業務システムは誰が設計しても同じなのか?コンサルタントとして、システム設計に10年以上携わってきた私の意見としては、設計者によって質も内容も全く異なり、見る人が見れば一発でわかる歴然とした差がある、と断言できます。
徹底的に考え尽くされた設計というのは、ユーザの業務を合理的な範囲で必要十分に支援し、プロジェクトや技術的な制約もしっかりとクリアし、利害関係者全員を説得できる力があります。そのような設計は「美しい」とさえ思えるものです。設計者によってなぜそこまで変わるのか、ユーザーインタフェース設計の本質を紐解いてみたいと思います。
業務プロセスを考慮している
いわゆるITベンダーが設計するのは、システム「だけの」設計です。業務プロセスまで踏み込んだ提案をやっているITベンダーはほとんどいないでしょう。しかし、業務プロセスまで考慮しないと「良い」設計はできません。
当たり前のことですが、システムというのは業務プロセスを支援するためのものです。業務と密接に関わるものなのだから、業務とシステムは一体で設計されなければならないのです。したがって、業務ユーザ(要求を出す側)にはシステムに対する理解が必要だし、システム開発者(開発を受託する側)には業務に対する理解が求められるのです。
しかし実情は、業務とシステムで役割を分けながらシステムを開発しているケースがほとんどです。業務ユーザは言いたいことをいい、システム開発者はスコープを狭めて仕様を収束させることに執着する。結果的に、あってもなくても変わらないようなシステムが出来上がってしまう・・そのような事態に陥っていないでしょうか?
そんな状況は、業務とシステムの橋渡しができる人間がいると大きく変わってきます。業務プロセスの設計能力があって、そこからシステム設計に落とし込むこともできる、システムコンサルタントの存在が重要になります。
現状業務プロセスを分析し、目標業務プロセスを策定し、現状と目標のフィットギャップ分析を行い、そこからシステムに求められる役割を明確化し、そしてユーザーインタフェースの設計へと進む、という当たり前の作業を一貫してやり遂げることが、正しい設計への一歩です。
すべてのパーツには、そこに存在している理由がある
ユーザーインタフェースには『手を抜いてよいパーツなど一つとしてない』ということを肝に銘じているでしょうか?画面遷移図や画面構成に始まり、各画面の中でのボタンの配置、項目の並び順、キャプションに至るまで、すべてに理由があります。
設計のプロとアマチュアの差は、すべてに妥協を許さず徹底的に考えているか、どこか一箇所でも「これでいいや」と手を抜いているか、という差だと私は思います。
さらに、設計作業を進めていく際に必要となるのは、大胆な発想と論理的思考です。
目標業務プロセスや各種制約をしっかりと頭に叩き込んだ上で、最初はブレインストーミングと同じ要領で、発想力を活かして設計してみます。出来上がったユーザーインタフェースを、論理的思考によって徹底的に叩きます。
ユーザの立場に立って、業務の中での利用シーンをシミュレーションをしながら、使い勝手はよいか、画面の中に矛盾はないか、ボタンの順番はおかしくないか、ムダな項目は含まれていないかなど、細部に至るまで問答を繰り返すイメージです。
あらゆる観点から検証し、出てきた課題や問題点にもとづいて、再度設計をし直します。設計をするときは大胆な発想で。検証するときは論理的思考で。これを何度も繰り返すうちに、どの利害関係者に対しても説得力のある画面設計資料へと進化していきます。
この作業は、実に苦しい作業です。自分の中にある発想力と知能をすべて引き出して、心身ともに疲弊しても尚考え抜く。その過程を経て生まれた設計書は、適当に考えた設計書と比べるまでもなく、光り輝いています。しなやかで強い設計書です。高いお金を払ってシステムを構築するなら、ここまで磨き上げるべきだと思います。
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日本頭脳株式会社
永井 雅明
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