「ChatGPTはアプリストアのような存在になる」オフショア拠点にChatGPT開発部を新設したGSSLABが語る、AIと相性の良いサービス
- [更新日]2023/06/05
- [公開日]2023/06/05
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「ChatGPTはアプリストアのような存在になる」オフショア拠点にChatGPT開発部を新設したGSSLABが語る、AIと相性の良いサービス
毎日のように新たな活用方法が話題になっているChatGPT。システムやAIへの知識が無くても使いこなせることから大きな注目を浴び、世界中でChatGPTを活用した新たなアプリやサービスが次々に誕生しています。 またいっぽうでは、開発費削減のために海外に開発を委託するオフショア開発が一般化しています。現在も日本からベトナム、フィリピン等への委託が行われていますが、ChatGPTを活用したサービス開発においても、オフショア開発を用いて費用を削減したいという企業は多いのではないでしょうか。 そこで今回は、フィリピンを拠点にした開発会社であり、Chat GPT APIを活用したアプリやWebサービスの企画、設計、開発を受託する株式会社GSSLAB・白川氏にインタビュー。2023年3月にはChatGPT開発部を新設するほどChatGPTに力を入れている同社に、オフショア開発のメリットやChatGPTの可能性について伺いました。 株式会社GSSLAB 取締役 CTO
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03-6427-5422 ーー御社はオフショア開発に関する知見を豊富にお持ちですが、そもそも、オフショア開発にはどのようなメリットがあるのでしょうか? オフショア開発のメリットと聞くと、多くの人がコストメリットを一番に思い浮かべるでしょう。ただ実感としては、10年前に比べると、円安によって直接的なコストメリット自体は少しずつ下がってきています。 その一方で高まってきているのは採用メリットです。たとえば、フィリピンのエンジニアのレベルはどんどん高まっており、エンジニア自体の母数も多いので、日本よりもずっとスキルマッチする人材を採用しやすいです。 事実、日本ではリーダークラスのエンジニアを採用するのに数ヶ月かかることが多いですが、フィリピンであれば同じ金額か、場合によっては30%ほど下げた金額でも優秀な人材が1〜2ヶ月で見つかります。こうした採用コストも「コスト削減」に含めるのであれば、依然としてコストを低く抑えられるのがメリットです。 ーーオフショア開発ではコミュニケーション面の不安はありませんか? フィリピン人は公用語として英語を使っているため、通訳を介さずに直接コミュニケーションを取れます。同じくオフショア開発としての活用の多いベトナムと比べても、英語を使えるのは大きなメリットですね。ビデオ会議など、オンラインでの打ち合わせも苦にならないスタッフが多いです。 また、当社の場合は、日本語が話せて日本語とフィリピンエンジニアの架け橋となる「ブリッジエンジニア」を間に置くため、お客様からのやりとりは日本語でも問題ありません。このあとご紹介するChatGPTを用いたサービス開発においても、オフショア開発を選択するメリットは大きいと思いますよ。 ーーではいよいよ、ChatGPTについて聞かせてください。御社はChatGPT開発部を新設したそうですが、どのような可能性を感じてのことだったのでしょうか? 私たちは、ChatGPTはいずれApp StoreやGoogle Playのような位置づけになると考えています。つまり、ChatGPT自体が使われるというよりも、ChatGPTをある種のプラットフォームとして、次々と新しいサービスが生まれるのではないかと期待しているのです。 ただ、現時点ではあくまでも予想・期待に過ぎず、まだ先駆者、有識者と呼ばれるほどの存在は出てきていません。サービスへの活用も含めて各社、可能性を模索している段階ですから、早い段階で人員を確保し、さまざまなユースケースを蓄積することで、市場においてアドバンテージを取れるのではと考えました。 ーーChatGPTを活用したサービスとして、実際にどのような相談が寄せられているのでしょうか? 多いのは、「検索」をサービス化したいというご依頼ですね。検索とChatGPTは非常に相性が良く、サービス化するメリットも大きいと考えています。 たとえば不動産関係などは、ChatGPTを導入することで企業、顧客ともにかなりの効率化が図れるはずです。これまでであればポータルサイトから検索してもらい、店舗でくわしい情報を補足して、最後は現地に足を運んで確かめるというステップが当たり前でしたが、チャット形式で顧客のニーズをヒアリングでき、細かな疑問も解消できるようになれば、営業担当者の負担は大きく軽減します。 さらに言えば、不動産業界やM&Aを手がける会社は、1件1件の利益率が高いがゆえに効率化に手を入れてこなかった歴史があるんです。つまり、紙とまではいわずとも、独自形式のExcelで職人芸的に情報を管理しているせいで効率化が進んでいない会社が多い。ここにAIを導入すれば、業務効率が飛躍的にアップする余地があります。 ただし、そこまでを一足飛びに実現することは難しいので、実際のコンサルティングでは「まずはデータを整備することからはじめましょう」と提案することもあります。この「データ基盤の整備」は、ChatGPTを活用するか否かにかかわらず今後のビジネスの可能性を分けるポイントですので、たとえ直近ではAI導入の可能性がなくとも、ぜひ着手していただきたいですね。 ーーChatGPTを活用するうえで、課題はありますか? まず、現時点では精度やセキュリティの問題があります。ただ、精度については今後1~2年間でよくなっていくでしょうから、現時点で「使えない」と判断する必要もありません。 一方でセキュリティ面については、規約上は問題ないとなっているものの、各人の判断に任される部分です。当社でも、パスワードやメールアドレス、口座情報、発信前のプレスリリースなどの情報については入力しない決まりを設けています。 ーーChatGPTは「検索」が得意とのことですが、向いていないサービスはありますか? 情報提供よりもホスピタリティが重視されるサービスは難しいかもしれませんね。 たとえばウェディングの相談であれば、単に式場のデータを提供すること自体の価値はそれほど大きくありません。プランナーが本人の顔色を見ながら、「このオプションはぜひつけたいですよね」と背中を押したり、「もう少しお手頃なプランもありますよ」と提案することに価値があるわけです。 しかもプランナーの手腕が成約率にも直結するため、AIに任せるメリットも小さいといえます。「共感し、適切な情報を出す」ことが必要なサービスについては、やはり人間的な対応に優位性があるでしょう。 一方で、他社事例ではありますが、とあるインスタグラマーの動画やブログをAIに学習させて、まるでその人本人のように受け答えしてくれるサービスは大ヒットしています。おそらく、「情報提供」が一切求められず、「共感」だけが求められているからでしょう。まとめると、純粋に「情報提供」に特化したサービスか、反対に「共感」だけが求められるサービスにAIが向いているのかもしれませんね。 ーーちなみに、御社内でもChatGPTの活用は進んでいるのでしょうか? もちろんです。セキュリティ面には気をつけながらも、議事録の要約やブレインストーミングなど、さまざまな場面で活用しています。肌感覚としては、今のChatGPTはアイデアの発散に向いているなと思います。すでに広告コピーをChatGPTで生成している例もよく聞くように、すべての精度が高いわけではないものの、アイデアを多数出すのは非常に得意だと感じます。 ーーそのような特徴を踏まえて、企業はどのようにサービス開発に臨むべきでしょうか。 はじめから完成品をつくろうと意気込むのではなく、まずは精度の低い状態で試してみることがおすすめです。そうすればいずれ本格的なサービス開発をするときにも、将来的に商品価値が生まれるのか、肌感覚を持って判断できると思います。 参考までに当社のコンサルティングでは、まずはお客様のビジネスについて詳しく聞き取り、その情報を元に、活用事例を提案します。そのプロセスにおいては、Web上のデータでChatGPTの使用感を試すことはもちろん、当社のプラグインを使って自社データを読み込ませ、簡単なサービスを作ってみることもあります。あとは出力結果などを見て、どんな価値を生み出せそうか検証していく流れです。 費用としては数十万円程度で試すことができますので、大企業はもちろん、中小企業にもぜひ、気軽にチャレンジしていただきたいですね。 ChatGPTの精度はこれからどんどん上がってくるはずです。早い段階で触れておくことで、ビジネスチャンスを取りこぼさずに済むかもしれません。当社が今、事業部を立ち上げてまで知見を貯めている理由もそこにあります。どのようなご相談でも柔軟に対応いたしますので、ぜひともにChatGPTの可能性を探っていきましょう。 取材:夏野かおる 執筆:林春花
白川 大記
東洋大学卒業後、信用金庫とIT会社で営業職の経験を経て、友人との新規ビジネスでゴルフチケットサービスを開発し、CTOとしてベトナムで大規模なWebサービスの開発と運営を経験。フィリピンで従業員向けローン事業会社を設立し、300社以上の顧客を獲得するなど、CEOとして経営。金融アプリの開発にて計算、セキュリティ、安全など重要な要素を学ぶ。現在GSSLABにて、オフショア開発のメリットとAI活用を推進中。
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オフショア開発のメリットとは
優秀な人材を安価で活用できる
英語を用いた直接のコミュニケーションも可能
ChatGPTはプラットフォームに?
ChatGPTを用いたサービスがどんどん生まれていく
「検索」はChatGPTの得意分野
ChatGPTに向いていないサービスは?
精度やセキュリティには課題が残る
共感して情報を出すのは苦手分野
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