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要件定義における「目的思考」とは?

要件定義とは、新しいシステムやソフトウェアを開発する前に、
「何を作るか」や「どんな機能が必要か」を具体的に決める重要な工程のことです。
これを一言で表すと、システム開発の土台を作る作業と言えます。

要件定義は難しい

開発プロジェクトのなかで、要件定義は重要なフェーズです。
IPAの資料によると、工期遅延理由に関して、全体の55%が要件定義の問題とされています。
(残りの45%はプロジェクト管理による問題)

IT業界は、AI活用、仮想化、分散処理など各分野において
革新を重ねており、業務の効率化や省力化だけでなく、売上や利益の拡大や
顧客満足度の向上といったニーズも要求されるようになり多様化してきています。
このような背景を受け、業務の見直しが必要なシステム開発案件が増加し、
要件定義が難しくなると同時に、より重要になっています。

顧客のニーズは時間の経過や状況に応じて移ろいやすく、
たとえ緻密にヒアリングを行ったとしても、満を持してリリースした頃には、
顧客の求めていることが変わってしまっている可能性があります。

これを避けるための手法として、目的思考について紹介していきたいと思います。


要件定義とは

要件定義の意味を理解するうえで、「要件」と「定義」を分けて考えると整理がしやすいです。

・要件:クライアントが求める条件のこと
・定義:物事の意味・内容を他と区別できるように、言葉で明確に限定すること

以上をまとめると、要件定義とは、
ユーザーの目標達成のため、情報システムに求められるものを定め、
その範囲を明らかにする(文書化する)プロセスのことを指します。

また、「要件」よく似た言葉として「要求」「要望」があります。
それぞれ以下の意味があります。

・要望:クライアントからの『こんなのがあるといいな』ぐらいの弱いお願い
・要求:クライアントからの『これが必要』という、ある程度強い依頼

いずれも取り組む価値があるかどうかを吟味して、
本当に必要なものを厳選し、要件として抽出していく必要があります。

要件定義における目的思考

「目的思考」についての話をする前に、例題を出したいと思います。
以下のような悩み事があった場合、あなたはどのような回答をしますか?

背景

ここに、定食メニュー20種以上、平均700円で提供する和定食の湘南食堂があります。
湘南食堂は、狭い店に6卓のテーブルとカウンター席が並んでおり、
ゆっくりくつろげる雰囲気はありません。
料理を作る店主と料理人、女性アルバイト4人で切り盛りしており、
料理の味や、ボリュームは十分であるとあなたは感じています。

悩み

最近お客さんが減って困っている。この3か月で売り上げが2割も減った。
3か月前に有名シェフが経営するお店がオープンしたことが影響している。
その店は高級店並みのフランス料理を手頃な価格で提供するチェーン店。
ランチは5種のメニューに絞り、最も安いもので1100円でドリンクが付く。

そこでお客さんを増やすためにランチサービスを始めようと思っているが、次の2案で迷っている。
案①:食後に無料でドリンクを提供するサービスを始める
案②:ライスの大盛りを無料にする

要望・要件の四つの階層

「要望・要件の四つの階層」について説明します。
要件定義の検討をする際には、①経営レベル、②業務レベル、③仕組みレベル、④システムレベルの
四つの階層に分けてヒアリングした内容を整理します。すると以下の様になります。

目的思考とは、無駄な要望・要件を排除し、必要で重要な要件に絞り込むスキルのことです。
一般的には以下の5つの手順を踏んで対策要否を判断していきます。

目的思考を使った要望の評価

では、目的思考で例題の要望を評価した結果はどうなるでしょうか。

結論としては、どちらの案も効果が低くリスクもあり、
有効ではないため採用されませんでした。
このように目的思考では、リスクと効果を天秤に掛けることで、
お客様にとって”有効な要望”を評価し、絞り込むことができます。

湘南技術センターにぜひご相談ください

弊社では、要件定義から設計・開発・テストまで幅広くサポートしております。
お客様のニーズに合わせた多様なシステムに対応可能ですので、ぜひご相談ください。

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EDITOR PROFILE

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塩見 和則

ご覧いただきありがとうございます。
湘南技術センター株式会社の塩見和則と申します。

私は立命館大学大学院 情報理工学系研究科を修了し、
生協事業向けの個人帳票印刷システムの開発と運用保守、製造業向けのスマートファクトリー、
製造現場のペーパーレス化及びデータの見える化のプロジェクトに参画しました。
また最近では、バックオフィス業務改善プロジェクトにおいて、
kintoneとAzureを活用したアプリケーションの開発を行い業務効率化に貢献しています。

現在は、社内のDX推進をはじめ、社外のシステム開発プロジェクトにおける提案や運用・保守にも携わっています。
さまざまな業務に対応できる幅広い技術力を持ち、プログラム開発やWindowsアプリケーションの実装、
Webサイト構築、Excelマクロ開発、BIツールの導入支援、kintoneの構築や運用サポート、
Amazon Web Service(AWS)、Microsoft Azureの構築・運用サポートにも対応可能です。

保有資格として、応用情報技術者、G検定、kintone認定アソシエイト、Microsoft Azure Administrator、
Python3エンジニア認定基礎試験、ITパスポート、情報セキュリティマネジメントがあります。
対応可能な言語は、Python, Java, JavaScript, PHP, SQL, VB.NET, HTML/CSS, C#です。

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