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開発会社と二人三脚でDXに取り組み、プロジェクトを成功させるには?株式会社マスドライバー 蟇目雄介がコツを伝授

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開発会社と二人三脚でDXに取り組み、プロジェクトを成功させるには?株式会社マスドライバー 蟇目雄介がコツを伝授

少子高齢化による人口減少や人々の購買行動の変容により、ビジネスの不確実性は年々高まっています。長年のやり方が通用しなくなり、既存の顧客が減っていく(もしくは、新規の顧客が開拓できなくなる)ことに不安を抱く経営者は少なくありません。

時代に合った企業体制へ転換していくには、DX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれる業務改善・新規事業の推進が欠かせません。

しかし、歴史ある企業では肥大化・複雑化したレガシーシステム(長年にわたって使用してきた社内システム)が負債となり、小回りのきく経営を阻害してしまうことがあります。また、新規事業を始めようにも、「どこから手をつければ良いのかわからない」という本音を抱く経営者・担当者は多いものです。

このような状況を打開するうえで強い味方になるのが、システム開発会社です。開発会社は顧客の要望を汲み取り、決められた予算と期間内でシステムを作り上げます。IT分野に自信のない事業者/担当者にとって、二人三脚でDXに取り組んでくれる開発会社は実に頼もしい存在です。

ところが、ときにはこのようなトラブルが起こることも。

「開発会社にうまく要望を伝えられず、希望とは違うシステムになってしまった」
「予想していたよりもずっと予算がかかると言われた」
「こちらの手戻りが多く、開発会社との関係が悪化してしまい、途中で『契約終了したい』と言われた」

いずれも避けたいトラブルですが、このようなミスコミュニケーション(行き違い)を防ぐために、委託者サイドはどのような準備をすればよいでしょうか?

Webサービスの開発支援や基幹システムの受託開発、インフラ構築を多数手掛ける株式会社マスドライバー代表・蟇目雄介氏に、システム開発会社と上手にコミュニケーションを取り、プロジェクトを成功させるコツを伺いました。

株式会社マスドライバー 蟇目雄介

株式会社マスドライバー 代表取締役
蟇目雄介
株式会社NTTデータCCSなどのSIerで7年間基幹システム開発に従事し、株式会社gumi等でソーシャルゲームのデータ解析や運用開発を担当。株式会社グッドパッチでプロトタイピングツールを開発し、R CUBEにCTOとして参画して花嫁向けWebサービスの立ち上げをリード。2017年5月にフリーランスエンジニアとして独立。2018年7月に株式会社マスドライバーを設立し、代表取締役に就任。フルスタックエンジニアとして活動中。
PRページ:https://rekaizen.com/company/md
HPページ:https://massdriver.com/index.html

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あれもこれも詰め込まない。「ややこしいシステム」は不満のもと

——蟇目さん率いる株式会社マスドライバーはどのような開発案件を担当されているのでしょうか?

弊社では主にWebサービスの開発支援や基幹システムの受託開発、インフラ構築などを中心にシステム開発を受託しています。代表的な実績としては、基幹系システムやBtoBのECシステムなどがあります。

このうち基幹系システムについては、「現在使用しているシステムが古くなり、移行先を探しているのだが、業界にフィットしたものがない」とのご相談をいただきました。そこで弊社では、従来のシステムがどのような処理を行なっているのかをヒアリングし、機能の取捨選択をしたうえで、追加ニーズも拾い上げながら新システムを作り上げました。

基幹系システム

いっぽうECシステムについては、「BtoBの取引を汎用的なECシステムでまかなって来たが、やはり機能が足りないので、BtoBに特化したシステムを新たに作ってほしい」とのご相談でした。こちらの開発も大まかな流れは同じですが、お客様の要望に基づいて実現すべき機能を洗い出し、整理したうえで新システムを完成させました。

ご紹介した2件はいずれも比較的規模の大きな開発案件でしたが、細かな軌道修正はありつつも、ご満足いただけるシステムを提供することができました。現在は飲食店向けのECシステムなど、新規事業系の開発案件も多数受託しています。

——比較的大規模なシステムを開発するにあたって、よくあるトラブルやミスコミュニケーション(行き違い)はありますか?

いくつかありますが、もっとも多いトラブルは「既存システムの仕様を誰も把握していない」ですね。

これはどういうことかというと、「このボタンを押すと明細が印刷される」ことは知っていても、「各項目はどのように計算されているのか」は分からないような状態です。日常の業務をこなすには必要のない知識なので、「細かなことは知らない」と答える方が多いんですね。

こうなると、システムの全容を把握するためのコミュニケーションが発生する分、どうしても開発が遅れがちになります。場合によっては心ない業者に開発費用を吹っ掛けられるかもしれません。

最悪の場合は、システムを開発会社に牛耳られることだってあります。「うちのシステムを知っているのはこの会社だけ」という状況に陥ってしまうと、たとえ対応に満足できなくともやすやすと乗り換えられないような事態につながるのです。

——合理的な経営判断が出来なくなるわけですね。防ぐにはどうすれば良いでしょうか。

システムの仕様を把握している担当者を、1人でも良いので社内に置くことです。

誰も仕様を把握していないと、外部の業者がいちから業務分析をすることになり、どうしても費用がかさみます。いわゆるITコンサル会社だと、150万円〜200万円/月くらいでしょうか。大きなシステムになるほど見積もりは膨らむので、場合によっては1000万円近くかかってしまうこともあります。

事前準備の段階でこれだけのコストがかかるとなれば、新システム自体を諦める会社も少なくないでしょう。

——社内DXが停滞してしまうわけですね。

そうです。さらに言えば、担当者を1人置くことで窓口を集約する目的もあります。

実際に弊社が経験したケースでは、社内に担当者がいないため、打ち合わせのたびに違う社員が出てくるうえ、社内で情報が共有されていないことがありました。こうした体制は手戻りや行き違いを生みやすく、開発会社との関係も悪化しかねません。

すれ違いを防ぐためには、やはり社内に担当者を最低1人置くことがベストです。できれば、いろいろな部署とコミュニケーションを取り、現場のニーズを拾い上げられる方が良いですね。ITの専門知識は弊社のような開発会社に任せていただくとしても、社内調整はどうしても社内の方にお願いすることになりますから。

——「仕様の把握」以外ではどのようなトラブルが起こりがちですか?

何でもかんでも詰め込もうとする」です。

人間、「新しいシステムを作ります」と言われると、あれこれ要望を出したくなるものです。しかし、すべての要望に対応していると予算がいくらあっても足りませんし、システムが複雑で膨大なものになる分、バグ(不具合)の数は指数関数的に増えます

仮にバグを取り除いたとしても、余計な機能が多すぎるとシステムの使い勝手は悪くなります。予算も時間もかけて作り上げたシステムが「使いにくい」と言われてしまうのは悲しいものですよね。安定して稼働し、確実に使われるシステムにするためには、必要最低限の機能開発から始めるべきです。

新規事業は「小さく・フレッシュ」が命!

——ここまでは既存システムのリプレイス(移行)についてお話しいただきましたが、まったくの新規事業の場合はいかがでしょうか?

新規事業こそ、まさに「詰め込み」に注意です。自分たちの描いた理想のサービスに向けてあれもこれもと開発したくなる気持ちは分かりますが、実際にユーザーが使いこなせる機能はせいぜい1〜2つ。初めから多数の機能を押し付けても、ユーザーはわずらわしいだけです。

使わなければ仕事にならない業務システムとは違い、新規事業としてリリースするサービスはユーザーにそっぽを向かれたら終わりです。

ですから、新規事業こそ「なるべくシンプルに」を意識したいですね。まずは1つの機能だけを提供してみて、ユーザーが慣れて来たら少しずつ機能を追加していくやり方のほうが、限られた予算を有効に使えますし、最終的なサービスの品質も良くなります。

——いわゆるリーンスタートアップ(※)ですね。
※なるべくコストをかけずに最低限の機能だけを短期間で開発し、試作品としてリリースしてから、顧客の反応をもとに改善・機能追加をする起業手法。

その通りです。先ほど開発費について触れましたが、最低限の機能開発であれば3ヶ月〜半年で作れてしまうものです。かかるコストも300万円〜700万円ほどと、決して手の届かない金額ではありません。

いっぽうで初めから高機能なサービスを作り上げようとすると、開発期間は最低でも1年間以上、費用も一気に数千万円単位になってしまいます。PDCAサイクルを回していない分、最終的に完成したサービスが顧客心理から遠く離れたものになるリスクも高いですし、長期にわたる開発期間のうちに商機を逃すリスクだってあります。

こうしたリスクを踏まえると、やはり初めは最低限の機能開発からスタートして、顧客の反応を見ながら少しずつ軌道に乗せていくほうが安全といえます。

新規事業開発の注意点

——ここまでのお話を踏まえて、新規事業のサービス開発を外部に委託する場合、どのような準備をしておくとプロジェクトがスムーズに進むでしょうか?

月並みな回答かもしれませんが、「自分たちはどのようなサービスを作りたいのか」をしっかりと固めておくことです。より具体的に言うと、「そのサービスを通して、ユーザーにどのような行動をとってほしいのか」「その結果、ユーザーのどういう悩みを解決することが望ましいのか」を箇条書きにしてみてください。

ここを固めておかないと、あとあとになって「やはりこうしたほうが良いかも」と迷いが出てきます。新規事業である以上、適宜軌道修正をすることはもちろん大切ですが、「一軒家を建てていたはずが、途中からコンビニの建築に変わってしまった」ようなことが何度も起こると、開発会社としては負担が大きいものです。おのずと追加の開発費も莫大になりますので、サービスのコンセプトはしっかり固めておきたいですね。

そのうえで、領域が違うサービスでも良いので、お手本となるサービスを探してみてください。たとえば何かを検索するサイトを作りたいのであれば、「〇〇版のクックパッドを作りたい」のように説明できるのが理想です。

もちろん最終的にはオリジナルのサービスに仕上げていくのですが、動き出しのフェーズはお互いのイメージが合致していることが大切です。開発側とのコミュニケーションがとてもスムーズになりますので、お手本の準備はぜひお願いしたいところです。

こうして内容が固まったら、開発期限を決めます。何かのイベントに間に合わせたいのであれば、それを開発会社に共有しましょう。とくに目標がなければ、3ヶ月〜半年ほどを目安に設定してください。

このときのポイントは、「遅れるかもしれないから」と開発期限を長めに設定『しない』ことです。一般に新規事業は、時間をかければかけるほど中だるみしてしまい、品質はむしろ下がってしまいます。

また、開発期間が長くなればなるほど、使われている技術は古くなってしまい、その技術を使いこなせるエンジニアの採用は難しくなります。やはり新規事業においては、アイディアも技術もフレッシュであることがプロジェクトのスムーズな進行につながるのです。

ベストな開発会社、どう選ぶ?見極めるコツはこれだ

——既存システムのリプレイス/新規事業ともに、システムの開発を受託する会社は多数ありますが、適切な会社を選ぶにはどのような基準で判断するとよいでしょうか?

コンセプト設計のところでご紹介したコツと似ていますが、サービスの内容と規模感が似ている案件を実績として挙げている会社を選ぶのがおすすめです。

ひとくちに「システム」と言っても、病院の電子カルテと小さなお店のレジシステムでは内容も難易度も大きく異なります。「どちらが大事」と優劣をつけるわけではありませんが、電子カルテのようなシステムは、万が一停止すれば取り返しのつかないことが起きかねません。そうした難易度のシステムを、小さなお店のシステムしか手掛けたことのない会社に委託するのはリスクが高すぎます。

さらに言えば、toB/toCではシステムの設計で重視するポイントが大きく異なることも多いので、そこもチェックしておくと良いですね。

こうして数社まで絞り込んだら、あとは打ち合わせで見極めていきます。ここでのコツはなかなか説明が難しいですが、できれば過去の実績についてたずね、具体的にどのように進行したのかを説明してもらうようにしましょう。そこでスラスラと詳細が出てくるようであれば一定の信頼が置けますし、はっきりとしない説明に終始するようなら、見せかけの実績かもしれません。

開発会社の見極めポイント

——確かに、注意すべきポイントですね。そのほかプロジェクトを進行するにあたって、マインド面で気をつけたいことはありますか?

とくにtoBの新規事業で起こりがちですが、担当者が伝書鳩にならないように注意したいですね。

——というのは?

toBの新規事業だと、以前から懇意にしている会社などをファーストユーザー(1社目の顧客)にして開発が進むことが珍しくありません。つまり、プロトタイプ(試作品)を作るたびにお客様に見ていただき、改善点をフィードバックしてもらうことで完成度を上げていくわけです。

この進め方は、こまめにユーザーの意見を聞ける点ではメリットが大きいです。ただ、中にはイニシアチブ(主導権)をお客様に握られてしまい、担当者が各要望を精査することなく開発会社に伝えてしまうケースがあるんです。

——「お客様が〇〇が欲しいと言っています」と伝えるだけの伝書鳩になってしまうわけですね。

その通りです。この体制のまま進めると、先ほど挙げた「一軒家のはずがコンビニに」という事態が起きやすくなりますし、担当者自身のモチベーションも下がってしまいます。お客様の要望はしっかりと汲み取ったうえで、最終的に取捨選択するのはあくまでもこちら、という線引きをすることが大切です。

——主体性は持った上で、それでも判断がつかない場合はどうすればよいでしょうか?

そんなときこそ開発会社の出番です。そもそも、開発を外部に委託しようとする会社はITにくわしくないことも多いものです。今日はいろいろなコツを伝授しましたが、すべてのコツをすぐに実践できるかどうかは人によるでしょう。

弊社のようにクライアントワーク(受託開発)の経験が豊富な開発会社に相談していただければ、必要に応じてアドバイスをさせていただきながら二人三脚でプロジェクトを進めることも可能です。「最終的に判断するのは委託者」という意識は保っていただきつつ、不安なところは適宜プロに頼っていただくのも、システム開発を成功させるコツと言えるかもしれません。

取材・執筆:夏野かおる

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この記事の監修
リカイゼン サポートデスク 
吉田・新町
BtoBマッチングサービスであるリカイゼンにおいて、発注企業からのご相談のヒアリング、企業選定のフォローなどを行う部門の担当です。出展企業であるシステム開発やWEB制作、クリエイティブ制作会社ともコミュニケーションを取りながら、年間数百件の受発注のサポートを行っています。

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