【背景と実施概要】
ブロックチェーンを用いた電子書籍の著作権管理についての実証実験プロジェクトの遂行の補佐と、システムの設計、開発を実施しました。本件は、経済産業省のブロックチェーン技術を活用したコンテンツの流通に関するシステムの開発・実証に関する補助事業に採択された案件で、株式会社実業之日本社を主幹事とした取り組みです。 ( https://www.j-n.co.jp/news/?article_id=561 )

当社は、提案書作成からデモおよび報告に至るまでの全てのプロセスを補佐いたしました。また実証実験システムの開発は3社共同開発で、プロジェクトの全体統括も担いました。

【進め方】
お客様である実業之日本社様は、出版業界の著作権管理について課題感をお持ちでした。当社はその内容について何度も議論を重ねて具体化し、出版業界の商習慣に合わせたシステムアーキテクチャを設計して解決策検討を補佐し、提案書という形で具現化しました。採択後は、開発チームを編成して、当社を含む3つのチームでシステムを開発しました。また、プロジェクトの報告とデモンストレーションの指揮も担当し、無事にプロジェクトを完了させました。

【システム概要】
出版業界の複雑な商流、商習慣をなるべく壊さない様にしながら、商流の中で発生する各種契約についての情報をブロックチェーンに書き込み、電子書籍のサイトで正しい契約に基づく出版コンテンツであることをWebで提示するシステムを開発しました。

本プロジェクトでは、海賊版出版物ではないことを、読者が客観的に判断できるようにするために、著作権を直接表現するのではなく、正しい契約行為が商流の中で取り交わされたという事実を提示するようにしました。例えば、ある電子書籍コンテンツについて、著者と出版社、出版社と取次、取次と書店がそれぞれ正しく契約を交わしたという事実があれば、それは海賊版ではなく正規の書籍であると判断できます。

これらの契約の事実をブロックチェーンに書き込むことで改ざん不能となるため、電子書籍コンテンツを掲載しているWebサイト上にブロックチェーン上の情報（契約の有無についての結果）を提示することで、読者は安心してコンテンツを取得できます。