「やる/やらないの時期は過ぎた」株式会社GeNEE 日向野 卓也がDXを“待ったなし”と語る理由とは
- [更新日]2023/04/18
- [公開日]2023/04/10
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目次
「やる/やらないの時期は過ぎた」株式会社GeNEE 日向野 卓也がDXを“待ったなし”と語る理由とは
政策や世の中の動向を見ても、DXが必要とされていることは今や疑いようもない事実です。 しかし実際にDXに取り組もうとすると、何から手を付ければいいかわからない不安感から及び腰になり、「どうにかして、今のやり方でやり過ごせないか」と考えてしまう経営者も多いのではないでしょうか。 ここで湧き上がる疑問が、そもそもDXは本当に必要なのか、ということ。たとえば地域密着の店舗や中小企業など、DXを必要としない業態もあるのではないでしょうか? この問いを、中堅企業や大企業、大学などのDX開発案件を幅広く手がける株式会社GeNEEの代表取締役社長・日向野氏に聞いてみると、「その考えは『誤り』ではないものの、『正解』とも言えません。自組織、自社のDX着手は、悩んでいる段階ではないのが実情」という回答が返ってきました。 日向野氏いわく、DXは自社の業務改善につながるだけでなく、人財の有効活用や新規事業創出といった副次的効果を秘めているといいます。「だからこそ『やるべき宿題』として捉えずに、積極的に取り組んで欲しい」と日向野氏は語ります。 それでも気になる、「DXって本当に必要?」。そして、DXを成功させるために必要なこととは。数多くのDXを成功させてきた同社に、リアルな質問をぶつけてみました。
株式会社GeNEE 代表取締役社長兼創業者
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03-6427-5422 ーー近年、DXの必要性が叫ばれています。あえて質問しますが、どのような会社であってもDXには絶対に取り組まなければならないのでしょうか? 賛否両論あるテーマですが、私個人の見解としては、規模の大小問わず自社DX化には早い段階から取り組むべきだと考えています。 理由は多数上げられますが、最も大きなもので言いますと、「グローバルで見たとき、デジタル化速度が非常に速いこと」です。今やアメリカや中国などの経済大国を中心として、さまざまなデジタルツールが生み出され、世界中で普及され、凄まじい速度でアップデートが進んでいます。 一方、日本企業の多くはレガシーシステムから脱却できず、クラウドやIoT、ビックデータデータの利活用など、上手くいっていないケースが目立ちます。2,3年といった短いスパンではその影響はあまり受けないはずですが、茹でガエル理論と同じように、緩やかな環境変化を察知できていないと、近い将来、致命的な状況に陥る可能性もあるのではないでしょうか。 ーー自社だけではなく、競合市場と考えたときに必要性が浮き彫りになるということですね。ただ、たとえば地域密着型の店舗などは、今すぐに大資本とぶつかるリスクは低いのではと考えてしまいます。 確かに、「自分たちはグローバルに展開しない、地元密着だから関係ない」と考えている商店や個人事業主の方もいらっしゃるかもしれません。しかしコロナの後押しもあり、数年前からEC(インターネット販売)ビジネスが非常に好調で、消費者の購買行動はリアルからインターネットに流れていると考えています。 ーーDXは今のマイナスを改善するだけでなく、どんどんプラスに転じていくためのものだと思います。ここで実例を伺いたいのですが、貴社には、実際にどのような悩みが寄せられることが多いのでしょうか?
内容はさまざまですが、中小企業から中堅企業のお客様からは、「事業再構築補助金やものづくり補助金などを利用してDXをしたいけれども、具体的に何をすべきかわからない」というようなDX化企画・構想段階のご相談いただくことが多いです。他方、大企業のお客様からは、トップの方針のもと「DX推進室」といった専門部署が先につくられていることが多く、●●のシステムを刷新する、新しく●●のアプリを開発したい、といったある程度方向性や道筋が見えた状態での相談が多いです。 時勢に絡むケースでは、電帳法(電子帳簿保存法)改正によるお問い合わせも増えています。というのも、企業によっては10年以上前に導入した古いシステムを使っているケースも少なくないんです。そのため新しい法律に対応できなかったり、処理をさばききれなかったりする問題が生じ、必要に迫られてご相談いただくようです。 あとは金融業界や印刷業界、出版業界など、これから需要が減ってしまうのではないかと言われている業界のほうが直面する危機感からDXに積極的な印象があります。こうした業界のお客様からは、「既存の強み × ITで、新規事業を立ち上げたい」というご相談が多く寄せられます。いわゆる、弊社では「攻めのDX」と呼んでいる収益獲得のための自社DXです。 ーーDXは、どのような会社も例外なく対応すべきテーマだということは理解できました。そのうえで、どこから手をつけるべきか迷ったらどうすればよいでしょうか?
DXを考えるにあたり、手がかりになりうるのが経済産業省の「DXレポート2」です。この資料内の25・26ページにて、DXを①デジタイゼーション(物理データのデジタル化)、②デジタライゼーション(個別業務のデジタル化)、③デジタルトランスフォーメーション(組織全体のデジタル化、新規ビジネス創出等)の3つに整理しています。 これら3つはそれぞれ独立したアクションで、必ずしも①デジタイゼーションを済ませてから②や③に進まなければならない、というものではありません。しかし実際には、「とりあえず紙の契約書を電子契約に変えるなど、①のデジタイゼーションから段階的に始めたい」とおっしゃるお客様も存在するのは確かです。 また、ひとくちにデジタイゼーションといってもできることはさまざまです。そのため当社では、「予算や期間、経営目標など、それぞれの事情に応じて、今できることから始めましょう」とお伝えしています。 ーー「今できることから」という姿勢が大切なのですね。御社が担当される事例では、どのような部分から取り掛かることが多いですか。 分かりやすい例はSaaS(Software as a Service: サービスとしてのソフトウェア)の導入です。 たとえばとある企業様からご依頼をいただき、これまでExcelで管理していた経理業務をクラウド会計ソフト、SaaSに変更することになり、アドバイザーとして導入のお手伝いを行いました。中小企業や中堅企業のお客様の場合、現実的なご予算・納期が先にあって、そこから「できること」を逆算することが多いです。 大企業の場合は比較的投資予算が潤沢なので、「できること」の規模もそれだけ大きくなります。具体的には、基幹システムのリプレース(総入れ替え)などです。こうなると、予算も数億円ほどになり、複数年にわたってフェーズを区切って実行していくことになります。 一例として弊社が担当した案件をご紹介すると、某企業様では、システム診断を行う過程で、過去にそれぞれの部署が独自に電子ツールや簡易的なシステムを作っており、非常に複雑なシステム構成で運用されていることが分かりました。データが各種ツールに散らばり、基幹システム上に集約されていない状況が続いていたのでこれは困ると、一挙にシステムを刷新することを決定しました。プロジェクトは調査・要件定義工程から始まり、リリースまでに約2年近くかかりましたが、システムをクラウド化し、SFAやCRMといった営業支援系、顧客管理系も一つのマスタに集約して一元管理し、収集したデータをリアルタイムにビックデータ分析にかけることで、企業様からは「今はこんなことが一瞬でできるのか。」といった好評の声をいただいております。デジタル化による業務効率化は体験するに勝ることはありません。 このように、予算や納期によって「できること」は大きく異なり、一般化はなかなか難しいところがあります。やりたいことが明確に決まっていない企業は、まずは予算から固め、その範囲でできることを開発会社に相談してみるといいかもしれません。 ーー「さまざまな方法があり、一般化はしづらい」というDXにおいて、なるべく確実にDXを成功させるにはどのような点に気をつけると良いでしょうか。 成功の定義が難しいので、失敗しないためにどうしたら良いか、というテーマにしますと、まずは小さな業務改善から取り掛かり、余ったリソースを新たな施策に振り向けるサイクルを定着させることだと思います。 経営資源が潤沢にある大企業はさておき、はじめからDX専門チームを設けられるほどの余裕がある企業ばかりではありません。多くの場合、担当者は本業と兼任でDXに携わるため、いきなり大きな施策に取り組むのは非常に難しいものです。 そうした会社様には、まずはSaaSを導入するだけでもよいので業務のデジタイゼーションにチャレンジしてみていただければと思います。そこで、効率化させた分の人的リソースを浮かせる。次に、そのリソースをより大きなデジタライゼーションへと振り当てる。そこでさらに業務改善が進むことで、いよいよ攻めのDXも視野に入れたデジタルトランスフォーメーションへ……と段階的にプロジェクトを推進していけば、DXの知見やノウハウが確実に積み上がっていきます。 一度失敗すると、「自社DXは難しいからやめよう」という機運が高まってしまいます。だからこそ、まずはプロジェクトが失敗に終わらないことを優先し、小さな業務で比較的シンプルに完結するものから取り掛かり、成功体験をしっかりと積み、次のステージに上がると良いと思います。 ーーどうしても予算がかかるDXにおいて、企業が「やってよかった」と実感するには、どういうところに気をつけて開発を進めると良いでしょうか。 弊社は開発会社なので、開発会社の立場から回答しますと、エンドユーザーの視点に立ったシステムやスマホアプリを作り上げることだと思っています。 システム開発やスマホアプリ開発は、つい、経営者や決裁者の意見を中心に進めがちです。しかし、本当に企業を成長させたいと考えるならば、現場、つまりシステムを実際に使うエンドユーザーの声を聞くことが欠かせません。 ーーそれはなぜでしょうか。 そもそも現場で使えなかったり、使えにくかったりするような事態が発生するからです。 たとえば、私が実際に見たなかでは、『タブ』キーを押しても次の入力フォームにジャンプせず、入力に不要な時間がかかるパッケージソフトやシステムなどがありました。1つ1つのアクションは小さくても、このような使いづらい要素が積みあがると、大きな人件費ロスを招くことになります。また使いづらいと感じた担当者が、マクロVBAやノーコードといったツールで簡易的なシステムを作ってしまい、データが分散するリスクを秘めています。適切なシステムを設計し、入れ替えれば、数ヶ月で開発費の元を取れてしまうかもしれません。 また、電気工事業界の某案件では、勤怠入力にスマホ入力のクラウド化されたシステムを導入しようとしていましたが、実際に現場を調査してみたところ、社用スマホを持っている社員は一部ということが分かりました。調査した現場では臨時雇用のスタッフで占められていたのです。こうなれば、私用のスマホでも入力できるようにするか、社用スマホを現場スタッフ全員に貸し出しするしかありません。 もしここで現場を見ず、経営幹部層との議論だけで今回のシステムを作っていたら、現場では全く使えないものが出来てしまいます。今回はわかりやすく極端なものを例として上げましたが、決して少額ではない開発費を有効に使うためには、現場を綿密に観察することが欠かせないですし、それも開発会社の役目だと考えています。 繰り返しになりますが、DXは早い段階から取り組むべきです。業務効率化をするのはもちろん、そこで生まれた余剰人員をもとに、新たなコア事業の創出や既存事業のパワーアップを図ることで、競争優位性を高めることもDXです。「苦しいもの、いやな宿題」と考えず、ビジネスの可能性を広げるためのものという意識で、ポジティブに取り組んでいただければと思います。 取材:夏野かおる 執筆:林春花
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日向野 卓也
東京工業大学環境社会理工学院、慶應義塾大学院・慶應義塾大学ビジネススクールMBA(経営学修士取得)卒業。国内最大手SIerの株式会社NTTデータなどでエンタープライズ(大手法人)領域の事業開発・事業企画に従事。スタンフォード大学でのデザイン思考、UCD(ユーザ中心設計)といった海外研修を経て、企業のDX推進、システム開発、スマホアプリ開発事業を主軸とする株式会社GeNEEを法人化。
HPページ:https://genee.jp/
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「DX、どうしてもしなきゃダメ?」マイナスをプラスに転じる契機に
DXはどんな会社も取り組む方がメリットがある
世界各地の企業は速度感ある決裁稟議、意思決定によって、それらのデジタルツールをいち早く導入し、自社の基幹システムや業務システムと連携させ、そして駆使することで、自社の業務効率化や組織スリム化を進めていて、新しい競争優位性を築いています。環境が大きく変わったからこそ潜在的リスクを想定する
結果として、地域密着型のビジネスはAmazonや楽天、アリババといった大資本のEC事業者と見えないところでぶつかることになり、売上規模縮小、倒産といった潜在的リスクを抱えていると考えます。そのような窮地に追い込まれないように、早い段階から自社のDX化を進め、あらゆる準備を進めた方が良いのではないかというのが私の考えです。ピンチこそチャンス!新しい動きに挑戦する
何から手をつけるか迷ったら、予算・工期で「できること」を
DXにおけるステップはそこまで重要ではない
少しずつでも「できること」を実施していく
業務改善→人的リソース確保→再配置のサイクルをはじめよう
デジタル化とセットでリソースを作り出す
成功体験の積み重ねがDXを後押しする
大切な開発費を有効活用するためにも、徹底的に現場を見よう
エンドユーザー視点が効果体感に紐づく
現場を見なければ業務改善からズレることは多いにある
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