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DXのつまずき「あるある」をDX推進伴走経験が豊富な株式会社RITの最高執行責任者が解説。DXコンサルを上手に活用するコツは?

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DXのつまずき「あるある」をDX推進伴走経験が豊富な株式会社RITの最高執行責任者が解説。DXコンサルを上手に活用するコツは?

大企業から中小企業まで、多くの企業が直面するDX(デジタルトランスフォーメーション)。人手不足による業務効率化ニーズやEC(インターネット通販)への対応など、「どこから手をつければよいのか分からない」と頭を抱える担当者も多いことでしょう。

ひとまず各種のツールを導入しようとするも、そもそもどのようなツールがあるのか分からなかったり、種類が多すぎて選びきれなかったり……。ITに自信がない場合、ツールの選定だけですっかり疲弊してしまうことが珍しくないはずです。

そんな企業の強い味方となるのが、DXコンサルタント(ITコンサルタント)と呼ばれる人々です。経営、そしてDXのプロとして企業の強みと課題を分析し、ツールの導入だけでなく新規事業の創出、ビジネスモデルの変革にまでコミット(貢献)してくれるDXコンサルタントがいれば、本業に集中しながらビジネスを成長させることも不可能ではありません。

この記事では、DXコンサルタントとして数十万円〜数億円規模の支援に幅広く携わる株式会社RIT COO(最高執行責任者)・長田逸平氏に、コンサルタントへの上手な相談の仕方と、DXの「あるある」つまずきポイントを教えていただきました。

株式会社RIT_長田逸平_pro

株式会社RIT COO(最高執行責任者)
長田逸平
株式会社シグマクシスにて、事務機器 、製薬業界における業務改善/システム導入PJに参画。構想策定〜導入・定着支援まで、全工程にPJメンバーとして従事した後、株式会社RITを創業。
RITへの参画以降は、主に新規事業立案、マーケティング戦略立案に従事しており、0⇨1、1⇨100全てのフェーズを経験。
コンサルティングファームでの経験をバックグラウンドに、ベンチャー経営/組織開発・プロセス開発/プロダクトマネージメント / UI・UX設計 / カスタマーサクセス などの経験をミックスした総合力が強み。
現在は、総合的な経験を活かし、大手企業のDX推進戦略における各種アドバイザリー、研修・育成なども実施。
PRページ:https://rekaizen.com/company/rit-inc
HPページ:https://www.rit-inc.co.jp/

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相談前の準備は「不要」。先入観がDXを妨げることも!?

——御社では大手から中小企業まで、さまざまなDX支援・DXコンサルを手掛けられているそうですね。

はい。私たちRITは、企業様のIT領域をワンストップで支援する会社として、数多くのお客様の成長・成功に貢献しております。

具体的な支援内容は主に、新規事業の立ち上げ支援やDXコンサルティングです。また、少し珍しいメニューとして、デザイナーやエンジニア、マーケターから成るチームを組織して提供する「Startup Lab.」や、アジャイル開発を担うチームを月額制で提供する「Agile Lab.」もあります。

このように、新規事業の立ち上げや既存事業のDXだけにとどまらず、実際の開発までをワンストップでご支援できることが弊社の強みです。実際にお客様からは、「かゆいところにまで手が届く会社」として高評価をいただくことが多いですね。

——素晴らしいです。そんな御社に相談に来られるのは、どのような企業様が多いですか?

株式会社RIT_interviewcut01

規模・業態ともにまちまちです。誰もが知る大企業から最新鋭のAI活用についてご相談をいただくこともあれば、中小企業のごく基本的なデジタル化に携わることもあります。フェーズの差はあれど、どこもDXは喫緊の課題と捉えていらっしゃり、何か打ち手はないかと私たちRITをたずねてくださるようです。

——あえて率直に伺いますが、外部のコンサルタントに相談する場合、「知識がないと法外な見積もりをふっかけられるのでは」「提案の良し悪しを判断できないかも」と不安になる企業も少なくありません。コンサルタントに相談するにあたって、事前にしておくべき準備はありますか?

お客様が不安になられる気持ちはよく分かります。ただ、その上であえて申し上げると、何も準備せずに来ていただいたほうが、むしろ良い結果につながることも少なくありません。

——意外な答えです。なぜでしょうか?

理由は2つあります。

1つ目は、相談のハードルが上がってしまうことによるDX着手の遅れの要因になり得るためです。

そもそも外部コンサルタントへの委託を検討されるお客様は、ITに苦手意識を持っていることが珍しくありません。分かりやすく言えば、「長きにわたって事業に打ち込み、ある領域では素晴らしい結果を残してきた。でも、ITとなるとさっぱりだ」というお客様がITコンサルの起用を検討するわけです。

そんなお客様に対し、「相談する前に社内のIT課題を洗い出してきてください」とお願いすると、お客様の心労をむしろ増やしてしまいます。場合によっては、「こんな面倒なことを言いつけられるなら、今のままで良いや」とDXから遠ざける結果にもつながりかねません。

このようなことが日本全体で起これば、ただでさえ遅れている日本のDXを全く進められないリスクすらあります。まさに本末転倒です。

——納得感のあるお話です。2つ目の理由は?

2つ目は、ときには事前に準備した情報がバイアス(思い込み)となり、より良い解決策の発想を妨げる要因になり得るためです。

たとえば、お客様から「紙のデータをExcelで管理したい」と相談されたとします。お客様としては、Excelという便利なツールがあることまでは知っていて、それをなんとか活用したいという状況です。

では、お客様のご要望にしたがってExcelの導入を支援すれば「DX成功」と言えるのか?私たちRITは、そうは思いません。もしかしたら伺ったご要望の裏に、より深い目的が隠れているかもしれないからです。

そもそも、なぜお客様は「紙のデータをデジタル化したい」と考えたのか?仮に「事務作業のコストを下げたいから」が理由なら、ExcelではなくHRテック(人事・労務コストの効率化)ツールを導入する方が得策かもしれません。「売上を上げたい」が理由なら、「データ保存の仕方」という次元ではなく、ビジネスモデル自体を変える提案をしたほうがお客様のためになるかもしれません。

このように、ひとくちにDXといっても考えられる解決策は多岐にわたります。また、必ずしも高いツールを導入することがベストなわけではなく、場合によっては月々数千円のツールを導入するだけで充分目的を達成できる場合もあり、お客様ご自身でベストな方法を選ぶのは難しいことが多いです。

だからこそお客様には、「何から手をつければ良いのか分からない」状態で来ていただくのがベストだと考えております。IT業界は横文字だらけで不安になられるかもしれませんが、プロとして必要なアドバイスのみを差し上げますので、ぜひ気軽に我々を頼っていただきたいです。

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株式会社RITは、DXに関して、気軽な内容はチャット、込み入った内容にはビデオ会議にて相談ができる定額制の「バーチャルDX推進室」というサービスを運営し、現場担当者の悩みごとを解決している

こんなにある!導入〜定着まで、DXのつまずきポイント

——多数のDX支援を手掛けた実績から、DXにおける「つまずきポイント」はどこにあると感じますか?

最もよくあるつまずきポイントは、目的と手段が入れ替わってしまうことですね。

先ほどの話にもあるのですが、ITに不慣れなお客様はつい、「〇〇のツールを導入する」をゴールに据えてしまいがちです。しかし、ツールを導入することが必ずしも業務課題の改善に効果的なわけではありません。場合によっては、せっかく導入したツールを誰も使ってくれず、コストばかりがかさむ結果にもなりかねません。

——ありえそうなお話です。そのような事態に陥るのを防ぐためには、どうすれば良いでしょうか。

少し理念的な話になってしまいますが、形ばかりのDXに陥らないためには、「そもそもDXとは?」というおおもとの考え方に立ち返るのが重要です。

経済産業省が公開する「DXレポート2」では、DXを3つの段階に分解しています。具体的には、以下の3段階です。

  1. デジタイゼーション(Digitization)
    アナログ・物理データのデジタルデータ化
  2. デジタライゼーション(Digitalization)
    個別の業務・製造プロセスのデジタル化
  3. デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)
    組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革
DXフレームワーク

このうち「紙のデータをExcelで管理したい」はもっとも初期の段階である(1)にあたります。他方、お客様のビジネスを根本的に改善するには、もっとも進んだ(3)の段階までDXを推進する必要があります。

ですから、お客様においては、「〇〇のツールを導入する」はあくまでも(1)や(2)の段階であって、本来めざすべきゴールはもっと先にあることを認識していただくと良いでしょう。「ツール導入はあくまでも手段」と割り切れていれば、不安な気持ちからむやみに高価格・高機能なツールに手を出すことは避けられるはずです。

——納得しました。他にもつまずきポイントはありますか?

必要以上に壮大な計画を立ててしまうことです。具体的には、「ものすごい独自ツールをいちから作り上げようとする」などですね。

DXはトレンド(流行)ワードになってしまったのもあり、ITにくわしくないお客様の中には、「まるで魔法のようにすべての課題を解決し、売上を伸ばしてくれる奇跡の一手」だと誤解されている方も少なくありません。

その意気込みが良くない方向に働いてしまうと、安価に使える汎用ツールがあるにも関わらず、「独自ツールが必要だ!」と一大プロジェクトを立ち上げてしまうようなことが起こるのです。

DXは確かに比較的新しい概念ですが、やること自体は業務改善・ビジネスモデルの変更なので、実態としては「やるべきことを粛々と進めていく」場合もあります。頭ごなしにDXを忌避するのも良くありませんが、過度に期待しすぎるのも良いことではありません。

——ツールの選定・導入にはいろいろなつまずきポイントがあるのですね。ここまでは「計画段階におけるつまずきポイント」でしたが、「着手し始めた後のつまずきポイント」にはどのようなものがありますか?

例えば「導入したツールをうまく社内に定着させられない」ことがあります。

勘違いされがちですが、独自に開発するものでもなければ、ツールの導入自体は早ければ1週間ほどで完了してしまうことも多いです。それに対し、導入したツールをワークフローに定着させるには、少なくとも3ヶ月、社内の状況によっては1年以上もかかることもあります。

なぜかというと、はっきりいって、現場の人は現在のやり方を変えたい訳ではないんですよ。むしろ、「今までのやり方なら30分で終わるのに、わけのわからないツールを使わされて、今日は1時間もかかったじゃないか」と迷惑に感じていることすらあります。

これが1年も経てば操作に慣れてきて、「前の業務がたった1分で終わった!」という体験もしてもらえるようになるのですが、初めの頃はどうしてもわずらわしさの方が勝ってしまうんです。

——なるほど。そうした苦情に対応していると、DX担当者も疲弊してしまいそうですね。

はい。ただ、担当者が疲弊する原因はこれだけではありません。

——というのは?

こうした苦労を、経営層が理解していないことが多いからです。

分かりやすいのが予算組みの問題です。ITにくわしくない経営層だと、「ツールの導入や利用料」には予算をくれても、その後のフォローには予算・工数を割いてくれないことがあります。その折衝で担当者が疲弊しフォローをやめてしまうと、前のやり方と新しいやり方が不完全な形で並行してしまい、むしろ業務の効率が悪化することすらあります。

それでも、目的が「業務効率化」であれば話はまだ簡単です。難しいのは、新規事業の立ち上げや新たなビジネスモデルへの転換を目指している場合。これらは成功するかどうかに確実性がないため、業務効率化以上に経営層の理解を得づらいことがあります。

これを防ぐためには、まずは経営層に先ほど述べた「DXの本質」を理解してもらい、中長期的に会社を変革していくんだという強い意識を持ってもらうことが大切です。

とはいえ、現場のご担当者様レベルではなかなか説得がしづらいこともあるかと思いますので、その際には私たちRITのようなコンサルティング会社を頼っていただくのもひとつの手です。

まずは本業の強みを分析しよう。IT分野はプロに相談が確実

——ここまでのお話を踏まえると、DXには「これさえやればOK」という決まったルートがない印象があります。

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おっしゃる通りです。私たちRITが携わっている案件だけでも、DXの規模はさまざまです。小規模な案件では月々20万円〜トータル100万円程度の案件もある一方、大規模な案件では数億円を超えることもあります。

しかも、必ずしも予算をかけることが成功への近道とも限りません。お客様にとっては想定費用が分からず、不安な気持ちになってしまうかもしれませんが、ある程度はそういうものだと割り切って、気軽にプロに相談してみることをおすすめしたいです。

——専門知識はプロに頼るとして、DXを成功させるために企業はどのような準備をすればよいでしょうか?

現場でしか得られない顧客のリアクションをなるべく多く集め、事業の強みやこだわりを分析することです。

DXの目的は大きく分けて新規事業の創出・売上アップ・業務効率化の3つに当てはまることが多いです。そして、いずれの目的を達成するにも、「本業となる事業のどこに強みがあり、顧客は何を求めているのか」を正しく把握することが欠かせません。

たとえば、街の中華料理屋さんが年商を伸ばしたい場合を考えてみましょう。よくある失敗例は、「本業とは関係のない領域に手を出してしまう」です。つまり、EC(ネット販売)なら大きなチャンスがつかめるのではないかと、中華料理とはまったく関係のない商材でビジネスを始めようとしてしまうのです。このパターンはよほどのことがない限り、失敗に終わる可能性が高いです。

その一方で、普段から手がけている事業からヒントを得ると、同じECでもうまくいく可能性がグンと高まります。つまり、「このメニューは出張客がよく注文するので、『自宅に帰ってからも食べたい』というお客さんに向けて、通販でも買えるようにしよう」とか、「レシピをインターネットで公開して、それに必要な食材をセットで販売しよう」などです。

実際のビジネスモデルは我々コンサルタントが提案するとしても、的確な提案をするためには、実際の現場でどのようなことが起こっているのか、顧客は何を求めているのかをできる限り詳しく知る必要があります。

だからこそ、企業の皆様には「自分の会社(お店)がこだわっていることは何か」「お客様は、自分たちの会社(お店)のどこを評価しているのか」を把握していただきたいのです。

逆に言えば、そこさえ押さえていただければ、DXを成功できる可能性は高まります。その後の具体的な内容や手法・進め方は我々プロと二人三脚で決めて、着実に進めていけば良いのです。場合によっては補助金など、行政による支援をご案内できる場合もあります。次なるビジネスの飛躍に向けて、我々がそのお手伝いをできれば幸いです。

取材・執筆:夏野かおる

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この記事の監修
リカイゼン サポートデスク 
吉田・新町
BtoBマッチングサービスであるリカイゼンにおいて、発注企業からのご相談のヒアリング、企業選定のフォローなどを行う部門の担当です。出展企業であるシステム開発やWEB制作、クリエイティブ制作会社ともコミュニケーションを取りながら、年間数百件の受発注のサポートを行っています。

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