Androidアプリ開発は初心者でもできる？言語や必要な環境、手順を解説

Androidアプリ開発は初心者でもできる？言語や必要な環境、手順を解説

Androidアプリ開発は、初心者でも始めやすい開発領域です。しかし、プログラミング経験やITスキルがなければ「どのレベルの知識が求められるのか」「何を用意すべきか」などが判断できないかもしれません。

そこで今回は、Androidアプリ開発に必要なプログラミング言語や環境、開発手順について解説します。最新のトレンドも交えて解説するので、本格的に開発を始める際は参考にしてみてください。

基本的な知識を習得することで「開発着手までにかかる期間の短縮」「アプリの高品質化」などにつながります。

Androidアプリ開発とは？

Androidアプリ開発とは、スマホやタブレットなどのAndroid端末で使用可能なアプリを開発することです。Androidは、Googleから提供されるオープンソースOSであり、専用の開発環境も無料で提供されています。初心者でも開発を始められるよう、公式の学習カリキュラムもあります。

次項では、Androidアプリ開発のメリット・デメリット、iOSアプリとの違いについて見ていきましょう。

Androidアプリ開発のメリット・デメリット

Androidアプリ開発のメリット・デメリットは、次のとおりです。

Android端末のシェア率は、世界中で73％、国内で約42％です。国内外向けのアプリであれば、ユーザー獲得の見込みが高まります。

さらに、クラウドサービスの利用で、端末のメモリや処理能力を軽減できます。性能面での制限を緩和できるため、自由度の高いアプリ開発に着手できるでしょう。

ただし、Android端末は、Apple社製品ほど明確に規格が定まっていません。端末のサイズや解像度など性能が多種多様なため、アプリ検証の際は特定の端末・性能に絞って、開発を行う必要があります。

iOSアプリとの違い

AndroidアプリとiOSアプリの違いについて、それぞれの特徴から見ていきましょう。

Androidの場合、WindowsやmacOSにも実装できるJavaで開発できます。汎用性を考慮する場合は、Androidアプリの開発を検討しましょう。

Androidアプリ開発に必要な環境

Androidアプリ開発に必要なPCスペックやプログラミング言語、ツールについて解説します。

Androidアプリ開発に適したPCスペック

Androidアプリを開発する場合、少なくとも以下のPCスペックが必要です。

＜必要なスペック＞

• メモリ：8GB以上
• CPU：インテルCore i5～（12世代以降）
• ストレージ：SSD 256GB以上

上記は、あくまでも最小スペックです。ゲームアプリやデータ分析、CGなどのジャンルを開発する場合は、よりハイスペックなPCが求められます。

Androidアプリ開発の代表的な言語

Androidアプリ開発では「Java」「Kotlin」が代表的なプログラミング言語です。各言語の特徴や選び方について、次項から詳しく見ていきましょう。

Java

Javaの特徴は、次のとおりです。

＜Javaの特徴＞

• プラットフォームに依存せず、Android端末をはじめ、WindowsやmacOSにも実装できる
• 開発ジャンルの幅が広い（スマホアプリやWebアプリ、ゲームなど）
• 国内外を問わず使用されるため、参考資料が豊富
• 豊富なライブラリ（定型化されたプログラム）を利用でき、開発効率を高められる

Javaは、世界中のエンジニアに使用されるプログラミング言語なので、インターネット上はもちろん、書籍などの参考資料が豊富です。初心者にとっては習得の難しい言語ですが、学習環境は充実しています。

また、JavaはAndroid端末以外にも実装できるため、将来的に別分野の開発も行う場合は、Javaを検討しましょう。

Kotlin

Kotlinの特徴は、次のとおりです。

＜Kotlinの特徴＞

• Javaよりもシンプルかつ短いコードで記述できる
• 過去に使用したJavaのコードを共有・活用できる
• Googleがサポートしている
• 開発したアプリを安定的に運用しやすい（例外エラーが発生しにくい）

Kotlinは、Android開発の公式言語です。そのため、Googleからは学習用カリキュラムも提供されています。

また、KotlinはJavaよりもシンプルにソースコードを記述できるため、開発効率アップや記述ミスの発見につながります。プログラミング初心者の人はもちろん、開発の効率化を検討している場合は、Kotlinを検討しましょう。

Androidアプリ開発の代表的な統合開発環境（IDE）

Androidアプリ開発の主な統合開発環境（IDE）は「Android Studio」と「Monaca」です。次項では、それぞれの特徴と選び方について解説します。

Android Studio

Android Studioの特徴は、次のとおりです。

＜Android Studioの特徴＞

• Androidアプリ開発用のIDE
• あらゆるAndroidデバイスに対応
• AIによるコード最適化や補完が可能

Android Studioは、Googleが推奨しているAndroidアプリ開発用のIDEです。Gemini（AI）による開発支援が行われ、複雑なソースコードがあれば、自動的に最適化してもらえます。

操作方法やトラブルシューティングもGoogleから提供されるため「個人で開発を始める」「アプリ開発初心者」といった人は、Android Studioから始めてみましょう。

Monaca

Monacaの特徴を見ていきましょう。

＜Monacaの特徴＞

• 国産のクラウド型IDE（モバイルアプリ開発用ツール）
• セットアップ不要で使える
• プログラミング言語はHTML5とJavaScriptに対応（iOS/Androidどちらも開発可）
• プログラミング学習やワークショップ、アプリ運営など手厚いサポートが受けられる

Monacaはクラウド上で扱えるIDEなので、チーム体制で開発する際も独自にサーバーを用意する必要がありません。セットアップも不要で、専門知識がない人でも扱いやすいIDEです。

さらに、テクニカルサポートや学習用カリキュラムなども提供されています。アプリ開発の内製化や開発支援など、トータルサポートを受けたい場合はMonacaを検討しましょう。

初心者向け！Androidアプリ開発の手順

Androidアプリ開発の手順を6つの工程に分けて、解説します。

①アプリの企画・設計

開発の方針を明確化するため、以下のポイントを押さえつつ、アプリの企画・設計を行いましょう。

＜企画・設計のポイント＞

• アプリの目的を定義
• ターゲットユーザーの明確化
• 参考となるデザインの選定
• 実装する機能の選定
• 競合アプリの有無

あらかじめ競合アプリを調査しておくと、実装すべき機能やデザインをイメージしやすくなります。アプリの目的やターゲットユーザーも定義することで、開発すべきアプリのアイデアを明確化しやすくなるでしょう。

②開発環境の構築

Android Studioの利用を想定し、Androidアプリに必要な開発環境を見ていきましょう。

＜Androidアプリの開発環境＞

• JDK（基本的な開発用ツールキット）のインストール
• Android Studioのインストール
• エミュレータ（仮想デバイス）の設定

JDKは、Java開発に必要な実行環境やコンパイラなどがセットになったツールキットです。Android Studioと併せて活用し、開発の効率化を図りましょう。

③プログラミング・実装

プログラミングでは、企画・設計の際に洗い出した機能・デザインを実装させます。チームで開発を行う場合は、ソースコードにコメントも記述しましょう。

読み取りにくい情報や補足などをコメントで記すことにより、共通認識を持ちながら開発を進められます。

④テスト・デバッグ

テスト・デバッグでは、完成したアプリが正しく動作するか、バグはないかをチェックします。テスト・デバッグでチェックすべきポイントは、次のとおりです。

テストは機能・性能面を確認し、デバッグではバグ・不具合の有無を確認します。ユーザー目線を忘れず実施することで、使い勝手や操作性も含めた品質を確認できるでしょう。

⑤アプリのリリース・ストア申請

テストをクリアしたアプリは、リリース・ストア申請を行って公開しましょう。Androidアプリの場合、主なリリース先はGoogle Playです。

＜Google Playでリリースする流れ＞

1. デベロッパーアカウントへの登録
2. 登録料の支払い（25米ドル）
3. アカウントの種類を選択
4. 身元確認
5. ファイルのアップロード
6. 審査の実施
7. 審査完了後にリリース

必要に応じて、動画やスクリーンショットなどのプロモーション資料も作成しましょう。

⑥運用・改善

アプリリリース後は定期メンテナンスを行い、ユーザーの満足度を高められるよう運用・改善しましょう。

＜運用時のポイント＞

• 不具合が起こらないか稼働状況を監視
• ユーザーレビューを収集し、改善に反映
• 定期的なバックアップの作成

アプリの不具合を放置したり、対応が遅れたりした場合、利用者離れを加速させる恐れがあります。ユーザーレビューも定期的に確認しつつ、改善すべきポイントを洗い出しましょう。

【2025年版】最新のAndroidアプリ開発トレンド

2025年における、Androidアプリ開発のトレンドをご紹介します。

ノーコード・ローコード開発の普及

流動的なビジネス環境への対応、社内へのノウハウ蓄積などを目的に、ノーコード・ローコード開発による内製化が広まりつつあります。ノーコード・ローコード開発とは、ソースコードをまったく使わない、もしくは最小限に抑えた開発方法です。

昨今、DX化の実現に向け、開発の内製化を進める企業が増加しています。アプリ開発は外部への委託が一般的でしたが、委託開発はリリースまでに時間とコストがかかり、スピード感ある対応力に期待できません。

しかし、ノーコード・ローコード開発であれば、IT人材の乏しい企業でもアプリ開発を内製化可能です。ユーザーニーズの変化に応じて即座に対応できるほか、開発ノウハウの蓄積にもつながるでしょう。

DX化を推進する企業にとって、ノーコード・ローコード開発は主軸となる取り組みになりつつあります。

生成AIの活用

生成AIによるAndroidアプリの開発、開発支援も広まりつつあります。生成AIとは、AI自ら学習を重ね、テキストや動画、画像などのコンテンツを自動生成できるツールです。

生成AIは、アプリ開発にも以下のように活用されています。

＜生成AIの活用事例＞

• 設計/企画をAIに読み込ませ、ソースコードを記述してもらう
• IDEに支援用AIが組み込まれる（Android Studioなど）
• ノーコードツールにAIが組み込まれ、簡単な指示を出すだけでアプリを開発できる

生成AIの活用で、非IT人材でもアプリ開発を進められます。内製化を推進する企業が増加している昨今、将来的にはIT人材の育成・雇用や開発委託以外の選択肢として「生成AIによる開発」も主流になるかもしれません。

IoTや5Gによる新しい開発領域

Androidアプリ開発では、IoTや5Gなどの技術を活用した新しい開発領域も広がっています。

＜IoT・5Gの技術とは＞

• IoT：あらゆるデバイスからデータを収集・分析し、人の生活や企業の生産性などに貢献する/li>
• 5G：高速かつ大容量の通信を可能にした通信システム

たとえば、IoTを活用したアプリの場合、スマートウォッチとの連携で人の身体情報を収集・分析し、健康管理に活かされています。

最新のITトレンド・技術を積極的に取り入れることで、新たな事業領域へのチャレンジにもつながるでしょう。

高品質なAndroidアプリ開発なら専門家への依頼がおすすめ！

高品質なAndroidアプリの開発を目指す際は、専門家への依頼も検討しましょう。アプリ開発企業の中には、開発の委託や相談だけではなく、DX化の支援を請け負うところもあります。

Androidアプリ開発は、生成AIやノーコード・ローコードツールを活用することで、初心者でも始めやすい領域です。しかし、市場調査やユーザーニーズの把握、運用も考慮した場合、専門家の協力が必要なシーンもあるでしょう。

より高品質なアプリを開発したい場合は、専門家への依頼がおすすめです。

まとめ

AndroidアプリはiOSに並び、世界的にシェア率の高いアプリです。専用のIDEがGoogleから提供されるほか、サポートも受けられるため、初心者でも開発を始めやすいでしょう。

ただし、本格的な開発には、プログラミング言語の習得が欠かせません。個人・法人を問わず、アプリ開発を始める際はスキル・知識の習得が必要です。

また、アプリ開発には市場調査や運用・保守も欠かせないため、必要に応じて専門家への依頼も検討しましょう。開発の委託・支援だけでなく、DX化の推進も任せられます。