おにぎらず、ブーム持続の背景にあるもの

こんにちは、コア・アド・インフィニティ編集部の橋本です。
先日、書店のお料理コーナーで「おにぎらず」の関連本を見かけて、
あれ？まだブーム中なんだ…とナチュラルに思いました。

おにぎらずとは、海苔にご飯と具を乗せ、海苔を折り畳んで切るだけの「握らないおにぎり」のことです。
元々は漫画「クッキングパパ」で過去に登場したレシピで、
2014年9月初旬、クックパッドの人気検索キーワードに突然登場し、
クックパッド編集部がニュースで取り上げたところ、キャッチーなネーミングで一躍ブームになりました。
メーカーによる食材や関連アイテムも多数商品化され（専用の塩つき海苔など発売されています）、家庭の定番メニューになりつつあるそうです。

今年１月、主婦の友社から発売されたレシピ本『クックパッド みんなのおにぎらず』は、発行部数が４月時点で11万部を突破し、
ほかの各出版社からも「おにぎらず」関連本の発行が相次いでいます。
ブームが拡大した背景にはどういったニーズがあったのでしょうか。

食の日常に響いた実用性の高さ

おにぎらずに関して印象的なのは「手軽さ」「見た目のよさ」と「オニギリなのに」という意外性です。
「オニギリなのに」握る手間もなく、パパッと挟んで完成！というお手軽感。
「オニギリなのに」これまでの固定概念から離れ、色とりどりの好きな具材を挟める楽しさ、見た目の華やかさ。
名前こそオニギリに近いですが、サンドイッチに近い感覚で楽しめます。

・握らなくていいから、熱々の炊き立てご飯をそのまま使える。
・半分に切って入れると彩りがよいのでお弁当に最適。カサがあるのでお弁当が埋まって便利。
・イベントやレジャーシーンでも手軽に用意できる。大量のオニギリを綺麗な形にせっせと握る必要がなくなった。
・どこから食べても具材に届くので、子供が食べやすい。
・ご飯にもおかずにもなるから、準備や盛り付け、洗い物が楽ちん！
といった実用性の高さから、特に子供を持つお母さん世代に人気です。

具材の組み合わせは際限なくあるので、作る側の創意工夫を刺激することも魅力の一つです。
お手軽でも料理として成立するので、レシピ本が多く出ているんですね。
切った断面を家族や友人と共有して、アレコレ言いあいながら味わう楽しさもあります。

ニーズを捉えてブームに繋げる

「朝昼晩、家族が飽きないような栄養バランスの良い献立を考えること」
「短時間＆低予算で大人数分の食事を効率的につくること」
「見た目にも美味しそうなものに整えること」
毎日の生活をこなしながら、家族の健康に配慮して食事を作るのは労力を使います。
食事は目で楽しみ味わい、対人コミュニケーションにも一役買ってくれて、
やがて体の一部にもなるものですから、効率化を図りながらも豊かにしたいものです。

おそらく家庭の台所は常に便利で実用的なアイデアを求めていて、
これまでも「時短レシピ」「ズボラ飯」「炊飯ジャーでできる簡単ゴハン」など人気のワードが多く誕生してきました。
意図的にブームを仕掛けたとしても、実用性がなければ人気は持続できないので、
「おにぎらず」は日常生活に取り入れやすい潜在的なニーズがあったのだと思います。

モノを世に売り出したいときには、ユーザーの視点から物事を捉え、
行動に隠された潜在的なニーズを探ることの大切さを改めて感じさせられました。
世の中は既に出し尽くされたようなコンテンツで溢れていますが、
あっその観点があったね、というようなニーズの裏の穴場スポットを発見できればブームを作ることも夢ではないのかもしれません。
こうした観点を普段の生活から意識したいものです。

参考：
https://info.cookpad.com/pr/news/press_2015_0420
http://business.nikkeibp.co.jp/article/campanella/20150410/279842/
http://news.livedoor.com/article/detail/10035080/