【お客様のビジネス】
総合的な診療能力を持つ医師を、独自の教育で育成する医科大学。

【導入前の背景と課題】
お客様は、膨大なレセプト（診療報酬明細書）データを保有していましたが、その検索や分析にはSQLの実行が必須でした。そのため、専門部署の限られた担当者しかデータにアクセスできず、地域の健康課題に取り組む自治体職員や現場の研究者が、その情報を自由に活用できないという大きな障壁がありました。
また、元のデータには居住地情報が含まれておらず、例えば「A市の患者が、高度治療のためにB市の病院へどれだけ移動しているか」といった、地域医療計画に不可欠な患者の動態分析が困難であることも深刻な課題でした。

【ご提案と実施内容】
私たちは、この専門知識の壁と情報の壁を同時に解消するため、レセプトデータを地図上に直感的に可視化・分析するツールを開発しました。
このツールは、SQL等の知識を一切必要としません。自治体担当者や研究者が、地図上で地域を選択し、疾病名や年代といった条件をクリック操作のみで指定するだけで、関連データが即座に表示されます。疾病ごとの生存率や医療費負担の地域差、市区町村を越えた患者の移動傾向などを、誰でも簡単かつ定量的に評価・分析できる環境を提供しました。

【導入後の効果】
本ツールの導入により、データ活用のハードルは劇的に下がりました。これまで専門部署への依頼が必要だったデータ抽出が、各担当者の手元で完結。地図上で色分けされた情報を感覚的に捉えることで、地域の医療課題を迅速に発見・共有できるようになりました。
専門家しか触れなかった貴重なデータが、システムを介して「誰もが使える地域の資産」へと変わりました。これにより、お客様と自治体の連携がさらに加速し、エビデンスに基づいた効果的な地域医療政策の立案に大きく貢献しています。