クラウドAIとは？メリットやデメリット、主要なプラットフォームについて解説

クラウドAIとは？メリットやデメリット、主要なプラットフォームについて解説

「クラウドAI」という言葉を耳にする機会が増えたものの「エッジAIとの違いが分からない」「どんなメリット・デメリットがあるのか知りたい」と悩んでいる人が多いかもしれません。とくに近年は、業務効率化やコスト削減を目的にAIの導入を検討する企業が増え、その選択肢としてクラウドAIが注目されています。

そこで今回は、クラウドAIとは何か、メリットやデメリット、主要なプラットフォームについて解説します。本記事を読めば、業務にクラウドAIをどう活用できるかが明確になり、最適なAI戦略を選ぶための判断軸が手に入るでしょう。

クラウドAIとは

クラウドAIとは、インターネット上にある「クラウド」と呼ばれるサーバーを使って、AIによる処理を行う仕組みです。Googleの音声認識や画像検索、スマートスピーカーの応答など身近で使われているサービスの多くが、クラウドAIの技術で動いています。

エッジAIとの違い

クラウドAIとよく比較されるのが「エッジAI」です。エッジAIとは、端末機器に直接搭載したAIのことで、その端末でデータ処理を行います。両者の違いを次の表で確認しましょう。

オンプレミスとの違い

オンプレミスとは、企業が自社でサーバーやソフトウェアを購入・管理して、AIシステムを構築する方法です。クラウドAIとオンプレミス、それぞれの特徴を比較すると、以下のようになります。

クラウドAIのメリット

クラウドAIにはさまざまな導入メリットがあり、大企業だけでなく、中小企業や個人でもAIをビジネスに取り入れやすくなっています。本節では、クラウドAIがもつ4つの代表的なメリットを解説します。

低コストで導入できる

クラウドAIは、自社で高価なAIサーバーやソフトウェアを購入せずに、必要なときに必要な分だけ利用できるサブスクリプション型が主流です。そのため、初期投資を抑えられる傾向があります。

さらにクラウドAIなら、サーバーの管理やアップデートもベンダー側で行ってくれるため、運用コストの削減につながる点も魅力的です。

拡張性が高い

クラウドAIはスケーラブルな仕組みになっており、利用状況に応じてリソースを柔軟に増減できます。必要な分だけのAIの処理能力を確保しながらも、急なアクセスの増加や業務の拡大にもスムーズに対応可能です。

クラウドAIは「今は小規模、将来は大規模」といった成長段階にあわせた、柔軟な運用が可能といえるでしょう。

高度な計算・処理を行える

AIが得意とするのは、大量のデータを分析し、パターンや予測を導き出すことです。そのためには、高度な計算能力と膨大なストレージが必要であり、クラウドAIはこの点でも優れています。

サーバーや端末の負荷を軽減できる

クラウドAIは、AIの処理機能をインターネット上のクラウドに任せる仕組みです。そのため、利用者のPCやスマートフォンなどの端末には、最小限の機能だけが求められます。最新の端末を導入するのが難しい環境でも、クラウドAIなら導入のハードルを下げられるでしょう。

クラウドAIのデメリット

クラウドAIは多くのメリットをもつ一方で、導入前に知っておきたい注意点もあります。用途や現場によっては、クラウドAIが最適ではないケースがあるため、注意が必要です。本節では、クラウドAIの主要な3つのデメリットを説明します。

リアルタイム処理で遅延する可能性がある

クラウドAIは、インターネットを通じてサーバーとやりとりしながら、データを処理する仕組みです。そのため、通信のタイムラグが発生する可能性があります。リアルタイム性が求められる現場の場合、クラウドAIの導入は慎重に検討しましょう。

セキュリティリスクが高い

クラウドAIは、データをインターネット経由で送受信し、クラウド上に保存・処理を行います。そのため、第三者による不正アクセスや、情報漏洩のリスクがゼロではないという課題が生じます。クラウドサービスの提供元がサイバー攻撃の対象になった場合、サービスの停止や情報流出のリスクがあることは、留意しておきましょう。

インターネット接続が必須になる

クラウドAIを活用するには、安定したインターネット接続が必要不可欠です。クラウド上のAIは、常にネット経由でデータを送受信しながら動作するため、ネットワークが不安定な地域や建物内では、支障が生じる場合があります。

クラウドAIの利用がおすすめのケース

クラウドAIは、次のようなケースでとくに有効に活躍できるでしょう。

・大量のデータを扱うとき

ストレージ容量を気にせずデータを蓄積でき、AIの学習や分析もスムーズに行えます。

・場所を問わずAIを使いたいとき

インターネットがあればどこでも使えるため、リモート環境や複数拠点での業務に適しています。

・初期コストを抑えてAIを導入したいとき

月額料金や従量課金で利用できるため、少ない予算から始めて段階的に規模を拡大できます。

クラウドAIの3つの活用事例

クラウドAIは、業種や業界を問わず、さまざまな現場で活用されています。本節では、3つの活用事例について解説します。

➀チャットボット

チャットボットは、利用者からの質問に自動で答える仕組みです。Webサイトやカスタマーサポートのチャット機能などに組み込まれており、24時間365日対応できることが最大の特徴です。

人手不足の解消や顧客満足度の向上といった効果が期待でき、導入ハードルも比較的低く、多くの企業が取り組んでいます。

②需要予測

需要予測とは、過去の販売データや天候・トレンドなどをもとに「これからどれだけ売れるか」を予測するAIの使い方です。予測精度が上がれば、無駄な在庫や販売機会のロスを防げるため、コスト削減と利益向上につながります。

③画像認識

画像認識とは、AIが写真や映像などの画像データを読み取り、物体や人の動きを識別する技術です。AIは、使えば使うほど学習を重ねて精度が上がることから、人間の目では気づきにくいミスやパターンも自動で発見できます。

クラウドAIを提供している主要なプラットフォーム

クラウドAIを導入する際には、どのプラットフォームを使うかが重要です。本節では、代表的なクラウドAIのプラットフォームについて、それぞれの特徴とできることを紹介します。

AWS（Amazon Web Services）

AWSは、Amazonが提供する世界最大級のクラウドサービスで、AI関連のサービスも充実しています。豊富な機能がそろっており、ほかのAWSサービスとの連携がスムーズな点がポイントです。開発者から企業のIT部門まで、幅広いニーズに対応できます。

Microsoft Azure

Microsoftが提供するAzureは、ビジネス向けのAI活用を強く意識したクラウドプラットフォームです。Office製品との親和性が高く、すでにMicrosoft製品を使っている企業にとって、導入しやすいというメリットがあります。

Google Cloud（Google Cloud Platform）

Google Cloudは、Googleが提供するクラウドサービスで、AIとビッグデータ分野に強みをもっています。Google自身が、長年にわたって開発してきたAI技術を一般向けにも提供しており、AI開発における信頼性・先進性が高いのが特徴です。

IBM Watson

IBM Watsonは、とくに企業向けのAIソリューションとして知られており、自然言語処理において強力な機能をもっています。医療・金融・教育など、特定業界向けのソリューションに強みがあります。

AI関連ツールの活用は専門家に相談するのがおすすめ！

クラウドAIの普及により、誰でも手軽にAIを使える時代になりました。しかし、実際の導入や運用では「何から始めたらいいか分からない」「ツールが多すぎて選べない」「自社の業務にどう適用すればいいのか分からない」といった悩みが生じることもあるでしょう。

AI導入やクラウド活用の知識と経験をもつ専門家に相談すれば、スムーズにクラウドAIを導入できるのでおすすめです。専門家の知見を借りることで、自社に最適なクラウドAIの活用方法が明確になり、失敗リスクを減らして確実に成果へとつなげていけるでしょう。