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Web3は「次世代Webサービスの基盤」株式会社demmpaに学ぶ、Web3時代のビジネスと可能性

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Web3は「次世代Webサービスの基盤」株式会社demmpaに学ぶ、Web3時代のビジネスと可能性

NFTブロックチェーンといったWeb3領域が注目を集める昨今、それらを活用したキャンペーンなどを展開する企業も増えてきました。しかし、Web3など最近のテクノロジー領域に関心があっても、実務への結びつきには至っていない方も多いのではないでしょうか。

株式会社demmpaでは、Web3の事業活用について悩む企業に向けてリサーチ業務を提供しており、NFTがどのようにビジネスに結びつけられるのか、どのような戦略が成功に導くのかを調査・提案しています。

今回は同社代表・三井滉平氏に、Web3がもたらす影響や変化、今後の可能性などについて取材しました。

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株式会社demmpa 代表

三井 滉平

1995年生まれ、長野県出身。2015年に個人事業主として開業。教育、シェアハウスやコワーキングスペース運営などの不動産、コミュニティ運営などの事業を経て、2020年に株式会社demmpaを創業、代表取締役。その後、複数のwebサービスの開発・運営を行なった後、web3へフルコミット。web3は2018年頃から関わり始め、2021年に本格参入。現在はweb3リサーチャーとして複数法人からリサーチ案件を受けつつ、web3関連イベントへの登壇やweb3事業者に対しての研修、新規事業立案、マーケティング、開発支援も行なっている。2023年7月にはweb3を活用してカーボンポジティブを実現することを目指すReFiプロジェクト「グリーンダオ」を設立。

HP:https://demmpa.co.jp/

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リサーチでWeb3.0の実用性を探る

2021年の盛り上がりで商機を見出して参加

——三井さんがWeb3に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。

学生だった2018年頃に、ブロックチェーン系の会社にインターンとして参画したことがきっかけでした。その後すぐに参入することはなかったのですが、2021年ぐらいからもう1度NFTが盛り上がっているのを見て「やはりこれは面白そうだ」と再び関心を持ちました。

2018年当時は開発者が中心となって盛り上がっていましたが、2021年になると、よく名の知られた企業もムーブメントに参画するようになり、可能性が大きく広がっている感覚がありました。これはビジネスチャンスがあると感じましたね。

――自社でコインを発行したりNFTアートを販売したりという事業者が多い中、リサーチ事業を展開されているのは珍しいですよね。

リサーチ業をメインにしたのは、Web2でサービスを作っていた時に「プロダクトは作るのが大変だし、とてもコストがかかる」と身をもって経験したためです。特にWeb3は知識がないとプロダクトを作ることすら難しいので、成功させるのは輪をかけて大変だろうと。

そこでとりあえず、自分自身の勉強のつもりでリサーチしはじめ、その備忘録をTwitterなどのSNSで発信し始めたのが事業の出発点になりました。CryptoPunksやCLONE Xといった世界的に有名なNFTのプロジェクトの概要や運営体制、今後の展望やロードマップなどに加えて自分なりの考察を書いていましたね。

――さまざまなNFTビジネスについて、ご自身の勉強も兼ねてリサーチをされていたんですね。今は依頼を受けられる立場かと思いますが、どういう相談が寄せられるのでしょうか。

Web3については「何から始めたらいいのかわからない」という相談が多いです。そうしたご相談に対して、「Web3とは何か」という話をするだけではなく、会員権や予約チケットをNFTで出すなどのユースケースを紹介できること、さらにはDAO的な体制で新商品を開発したり、投票で新しい味を決めたりといった具体的なアイディアを出せることが弊社の強みです。

ブロックチェーンで業界全体の変革が必要に?

Web3とマーケティングの関わり

——「具体的な実践例」というお話が出ましたが、Web3でできることをより詳しく教えてください。

1つには広告やマーケティングの変化が挙げられます。

これまで、個人のデータはGAFAを初めとしたビッグテック企業が収集し、蓄積していました。分かりやすくいうと、ユーザーは利便性と引き換えに個人データを提供し、プラットフォームはその情報をもとに広告を配信して収益化する仕組みが一般的でした。

それに対してWeb3の世界では、個人のデータはプラットフォーム側ではなく、個人が管理する体制になります。その結果、自分のデータをどこまで提供するかは個人に委ねられるようになり、プライバシーが守られやすくなるでしょう。

実際に昨今ではビッグテックによる過度な情報収集が問題視され、Cookieが規制されたことで、個人のデータを取得して広告を配信する「ターゲティング広告」が厳しい局面を迎えています。この流れがWeb3で加速すれば、広告の仕組みはさらに変わるはずです。

——広告の変化は、マーケティング領域にも大きな影響を及ぼしそうですね。

そもそも、真にパーソナライズされた広告が配信されるなら、消費者にもメリットがあると思うんです。問題なのは、非常にざっくりとターゲティングされた、興味のない広告が配信されることなのではないかと。

ブロックチェーンを使えば、こうしたパーソナライズに関する課題も解決できます。たとえばバスケットボール系のイベントに多数参加し、参加証明のNFTを多数持っている人に対して、スポーツ系の広告を出すなどですね。なおかつNFT所持者のみのコミュニティを作り、冒頭で述べたようなユーザー参加型の企画を展開していくことも容易になります。

まとめると今後のマーケティングは、ざっくりとしたターゲティングではなく、NFTなどの情報を活用した「コミュニティに参加しているユーザーに対してアプローチをかける」といった形に変化していくのではないでしょうか。

「リセール」が妥当性を持って可能になるWeb3の仕組み

——コミュニティやファンを対象としたマーケティングのしやすさがメリットなのですね。そのほかにもWeb3ならではのメリットはありますか。

「いらなくなったらリセールできる」のも大きなメリットとして挙げられます。たとえば宿泊券やコンサートのチケットなどは、「早めに予約したけれど、急に行けなくなった」という場合がありますよね。これがNFTなら気軽に、詐欺のリスクもなくリセールできるので、さまざまな商品・サービスで広がっていくと考えています。

また有価証券などの金融分野においても、出資持分などをブロックチェーンを活用したセキュリティトークンにできれば、金融商品としての質を上げることが可能です。ビルを小口化してひと口1万円から販売したり、国内外の投資家がいつでも取引できる流動性の高い商品にすることも可能になるので、今後は「会員権等のNFT化」「金融」の2つのユースケースが広がりを見せると予想しています。

——中小企業においてはどういった影響や変化があるのでしょうか。

たとえば製造業においては、トレーサビリティをブロックチェーンで追いかけることができるようになります。食品メーカーが異物混入してしまったというケースでも、どこの工場でそれが起こったのかを細かく把握できるので、必要以上に商品を廃棄する必要がなくなります。また顧客情報などのデータもブロックチェーンで管理できれば、より堅牢なセキュリティを実現できます。

一方で、ブロックチェーンを介した取引が一般的になると、仲介会社の必要性が薄れてくるので、不動産やM&Aなどの業界にとっては、どのような価値を提供できるのかが厳しく問われることになるでしょう。場合によっては、ビジネスモデルを根幹から変えなければならない企業も増えてくるかもしれません。

主体が企業から個人へと移り変わるWeb3ビジネス

会社がなくなったとしても残るデータに強み

——大手ではNFTの活用例も散見されるようになってきましたが、一方で何をやったらいいのか戸惑っている中小企業は多いと思います。中小規模の事業者でもできるビジネスモデルはあるのでしょうか。

現時点では、顧客ロイヤリティの向上を図る取り組みがいいと思いますね。自社のイベントに来てくれた方や自社商品を買ってくれた方に記念となるNFTを無料で配布して、それを持っている方限定でお知らせやキャンペーンをするなどです。

実際に、渋谷のメガドンキが5周年を迎えた際に記念としてNFTを配布した事例がありますし、東京スカイツリーでも、元旦の特別営業「空詣(そらもうで)」の来場者にNFTが配布されました。

——Web3以前も「この招待状を受け取った人だけ割引します」といった施策はあったと思いますが、こうした施策をWeb3でやることの意義を教えてください。

現状「誰がどのイベントに来たか」といった情報は、情報を集めた企業が誤ってデータを消したり、企業そのものがなくなったりすると誰も見られなくなってしまいます。つまり、ある行動にたくさんのお金と時間を費やしてきたとしても、運営会社の動きによっては蓄積したデータが無に帰すリスクがあるわけです。

それに対しWeb3の世界観では、こうしたデータはNFTに刻まれ、個人が管理することになりますから、運営会社がサービスを終了してもデータは消えません

たとえば購買してきたワインの情報がNFTに刻まれているとして、ずっと常連として購入してきた企業が潰れても、他企業に情報を提供すれば、好みのワインを変わらずに提案してもらえるわけです。この“消費者主体”の世界観こそが、Web3の技術でマーケティングを行うメリットだと考えています。

NFTはトライヤルで利用することも可能?

——しかし、こうした取り組みを実施するには、開発コストがかかるのでは。

いえ、NFTやWebサイトを作るだけならばそこまで費用は掛かりません。NFTの生成・管理はOpenSeaなどのメジャーなプラットフォームを利用すれば、ECサイトを作るような手軽さで行えます。

ただ、発行や配布における障壁は低いのですが、もっとオリジナルな体験やデザインにこだわりたいといった場合はインハウスでの開発が必要になるので、Web3の知識をつけることが重要です。継続して取り組むためには、楽しく運営することも大切ですね。

Web3で新たな事業を作るのはとても難しいのですが、個人的には次の時代の基盤となるテクノロジーとなることは間違いないと思うので、どの企業も常に勉強してマーケットを追い続ける必要があると思っています。少なくとも実証実験ぐらいは今のうちから回しておくべきだと思っているので、次なる事業投資という位置づけで関わり続けることが大切です。

Webサービスの基盤がブロックチェーンに移行する時代が来る

意識しないでNFT・ブロックチェーンを利用する時代に備える

——NFTやブロックチェーンも、今後は一般の人が普通に使うようになるのでしょうか。

私はそういう時代が来ると信じていますね。たとえば「サーバー」を知らない人でもインターネットを使えるように、Web3やNFTという技術をユーザー側が意識しなくても、「実はサービスの基盤にブロックチェーンを使っています」というケースが増えていくのではないでしょうか。

——そのような時代が来るまでには、あとどれぐらいかかるのでしょうか。

あと10年はかかると思いますね。普及の鍵になるのはブロックチェーン技術の向上なのですが、現状ではウォレットを作らなければNFTも保有できません。NFTを買うときに手数料として徴収されるGAS代も高額です。

100円の商品を買うときに2,000~3,000円の手数料がかかるようでは発展は望めませんが、GAS代がほぼかからなくなったり、SNSにログインするだけでウォレットが自動生成されるようになったりと、発展過程のどこかで技術的ブレイクスルーがあれば、Web2と同じくらい気軽に触れられるプロダクトも生まれてくるでしょう。

社会課題ともつながるWeb3

——そのような未来を見越して、貴社の「グリーンダオ」というプロジェクトに取り組んでいるそうですね。

はい。グリーンダオは、Web3を活用してカーボンニュートラルやカーボンポジティブを実現するコミュニティです。カーボンクレジットをブロックチェーン上で売買できるようなマーケットプレイスを作ったり、マイボトルを持っていくとトークンがもらえるといった仕組みを作ったりしています。

グリーンダオ
グリーンダオ ホワイトペーパー0.1より

参考:グリーンダオ ホワイトペーパー

直近では、グリーンダオの思想をAIを活用してアート化した「グリーンアートNFT」を無料で配布するプロジェクトが始動しました。最初こそデジタルアートとして配布しますが、いずれは同じ絵柄をフィジカルアートにすることも構想にあります。そういったデジタル×フィジカルな商品の組み合わせがどういう形で価値づけされるかといった社会実験も目的のひとつです。

また、ブロックチェーンで社会課題を解決するというReFi領域のプロジェクトに投資するグリーンファンドも実験的に作ろうと思っています。自分たちでプロダクトを作っていく傍ら、別のプロダクトを作っている人たちを支援するといった形で、同じような志を持つプレーヤー同士が協力できるようなものを作っていきたいです。

ReFi自体は認知度がまだ高くないので、どれぐらいのプレイヤーがいるのか、どうやって購入すればいいかという点も含めてみんなで一緒に勉強しながらやっていきたいですね。小石が転がる最初のひと転がりを、自分たちでやっていこうと思っています。ReFiやカーボンニュートラルに挑戦したい企業様を応援していきたいので、そうした企業様はぜひご連絡ください。

取材:夏野かおる 執筆:中島佑馬

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この記事の監修
リカイゼン サポートデスク 
吉田・新町
BtoBマッチングサービスであるリカイゼンにおいて、発注企業からのご相談のヒアリング、企業選定のフォローなどを行う部門の担当です。出展企業であるシステム開発やWEB制作、クリエイティブ制作会社ともコミュニケーションを取りながら、年間数百件の受発注のサポートを行っています。

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