物の収穫量は、天候に左右される部分が大きいです。自給率を向上させるためには、毎シーズン一定量の収穫を見込めることが重要になってきます。そこで、天候に左右されない確実な収穫量に向けてのシステム管理、ロボットなどによる自動化サポートなどが必要になります。

アグリテックの主な取り組みと、活用のメリット

農業において、テクノロジーを活用することで、どのようなメリットが得られるのかを紹介します。

アグリテックの主な取り組み

ロボット技術×農業

農作業におけるロボットを採用することで、自動操縦による農作業の軽減化が見込めます。例えば、収穫作業などの繰り返し作業はロボットの得意分野です。作業の自動化をはかります。

また、ロボットに組み込む機能として、カメラやセンサーによってデータ取得を行い、それらを分析することで新たなルーティン化や改善案の模索などに活用することができます。また、農薬の散布などはドローン飛行を用いることで、人への負担は大きく軽減することが可能です。

収穫した作物を、出荷するための作業（選定作業、箱詰めなど）も自動化することができます。これまで、大規模な工場などでしか利用することが困難だったロボットなども、価格を抑えたロボットの実現が最近では可能になってきています。

ビッグデータ×農業

農業では、天気や温度を始め日々のデータ蓄積とそれらデータの解析によって、効率的な栽培管理を行うことができます。いわゆるビッグデータを集めることと、それらをどのように活用できるかを計画すること、ということが重要です。

例えば、作物の生育状況、病気、日照による変化、収穫可能時期など、データから予測できることが多くあります。天候は特に日々変わり、毎年全く同じ天候ということはないので、いかにしてデータから予測できるかというのは、データが蓄積されているかどうかにかかっている部分が大きいです。

AI（人工知能）×農業

農作物に関するビッグデータを蓄積できていることで、AIを活用してノウハウのシステム化を実現することが可能です。農業の知識がない人でも、農業に従事できるようにすることが人手不足の解消に繋がります。作物の成長度合いの解析、収穫時期の予測や判断をAIの活用で解決できます。

アグリテック活用のメリット

✔︎作業効率化

農業のイメージとして、「キツい」というのは、なかなか払拭できません。しかし、アグリテックの活用によって、それらのイメージは払拭されると考えられます。キツいというイメージは、人に負荷がかかる作業を繰り返しやっていかなければいけないというところからの部分も多いです。
システムによるそれらの自動化などにより、人への負担が軽減されます。

✔︎収穫量のアップ

システムの予測や判断によって、一定量の収穫が見込めるようになること、そしてロボットによる収穫が可能になることで、収穫量の予測や収穫量のアップを実現することが可能になります。

✔︎イメージの払拭

アグリテックの活用によって、人間にとっての重労働が軽減されます。これまでの農業へのイメージである「キツい」「厳しい」「汚い」というのは払拭できる可能性が高いです。
むしろ、最先端のテクノロジーを活用することで、「カッコいい」というイメージに変換することも可能になるかもしれません。

✔︎技術データ化

農業の技術ノウハウを習得するには、多くの時間を要します。しかし、それらをデータ化され分析できることで、初心者でも参入しやすい環境を作ることができます。

世界のアグリテックの成功事例

アグリテックは、日本以上に海外ではとても進んでいます。その理由として、世界的には人口増加によって食料不足が予想され、問題視されているからです。
そこで、世界で話題になっているアグリテックについて紹介します。

200億円の資金調達を実現

サンフランシスコに本社を置く「Plenty」は、センサーやLEDを使用してデータ解析を行い、最適な農法を分析して取り入れています。最新技術をインドア農業に取り入れている特徴があり、スタートアップで200億円の資金調達に成功しています。

スタートアップ2年で黒字化を実現

ボストン郊外で創業された、「コンテナの中で水耕栽培をする」という栽培技術が左第二なったFreshbox Farmsが、創業から2年足らずで黒字化を実現しました。

生産コスト50％削減

種まき、水撒き、植え替えなど、栽培段階の全てを、ロボットアームを活用することで自動化をはかることに成功した「Iron Ox」は、生産にかかる人件費を５０％カットできると見込まれています。

まとめ

今回は、アグリテックについての基本的知識と合わせて活用方法などを解説してきましたが、いかがでしょうか。
ITは、これまでのオフィス作業軽減のみならず、あらゆる業界で活用されることによるコスト削減や業務軽減に役立てられる方向性にあります。
まだまだ研究段階でもある農業分野ではあるものの、今後は実用化でのシーンを目にすることも増えるのではないでしょうか。ITの活用範囲が増えることで、それらに携わる人材の活用の広がりも考えれられます。