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「ブランディング」の進め方をマジメに解説してみた。 vol.2


ターゲットに響く「最適なPR」とは?
決め手は『独自の魅力』のアピール強化
第2回/「ブランディング」の手順とメリット

「誰に 何を どう伝えるか」
アクションプランはこの3つのステップで進めます。
個々のステップの具体的な説明は次回以降に委ねるとして、
今回はダイジェスト予告編的に、全体としての流れをざっくりと捉えておきましょう。

スタートは「誰に」。

最初にターゲットをきちんと設定し絞り込むこと。そして深く知ること。
設定したターゲットがどんな環境にあって、どんなニーズや期待を持っていて、
何に興味や関心があるのか?
どんな情報に影響され、それをどんな方法やルートで得ているか?
自社・自ブランドのビジネスプロセスの中で、どんな基準で判断や意思決定をしているのか?
…などをできるだけ詳細に把握します。

前回本文の冒頭で挙げた各種の施策は、あくまで改善のための手段。
手段は対象によって変わります。
ターゲットが曖昧なまま動き出すとその成果もぼんやりしてしまいます。
先の通り「ブランディング」の起点は対象者にあります。
そのターゲットの詳細な情報が、
後の具体的な活動や仕掛けなどの設計の大切な素材であり根拠となるわけです。

次は「何を」。発信するコト、いわゆるコンテンツ。

実はここを固めることが最も重要であり最も難しいことでもあります。
ポイントは「行動喚起」。
獲得したいユーザーの「ここの製品が買いたい!」「ここと契約したい!」という
モチベーションを的確に刺激できるかどうか?

よくある失敗として挙げられるのは、発信する側が、
「ウチの製品はこんなにすごい」「ウチはこんなにすごいことができる」と思って投げたことが、
ターゲットに響かないケース。
要は、自分たちにとっての「できること・やりたいこと」が、
必ずしもターゲットにとっての「嬉しいこと」や
「期待していること・関心のあること」ではないということ。
またそれが、競合となる企業やブランドとの比較において、
確実にオリジナリティや優位性があるのか? 
「ならでは」の付加価値があるのか?ということ。

これらをきちんと整備しようとすると、単に発信の内容だけでなく、
場合によっては提供する製品の質やサービスの領域、プロセス・仕組み、営業スタイルなど、
業務としての根幹からも見直さなければならない可能性が出てきます。
そうなると大きなエネルギーが必要です。
しかし、そこに着目し着手しない限り、今後競争原理がより激化する市場において、
中長期的な生き残りは危うい…ということをわかっておかなければなりません。

理想を言えば、発信側のパワーで「集める」のではなく、
お客さまが自発的に「集まる」流れをつくっていかないと、
少なくとも持続性のある集客と売上維持は実現しにくいということです。
お客さまにとっての、興味や必要のもうひとつ先。それが「共感」。だから動く。
「それっていいねぇ!」と実感してもらえるコトは何?
それを組み立てます。

そして「どう伝えるか」

お客さまを触発する核ができたとして、それをどう確実に・わかりやすく・魅力的に、
何を使ってどういう表現で伝達するかを考えます。

例えば…
カタカナだらけの内容でホームページにかっこ良く掲載しても、
年配のお客さまには伝わりません。
大量の新聞折込みチラシを投下しても、新聞購読率の低い若い世代には到達しません。
どんなメリットがあるのか? 何が得なのか?…がわかりにくいコピーでは、
目と耳の肥えた主婦層のアンテナには簡単に引っ掛かってくれません。
標準的でありがちなキャッチフレーズやビジュアルでは、
ビジネスパーソンの熟れた琴線にはなかなか触れもせず。
また、初対面のときと2度目・3度目に会った時に話す内容が違うように、
初期の接点と契約をクロージングする段階では、必要とする情報が異なります。
つまり、アウトプットする情報・コンテンツの内容や比重が変わるのは当然のこと。
結局、しっかりと受け止めて欲しい相手、さらにその相手の状態とのマッチングを
考えた告知・伝達でないとその良さは届かないということ。
ポイントは「適材適所」。
お客さまにとっての、理解や納得のもうひとつ先。それも「共感」。だから動く。
「それっていいねぇ!」と実感してもらえるツール・メディア、そしてメッセージは何?
それを組み立てます。

■「ブランディング」のメリット

今回の最後にまとめをもうひとつ。
「ブランディング」に成功したらどんなメリットが生まれるのか?

(1) 企業・ブランドの「いいところ」がよくわかってもらえる。

良さ・強み・魅力・個性・ちがい・独自性・らしさ・ならでは感…が、
シンプルかつ明確に理解されることにより、ターゲットの好意的行動が促進。
理解・納得から共感…その先に、
足を運ぶ、相談する、選択する、購入する、契約するといった
決断とアクションが展開されるのです。

(2)好感や信頼でつながる固定客・リピート客ができる。

俗に言う「ファン」であり「信者」。
そして彼らからの口コミも影響力を持ち出す。すなわちバイラルの効果。

(3)コモディティ化の流れに巻き込まれない。

逆に言うと、「いいところ」がはっきり認識されないと、
値下げ・コストダウンや納期短縮で争わざるを得なくなるということ。

(4)軌道に乗れば、PRや広告・宣伝のコストと手間が低減できる。

「いいところ」に対する共感が定着することで、いい関係性のベースが構築されます。
そうなれば、必要最小限のアピールでも効きが可能に。

(5)社内の意識啓蒙やリクルートがしやすくなる。

外に向けての自分たちの価値がはっきりすることで、自信や帰属意識が成長。
クレド経営にも直結する「ブランディング」の大きな派生資産です。
最近、採用とブランディングの距離感が近くなっている気がします。
自社ブランドとしての価値を見直しPRの再編に着手することの理由のひとつに、
きちんとした発信をしなければ、いい人材が応えてくれないから…
ということが挙げられるケースが目立ちます。

「ブランディング」という考え方は、
決して全国区の大手企業やビッグブランドのためだけのものではありません。
むしろ、中規模経営やエリア密着型のビジネスこそ、
その距離が近い分、ターゲットの視点にこだわることが事業成功のカギを握ります。
引きのある会社、共感される企業、選ばれるブランドをめざすうえで、
今改めて必須となる取組み。それが「ブランディング」…。

次回から「誰に 何を どう伝えるか」の順に、
各ステップでの具体的なプログラムを紹介していきます。
ということで続きます。

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