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デジタルファブリケーションとは?ファブラボの普及とその先の未来

目次

デジタルファブリケーションとは?ファブラボの普及とその先の未来

2010年代に入って、日本でも徐々に「デジタルファブリケーション」という言葉が出てくるようになりました。個人でものづくりが安価でできるということで、ものづくりファンの間ではとても話題になりました。
日本での認知度は、アメリカに比べるととても低いデジタルファブリケーションですが、果たしてデジタルファブリケーションとは何か?そして、実際にものづくりができるファブラボとはどのような場所なのか?
ここでは、デジタルファブリケーションについての基本的概念を解説します。

1. デジタルファブリケーションとは

デジタルファブリケーションとは、簡単に言うと「デジタルデータをもとに創造物を制作する技術」のことを言います。3Dプリンタやレーザーカッターなど、コンピュータと接続されたデジタル工作機械で3DCGなどのデジタルデータを木材、アクリルなど、さまざまな素材から切り出して成形する技術です。
デジタル工作機そのものは、1980年代からすでに存在していました。1990年代後半から、技術の進歩によって工作機械の小型化が進み、机の上におけるまでのサイズになりました。これらを「デスクトップ・ファブリケーション」とも呼ばれています。これによって、従来の工場でものづくりを行う製造業という形態から離れた、ものづくりの個人化が促進されることになりました。「パーソナル・ファブリケーション」と言われるものです。
それ以降、マサチューセッツ工科大学の講義「なんでもつくる方法」の受講者が作成した「スクリーム・ボディ」や「逃走する目覚し時計clocky」など、メディアアートやプロダクトデザインの領域での実用例が出てきます。さらに東京の人気ブランドであるANREALAGE(アンリアレイジ)が3Dプリンタを用いてマネキンを作成したり、オランダのデザイナーがコレクションで3Dプリンタを使った服を発表したりと、ファッション・デザインの領域への波及も見られます。

上記のように、デジタルファブリケーションによるメリットとして、これまで製造技術では困難だったものが作成できること、そして個人レベルで新しいものづくりが可能となったことで、これまでものづくりに携わっていない人々の参画や、「Fab Labファブラボ)」と呼ばれるデジタルファブリケーション機器が設置された施設が出来たことで組織に属さなくても高度な作成器を使用した自由なものづくりが可能となりました。
但し、日本においてのデジタルファブリケーションの認知度は71.3%、アメリカでは35.6%と約2倍の差が見られます。

参照:総務省|平成28年版 情報通信白書|デジタルファブリケーション

2. ファブラボの普及

上でも出てきたように、デジタルファブリケーション機器の個人利用需要に応える施設「ファブラボ」とは、具体的にどのようなものなのかを解説します。

ファブラボとは、アナログからデジタルに至るまで多種多様な工作機械を備えた実験的な工房です。個人の自由なものづくりの可能性を広げるために、マサチューセッツ工科大学のメディアラボが、世界各国での設立と世界的ネットワークの構築を進めています。

FabLab(ファブラボ)の起源

FabLabは、Fabrication LaboratoryとFabulous Laboratoryの造語です。これは、製作のための研究室と素晴らしい研究室という2つの意味が含まれています。もともとマサチューセッツ工科大学内の研究室として講座を解説するなどしていましたが、学生から大きな反響を得たこと、パーソナルファブリケーションの可能性を探る最初のきっかけとなったことで、学外でオープンな工房を開いたのがその端緒でした。ボストンのスラム街とインドの田舎の村に設置されたファブラボは、多くの人が集まってそれぞれ自身が自分でモノを作る活動が自主的に始まったと言われています。

日本での始まり方

2010年の段階では、東アジアにはファブラボが設置されている場所はありませんでした。しかし、日本ではファブラボ設置を目指し準備を進めるための任意団体であるファブラボジャパンが発足されたのが、2010年春になります。背発足当初は、ファブラボの考え方を人々に伝える活動を行なっていました。

ファブラボの定義

人々にデジタル工作機器を利用する機会を提供することで、個人による発明を可能にする世界的なネットワークであるということです。

ファブラボに置いてあるもの

基本的に、レーザーカッター、CNCミリングマシン、CNCルーター、ペーパーカッター、電子工作機器一式、ビデオ会議システムなどが設置されています。

ファブラボを利用できる人とは

事業のために予定された利用のほか、個人の利用も開かれています。

ファルラボ利用者の義務

人や機会を傷つけないこと、掃除やメンテナンス、改善、運営に協力すること、知識としての文書化、使い方の説明に貢献すること

ファブラボで発明されたものの所有物

ファブラボで生まれたデザインやプロセスは、発明者が望むことで、保護や販売ができます。

ファブラボにおけるビジネスの可能性

ファブラボは営利活動のプロトタイピングやインキュベーションのために利用できます。

3. デジタルファブリケーションの課題

ここでは、想定される課題について説明します。

✔︎複製の悪用

高度な3Dプリンタによって、本来であれば危険とされるモノを作成することができます。ドイツのとあるセキュリティコンサルタントが、ワークショップに置いて3Dプリンターやレーザーカッターを用いルコとで簡単に手錠の鍵を複製できることを示し、手錠メーカーに迫り来る問題を提起しました。

✔︎著作権の問題

簡単にスキャンできること、クオリティの高さもあることで正規品が触れなくなる可能性が出てきます。

✔︎既存業種への影響

新しいテクノロジーによって既存の問題解決がなされ、それまでのことの自然沙汰が延長線上にあるということです。例えば、安価でプロトタイプを作ることができますので、コストをかけて試作金型を作っていた工程へ影響を与えます。デジタルファブリケーションでは、大量生産は難しいですが、3Dプリンタを使ったプロトタイプを安価で作成するにはとても向いています。

4. デジタルファブリケーションの未来

デジタルファブリケーションの本質は、立体的な体積を持つモノにあります。2Dデータはレーザーカッターによって厚みを持つ板へと物質化し、凹凸のあるレリーフはスキャナによってデジタルデータ化されます。
これらのプロセスは、データの形を取りモノや作り方が記録、保存されることでデータとしてインターネットを通じて送受信されたり、共有されたり、売買されたりする可能性を秘めています。
これらの価値が想像できるところにデジタルファブリケーションの面白さはあります。そしてこれらの動きは「オープンデザイン」と呼ばれています。
海外の事例として、NASAのサイトから、人工衛星や小惑星の3Dデータが無料でダウンロードできたり、イギリスの大英博物館も所蔵品のオープン3Dデータ化が始まりました。これらは、主に教育現場で、教材制作するための元データとして活用されています。

5. まとめ

今回は、デジタルファブリケーションの基本的概念を解説してきましたが、いかがでしょうか。
日本での認知がまだまだ低いこと、体験できるファブラボも多くはないことで、実際に目にしたことのある人は多くないかもしれません。
ただ、今後はもっと手軽に自分が作ってみたいものが作れるという文化が広まることで、ファブラボの存在も広がるのではないでしょうか。

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この記事の監修
リカイゼン サポートデスク 
吉田・新町
BtoBマッチングサービスであるリカイゼンにおいて、発注企業からのご相談のヒアリング、企業選定のフォローなどを行う部門の担当です。出展企業であるシステム開発やWEB制作、クリエイティブ制作会社ともコミュニケーションを取りながら、年間数百件の受発注のサポートを行っています。

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