WEBアプリ開発に最適な言語とは？特徴やおすすめタイプも確認！

ショッピングサイトやSNS、業務管理システムなど、さまざまな場面で活躍するWEBアプリ。「ユーザーの利便性を高めるために自社のWEBアプリを改良したい」「業務効率化のために業務管理システムを一新したい」など、WEBアプリを新たに開発したいと思っている企業も、多いのではないでしょうか。

WEBアプリを開発するためのプログラミング言語は複数あり、WEBアプリの特性によって、相性がいいプログラミング言語も違ってきます。選択する言語を間違えると、無駄に膨大な開発工数がかかってしまう事態にもなりかねません。

そこで、最適なプログラミング言語が選択できるよう、WEBアプリ開発に使用するプログラミング言語の種類や特徴、おすすめの人を詳しく解説します。

1.　アプリケーションの種類を確認しよう！

アプリケーションは、大きく3種類に分類できます。それぞれのアプリケーションの概要は、下表のとおりです。

・WEBアプリ

WEBブラウザからアクセスして操作するアプリです。プログラムの実体はインターネット上のサーバーにあり、WEBブラウザを介してサーバー上のアプリの表示や操作を行います。従来のWEBアプリは、デバイスがもっているカメラや位置情報などのネイティブ機能は使えませんでしたが、PWA技術を使えば、ネイティブ機能も使えるようになってきています。プログラムはOSに依存しないため、AndroidやiOS、Windowsなどのマルチプラットフォームで動作します。

・ネイティブアプリ

デバイスにインストールして使用するアプリケーションです。プログラムの実体はデバイスにインストールされるため、インターネットに接続していなくても使うことができます。カメラなどのネイティブ機能も使えます。OSプラットフォームごとに開発環境が異なるため、プラットフォームごとの開発が必要になり、開発工数が大きくなります。

・ハイブリッドアプリ

WEBアプリとネイティブアプリの特徴をあわせもつアプリケーションです。プログラムの実体は、デバイスにインストールします。カメラなどのネイティブ機能も使えます。操作や表示は、デバイスに搭載されたWEBView機能を介して行うため、Android、iOS、Windowsといったプラットフォームごとの開発が不要になります。

本稿では、これら3種類のアプリのうち、WEBアプリについてのメリット・デメリットやおすすめの開発言語を紹介していきます。

2.　WEBアプリを開発するメリット・注意点

まず、WEBアプリケーションを開発するメリットや注意点を解説します。

メリット

WEBアプリには、これらのメリットがあります。

• マルチプラットフォーム対応が楽
• アプリを配布しなくていい
• ユーザーに常に最新バージョンを提供できる
• PWA技術で、ネイティブアプリのような機能を持たせるとも可能

それぞれのメリットについて詳しく説明します。

マルチプラットフォーム対応が楽

WEBアプリケーションは、プログラムの実体をインターネット上のサーバーにもち、WEBブラウザを介してプログラムの操作や表示を行います。このため、プログラムはAndroidやiOS、WindowsといったOSプラットフォームに依存しません。

いったん開発してしまえば、どのプラットフォームからでも、WEBブラウザを介して実行ができます。マルチプラットフォームの対応が簡単なため、ネイティブアプリに比べて、開発工数を削減できます。

アプリを配布しなくていい

WEBアプリは、サーバー上にプログラムをデプロイすれば、ユーザーが利用できる状態になります。ネイティブアプリのように、ユーザーにダウンロードさせる必要はありません。そのため、GooglePlayストアやAppStoreに掲載するために、厳しい審査を受ける必要もありません。

ユーザーに常に最新バージョンを提供できる

WEBアプリは、バグ修正や機能追加といったバージョンアップも、サーバーのプログラムの修正だけでできます。

サーバー上に、バージョンアップ版のプログラムをデプロイするだけで、全ユーザーが一斉にバージョンアップ版を使えるようになるのです。このため、ユーザーは機能追加やバグ修正の恩恵をすぐに受けられます。

開発する側にとっても、ユーザーが常に最新版を使ってくれると、既知の不具合に関するクレームを受けることがないので安心です。

PWA技術で、ネイティブアプリのような機能を持たせることも可能

PWA(Progressive Web Apps)とは、モバイル向けのWEBサイトをアプリのように使える技術です。
PWA技術を使えば、ネイティブアプリのような次の機能をWEBアプリに持たせることができます。

• ホーム画面にアイコンを追加でき、ワンタッチでWEBアプリの起動ができる
• オフラインでもWEBアプリの起動ができる
• プッシュ通知やカメラ起動といったネイティブ機能が使える(プッシュ通知はAndroidのみ)

注意点

PWA技術を使えば、WEBアプリでもプッシュ通知やカメラ起動といったネイティブ機能が使えるようになってきました。ですが、2021年12月時点ではPWAでプッシュ通知が使えるのはAndroidのみで、iOSではプッシュ通知は使えません。

WEBアプリの開発では、PWAの導入も含めて、いかにユーザービリティ（利便性）を確保するかを、しっかり検討する必要があります。

3.　WEBアプリ開発に最適な言語

WEBアプリ開発では、次のプログラム言語がよく使用されます。

それぞれの言語について、詳しく解説します。

HTML / CSS

HTML／CSSは、WEBページを表現するのに使われる言語です。HTMLは、タグを用いてWEBページの構造を記載します。CSSは、WEBページのデザインを記述するスタイルシートで、HTMLとセットで使われます。

HTML/CSSは、構造やデザインを記述する言語のため、アルゴリズムを記述するプログラミング言語とは異なります。

おすすめの人

• 企業のWEBページを制作したい人
• 商品のランディングページを制作したい人

Java

Javaは、 組み込みプログラムからAndroidアプリ開発まで、非常に多くの場面で使われている定番のプログラミング言語です。

動作前にコンパイルして実行ファイルを生成しておくコンパイラ型言語のため、動作が速いのが特徴です。そのため、アクセスが集中するシステムやWEBアプリの開発に向いています。

また、JavaはJavaVMと呼ばれる仮想マシンの上で実行されます。JavaVMがOS依存を吸収してくれるため、JavaプログラムはOSに依存せずマルチプラットフォームで動作させることができます。

おすすめの人

• アクセスが集中しやすい業務システムなどを開発したい人
• 動作が速いWEBアプリをマルチプラットフォームで提供したい人

JavaScript

JavaScriptは、HTMLやCSSで作られたWEBページに動きをつけるために使われる、プログラミング言語です。

JavaScriptはクライアント側のWEBブラウザ上で動作するスクリプト言語であり、サーバーと通信せずにWEBページにさまざまな動きをつけることができます。

たとえば、以下のようなことができます。

• アイコンにマウスカーソルを当てるとアイコンが強調される
• 申請フォームで未入力の欄を赤く表示する

おすすめの人

• ユーザーの操作によって見た目が変化する、オシャレなWEBページを作りたい人
• 自社のWEBページに動作をつけて、ユーザーの利便性を高めたい人

Ruby

Rubyは、日本人であるまつもとひろゆき氏によって開発されたプログラミング言語です。現在はオープンソースとして公開され、多くの開発者が関わり、バージョンアップを繰り返しています。オープンソースのため、誰でも無償で使用できます。

RubyをベースとしたフレームワークであるRuby on Railsは、WEBアプリ開発に広く使われています。とくに、サーバーと連携して動作するショッピングサイトやSNSサイト、業務管理システムの開発に使われています。

WEBアプリを短いコードで構築できるため保守性にも優れており、機能追加を繰り返しながら、充実させていく予定のWEBアプリ開発にも向いています。

おすすめの人

• サーバーと連携して動作するショッピングサイトやSNSサイト、業務管理システムなどを開発したい人
• 機能追加を繰り返しながら充実させていく予定のWEBアプリを作りたい人

Python

Pythonは、シンプルで読みやすいプログラム言語です。Pythonには、正規表現や数学関数、通信プロトコルといった標準ライブラリが豊富に用意されています。そのため、科学技術の分野でよく使われてきました。AI分野のライブラリも充実しているため、最近ではAI開発で主力のプログラミング言語になっています。

おすすめの人

• AI開発をしたい人

Go言語

Go言語は、Googleの開発者が開発したプログラミング言語です。2009年に開発された後発のプログラミング言語で、開発者の経験を元に、さまざまな言語の長所を取り入れ、短所を抑えた言語です。

動作前にコンパイルして実行ファイルを生成しておくコンパイラ型言語のため、動作が速いのが特徴です。コードがシンプルで読みやすく、最新の画像分析や並列処理といった技術のライブラリも要されているため、今後のWEBアプリ開発の主力になりえる将来性のある言語です。

おすすめの人

• 動作が速いWEBアプリを開発したい人
• 画像分析するAIアプリを開発したい人

4.　まとめ

WEBアプリ開発に使われるプログラム言語はいくつもあり、それぞれに特徴があります。WEBアプリ開発の際は、各プログラム言語の特徴をよく理解して、開発したいWEBアプリに合ったプログラム言語を選択することが重要です。

選択したプログラミング言語が開発したいアプリと合っていない場合、開発に膨大な工数がかかってしまうためです。

とはいえ、すべてのプログラミング言語の技術者を自社だけでそろえておくのは、現実的ではありません。馴染みのないプログラミング言語でアプリ開発をしたい場合は、その言語のエキスパートがいる外注先に委託するのもおすすめです。