「攻めのDXには“鉄砲伝来”に匹敵するインパクトが必要」オーシャン・アンド・パートナーズ 谷尾薫が語る、テクノロジードリブンな新規事業のありかた
- [更新日]2023/04/18
- [公開日]2023/04/18
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目次
「攻めのDXには“鉄砲伝来”に匹敵するインパクトが必要」オーシャン・アンド・パートナーズ 谷尾薫が語る、テクノロジードリブンな新規事業のありかた
デジタル技術を活用して、より効率的な業務フローを確立させたり新規事業を立ち上げたりするDXは、もはや悩む余地もなくすべての企業が実践すべき施策となっています。 しかし、根本的な課題解決を目指したDXを行えている企業はそれほど多くなく、なかには業務改善のSaaSを入れるだけの企業もあるのが現状でもあります。 それにより部分的にでも業務が改善すればいいものの、中には「ツールが入った分、余計なアクションが増えて不便になった」などマイナス面ばかりが目立ってしまうことも多いようです。 「名ばかりDX」に陥らずに、ビジネスのあり方を変えるほどのトランスフォーメーションを成し遂げるにはどうすればいいのでしょうか?解決のヒントを探るべく、システム開発はもちろん、コンサルティングにも強いオーシャン・アンド・パートナーズ株式会社の代表取締役社長・谷尾氏にお話を伺いました。
オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社 代表取締役社長 CEO
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03-6427-5422 ーーDXの重要性が広まる一方で、根本的な改革に着手できず、SaaSを入れるだけの「名ばかりDX」に終わる企業も多いと聞きます。御社にご相談にくるお客様はいかがでしょうか? たしかに、名ばかりDXに終わる企業は多いですね。DXは本来、デジタル技術を活用して、新たなビジネスモデルを創出したり、企業風土を変革したりすることを意味します。しかし実際には、まずは紙を電子化したり、ある業務においてSaaSで効率化したりと、小さな課題の改善を積み重ねる形で始める企業がほとんどです。 一朝一夕にトランスフォーメーションができるわけではありませんし、足元から始めるのも一つの方法だと思います。しかし、デジタルの強みをしっかりと活かせばもっとビジネスの可能性が広がり、トランスフォーメーションに最短でつながるのに、ともったいなさを感じることは多いですね。 ちなみに弊社に相談に見えるお客様はDXという言葉をお使いにならないことが多いです。そもそもデジタル技術を使ううえでの本質を言い当てている言葉ですから、目的を突き詰めるとトランスフォーメーションに成らざるを得えません。DXというスローガンを掲げなくても辿り着く場所は同じことになります。 ーービジネスの「可能性」とは? たとえば弊社のお客様に、生命保険販売を主力事業としつつ、幅広い比較サイトを運営しているお客様がいらっしゃいました。 生命保険事業では、お客様の収入や家族構成など、ライフイベントに関わる興味深いデータが手に入ります。「このデータは武器になるのでは」と考えたお客様は、新たに中古車の販売や住宅ローンの比較サービスを立ち上げられました。今あるデータを活用したことで、ほかの領域でも新しいビジネスを創出できた事例です。 データ活用においては、コンプライアンスへの配慮や個人情報保護等、適切な手続きとモラルが必要になります。そのうえで、データ活用にはやはり大きなビジネスチャンスがあります。 行動データや購買データ、サイトの閲覧データなどを蓄積して分析すれば、これまで見えてこなかった新たなニーズを発見し、新規事業につながるかもしれません。これこそが、真のDXの一例だと思いますね。 ーー非常に理想的なDXですね。どの会社でもうまくいくのでしょうか? 残念ながら、必ずしも成功できるとは言い切れません。理由は2つあります。 1つ目は、冒頭に述べたとおり、一朝一夕にトランスフォーメーションを成し遂げる難しさです。 たとえば大企業では、事業部門ごとに顧客データを独自の方法で収集しているケースがあります。すべて統合すればDXが成功する可能性は高まりますが、その作業はかなり泥臭く、時間がかかってしまいます。そのため統合を断念したり、もしくは統合するだけで精一杯になってしまい、その後のトランスフォーメーションまで気が回らなかったりする企業も少なくありません。 もう1つは、そもそも「〇〇を使えばDXにつながる」知見を持っていないケースです。さきほどの生命保険の例では、「データを活用できる」ことを知っているからこそ、トランスフォーメーションができました。しかし、多くの企業は「テクノロジーで何ができるのか」を知らず、具体的なアイデアにまで落とし込みづらいものです。 逆に言えば、「テクノロジーで何ができるのか」を知っていれば、DXはグッと身近になります。言い換えれば、テクノロジードリブンでプロジェクトを進めることがDX成功の大きなカギを握っているのです。 ーーテクノロジードリブンで進めるとは、どういうことでしょうか? 分かりやすく歴史に例えてみましょう。たとえば戦国時代、大名たちは槍や刀で戦っていました。しかし、そこに海外から「鉄砲」が到来。一騎打ちの戦法から、集団戦法へと変化しました。つまり、テクノロジーが戦い方を変えたのです。 これと同じことが新規事業創出にもいえます。テクノロジーから新規事業を発想してみると、戦い方、つまり事業の在り方やビジネスモデルをがらっと変えることができます。 それだけでなく、アイディアも不思議と思いつきやすくなります。代表例が、まさに最近トレンドであるChatGPT※です。まずはAI技術が生まれたことで、「こんなことにも使えるのでは」と発想を広げるアイデアが出てきたわけです。それを具体化したことで、新たなビジネスが誕生していることは皆さんもご存じの通りです。
谷尾 薫
東京理科大学工学部卒。富士通にてVANシステムやFAX-OCRシステムを開発。日本オラクルにて日立製作所、日本ユニシスの代理店マーケティング。フューチャーアーキテクトにて凸版印刷及びJTBの業務改革プロジェクトを担当。
現在、オーシャン・アンド・パートナーズ株式会社代表取締役、協同組合シー・ソフトウェア代表理事。
PRページ:https://rekaizen.com/company/ocean-ap
HP:https://www.ocean-ap.co.jp/
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「改善の積み重ね」ではトランスフォーメーションは起こせない?
デジタルの強みを活かせば、大きなトランスフォーメーションができる
データを活かして、新規事業を創出
データ統合で満足してしまう企業も
なぜ技術ドリブンでの発想が大切?テクノロジーはゲームチェンジャーになる
テクノロジーをベースに、新しいアイデアを考える
テクノロジーを知らないことで、可能性は狭まる
ーーなるほど、たしかにテクノロジードリブンだと、さまざまなアイデアが出そうですね。逆に、テクノロジードリブンでなければ、どのような事態に陥ってしまうのでしょうか。
従来からあるテクノロジーのみで発想した、「名ばかりDX」に陥ります。
たとえばある製造業の会社では、紙の帳票をベースにさまざまな受発注を進めています。その帳票について、「デスクに戻らなくても、あらゆる作業現場で帳票を印刷できるようにしよう!」と考えるのは、果たして本来のDXと言えるでしょうか?
確かに、印刷が便利になるだけでも少しは業務が楽になるかもしれません。しかし、そもそも取引先とデータ連携をするなどして、紙の帳票自体が必要なくなるような仕組みを考えるのが、本当に目指すべきDXなはずです。
テクノロジーを使えば、紙の帳票自体をなくすことは十分に可能です。逆に言えば、テクノロジーを知らないために、部分的な電子化に留まってしまうのです。
「まずは赤字部門から」新規事業を成功させる秘訣とは
リーダーに権限を委譲して、DXを推進すべき
ーーテクノロジードリブンで進めることの意義が理解できました。一方で、組織体制などの面では、どのような体制をとることが本質的なDXの成功確率を上げるでしょうか?
月並みな意見になりますが、高いリーダーシップを持つ人材1人に権限を委譲することが重要です。会社の風土として細かく合意を積み重ねて意思決定する会社もあるかもしれませんが、スピード感が重要なDXに合議制は向いていません。
誰かが納得いかなかったり異議を唱えたりする人がいると、開発期間は伸び、コストは膨らんでいきます。勢いのあるリーダーを立てて、その周りを少数精鋭の人材で固めるのが、私がこれまで見てきた中では一番DXがうまくいきやすい体制ですね。
まずは赤字部門からテコ入れし、成功事例をつくる
ーーDXを成功させるうえで、リーダーが心がけておくべきポイントはありますか。
まずは、赤字部門から手を付けることをおすすめします。人間は変化を嫌うもの。すでにうまくいっている黒字部門であればなおさらです。「もし何かを変えて、売上が下がってしまったらどうしよう」という不安があると、スピード感のあるDXはできなくなります。
赤字部門であれば、そもそもがうまくいっていないわけですから、遠慮することなく大胆な提案ができます。いわば、「上がるしかない」状態です。そこで成功事例を生み出せば、いずれ黒字部門に着手する際も、周りからの納得が得られやすくなります。
次に、アイデアをたくさん出すことです。特に新規事業開発においては、必ず成功する保証はありません。なるべくたくさんのアイデアを出し、精査することが必要です。
アイデアを出す段階では、同じ業界だけをみるのではなく、他の業界からヒントを得ましょう。同じ業界の競合だけを見てアイデアを出そうとすると、「馬車」に対する「鉄道」や、あるいは「自動車」といった革新は生まれず、「誰が一番早い馬車をつくれるか」の競争になりがちです。
破壊的なイノベーションには、ほかの分野の知見が欠かせません。他の業界の成功例を知ることで、テクノロジードリブンのプロジェクト起案もよりスムーズになっていくでしょう。
テクノロジーの知見を外部に求めてもOK
ーーリーダーになる人は、技術に詳しい人であるべきでしょうか?
テクノロジーの知見が深い人がいれば、むろんベストです。しかし実際には、必ずしも自社内に該当する人物がおらず「困っている」と相談されるケースが多いですね。とくにデータ活用やAIともなれば、求めるスキルレベルもそれなりに高くなりますから、完全に内製で進めることは難しいかもしれません。
ポジショントークになってしまうかもしれませんが、そんなときには、外部に知見を求めるのも手だと思います。何がなんでも内製にこだわるよりも、テクノロジーに強みを持ち、他社での成功事例も豊富な外部に頼ったほうが確実にプロジェクトを進めやすいからです。
さらに言えば、先入観のない第三者だからこそ、新たなビジネスの種を発見できるかもしれません。自社の新たな可能性を発見するつもりで、部分的に外の力を借りることもビジネスを成長させるうえでは有効な手立てと言えるのではないでしょうか。
取材:夏野かおる 執筆:林春花
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