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リアルとデジタルを服で融合!HKSK代表・赤木氏が語る、NFTやメタバースの価値とコミュニティの力

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リアルとデジタルを服で融合!HKSK代表・赤木氏が語る、NFTやメタバースの価値とコミュニティの力

ブロックチェーン技術を活用し、デジタルとリアルをつなげるフィジタルファッションの新規格・XRT。2023年6月に開催された「IVS Crypto 2023 KYOTO」では、「能」 の精神を背景にしたXRTの新ブランド「NOH」が発表されました。

XRTとNOHを提供する株式会社HKSKが提唱する、「デジタルとフィジカルが合わさった新たなファッション体験」とはどういったものなのでしょうか?

HKSK創業の経緯やNOHへのこだわり、今後の展望などを、HKSK代表取締役・赤木謙太氏に取材しました。

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株式会社HKSK 代表取締役 

赤木 謙太

DeNAやリクート、ベンチャーで新規事業開発&デザイナーとして数百万人ユーザーがアクセスするプロジェクト含めあらゆるドメインにおける50以上のプロダクトを設計からデザインまで担当。その後2016年からALISにて全体の設計からデザイン、コミュニティ運用。2019年独立武蔵野美術大学修士課程にて「空気感と風」の研究を行う。東京大学博士後期過程にて「デジタルワールドにおける自己表現とコミュニケーションの関係」についての研究を行う傍ら株式会社HKSKを立ち上げる。

HP:https://hksk.io/

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UIUXデザイナーから「風」の研究者へ

——まず、赤木さんのご経歴を教えてください。

赤木:もともと武蔵野美術大学を卒業した後に新卒でDeNAに入社し、ゲームプランナーやデザイナーとして各種のプロジェクトに携わりました。

そこからリクルートに転職して新規事業開発とUXに携わった後、テクノロジーの祭典であるサウス・バイ・サウスウエストに参加したのをきっかけに、「スタートアップで自分の面白いと思うものを作る」ことに価値を見出しました。

その後はいろいろな企業で副業をさせていただく中で、Fintech企業として株式投資家のクラウドファンディングを展開されているエメラダや、ブロックチェーンソーシャルメディアを運営されているALISでプロダクトの設計・デザインを担当しました。

——UIUXデザイナーからFintechやブロックチェーンの領域に関心を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?

赤木:まず、方向性として「様々なドメインのプロダクトを作りたかった」というのがありました。これまでの経験で、あるプロダクトの領域とは全くかかわりがない(ように見える)領域でも、場合によってはノウハウの応用先になることが数多くあり、そういったシナジーを面白く感じていたんです。

そんななか、仕事としてFintechに携わった際に法定通貨を扱うことになり、財務関連の資格を勉強していると、「ブロックチェーンならこの課題をこういう形で解決できるかもしれない」というものが見えました。そこで、ブロックチェーンと暗号通貨は面白いかもしれないと興味を持ちましたね。

——そこから博士課程へと、大きなキャリアチェンジをされた理由は何だったのでしょうか。

赤木:コインチェックの暗号通貨流出事故によってマーケットが縮小してしまったうえ、カストディ規制などでがんじがらめになったことで、「日本では何もできない」という状況になってしまったことです。そうした状況で続けていくのは厳しいということで、チームを離れて新規事業開発&デザインの会社を立ち上げ、それと同時に武蔵野美術大学の修士課程で風の研究を始めたんです。

——風の研究、ですか。

赤木:はい。風を浴びて心が軽くなるという体験をし、研究を始めました。人って触覚刺激を受けると、意識がそこに向きますよね。この性質を応用すれば、風の触覚刺激をカギとして何かできるんじゃないかと思いました。具体的には、風と同時に音を聴かせたり、香りを嗅がせたりすることで、「癒し」をはじめとした空気感を人工的に作り出せるんじゃないか、とか。

一見するとXRTには関係なさそうに聞こえるかもしれませんが、実際にはここでの研究が深いところでXRTにつながっていきました。

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XRT(クロスリアルTシャツ)はさまざまなIPやコンテンツの世界観を拡張するファッション新規格。フィジカルなアイテムとデジタルなアイテムの1:1での紐づけがスマートフォンで簡単に実現。「フィジタルアイテム」の所有を通じて、バーチャルワールド(ゲームやメタバース)での利用やコミュニティやイベントへの参加権(リアルとデジタルでの)を提供する。またフィジカルアイテムAR機能によって世界観をリアルでも再現。

現実とデジタルの分断を防ぐ「コミュニティの力」

――仮想通貨と風の研究。これらがHKSKの立ち上げにどうつながっていったのか、とても気になります。

赤木:武蔵野美大の後は東大で研究を続けていたのですが、そこでは同調圧力のような「社会的空気」に着目しました。風を通じて個人の気分を彩るように、何かを通じて社会的空気をコントロールできないかと。そこで出てきたアイディアが「」でした。

W杯やWBCのように、みんなで同じユニフォームを着ることで帰属意識や仲間意識が生まれて盛り上がったりするように、同じものを着ることでコミュニケーションが活発になることは結構あるよな、と考えたんです。なおかつ、自分がやっていたブロックチェーンと連携させると面白そうだなと思い、実際にNYで実験も行いました。

——どのような実験だったのでしょうか。

赤木:まず、デジタル上の衣服を配布し、受け取った人がHKSKのNFTを持って我々のWebサイトにアクセスすると、ウォレットの中身を読み込んで特別な地図が見られる仕組みを作りました。

その地図をもとに、現実世界のとある場所に足を運ぶと、そこには黒い箱があって。手をかざすと、映像とともにQRコードが出てくるんです。これを読み込むとウォレットの中身が確認され、認証が通れば箱が自動で開く仕組みにしました。

——まるでスパイ映画のようですね。

赤木:そうなんです。黒い箱の中身は、ARで拡張するとエフェクトがつくTシャツにしました。なおかつ、このTシャツを着た人達を集めると、日本人コミュニティとの接点がないブラジルやイタリアの方が集まり、とても仲良くなったんですよね。

デジタル上で「同じものが好き」「同じ目的を持っている」人がリアルで出会うことによって信頼関係を持った状態でコミュニケーションができることがわかり強く興味を持ちました。こうした実験を通じて、「リアルとデジタルのコミュニケーションをつなぐこと」が使命だと感じ、HKSKという会社を立ち上げました。

――ソーシャルメディアの時代ではデジタルとフィジカルの分断がキーワードとして挙げられることもよくあると思いますが、このつながりを取り戻すことが目的なのですね。

赤木:はい。メタバースは現状、デジタル空間だけで完結する傾向があり、そこで培われたコミュニティがリアルに影響することはあまり多くありません。だからこその気楽さやメリットもあるのでしょうが、実験で得られたような、デジタルとフィジカルが融合した「フィジタル」の感動もぜひ味わって欲しいと感じました。

リアルな身体を離れるデジタル空間では、居住地や年齢、性別のようなバイオグラフィックスな情報ではなく、価値観や趣味嗜好、つまりサイコグラフィックスな情報をもとにつながることになるでしょう。

自分の価値観や趣味嗜好を表現するアイテムが衣服であり、デジタルコミュニティのシンボルを現実世界で身に着けられれば、どんなに緊張する場面でも、「今日はみんながついてるぞ」とエンパワーメントされるんじゃないかと思ったんです。

価値観を同じくする人たちと、現実世界でもつながれる。しかも、かなり強い結びつきを得られることが、メタバースとリアルを融合させることの意義だと感じています。

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自分の推しのグッズを買うなら「最高の体験」にしたい

――XRT企画の新ブランドとして「NOH」を立ち上げられましたが、このXRTやNOHはどういったものなのでしょうか。

赤木:XRTWeb3.0/メタバース時代のファッション新規格です。具体的には、デジタル上の衣服を買い、購入時に住所を入力すると、現実の衣服も手元に届く仕組みです。さらには衣服に埋め込まれているチップをスマホで読み込むと、デジタル上でアイテムがアクティベート(認証)され、コミュニティやイベントにも参加できるようになります。

現実でもメタバースでも同じものを着られること自体が目新しいですし、それを起点に人とのつながりを構築できる点において、デジタルとリアルをつなげる「新しい衣服」だと位置づけています。そして、XRTの第一作目として生まれたのが、『NOH』というブランドです。

――NOHというブランドには、どのような思いが込められているのでしょうか。

赤木:もともと、デジタルとリアルの融合をやっていくなら、日本のすごく原始的な表現から出発したいと考えていました。

その中で注目したのが、能です。能では仮面をつけて翁や鬼などを演じるだけでなく、炎や水を表現する場面があります。舞台の上に実際に炎や水が現れるわけではないけれど、観客の目にはバーチャルな炎や水が見えている。これをARとして表現できないかと思いました。

人をつなげる力を持つコンテンツであること、グローバルでも新しい衣服の文化をつくれることを考えたときに、自分達も大好きなアニメやマンガ領域でやっていこうと決まりました。能はアニメ的な表現の原点とも言われる芸術ですから、両者が融合するのは自然なことでした。

具体的なXRTの機能としては、Tシャツの前面に描かれた模様をスマホで読み込むと、ARのエフェクトがかかります。これらのエフェクトは現状、スマホを通じてしか見ることができませんが、同じTシャツを持っている人には「見えないものが見えている」。この感覚が、能と似ているんです。

――3人のキャラクターについてもお教えください。

赤木:この3人はそれぞれ鬼・竜神・精霊がモチーフになっていて、それぞれが能の演目に紐づいています。多様性を持たせるために、3人は全員、どこか人っぽくない造形にしました。

それぞれが体現する水・炎・草の表現についても、ひとひねり入れています。静かなイメージで語られることの多い水は、あえて激しく。反対に、激しいイメージのある炎は「鬼火」をモチーフに小さく揺らめかせました。もちろんTシャツのデザインにもこだわっていて、着物のようにストレートな切り返しが入っています。

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グッズの細部までこだわり、シンプルな成功例を生み出す

——商品の購入⇒体験というストーリーを実現するために、どういった点を意識されていますか?

赤木:『NOH』ではそれぞれが「推す」キャラクターのTシャツを買うわけですから、出会う瞬間から最高の体験にしたいと考えました。チップはどう入れるのか。箱から出したときにもうちょっと重さがあった方がいい、色はこのくすみじゃないとか、チップのシール一つとっても何回も試し刷りをしてチームで確認をして細かく調整していきました。

――興味深いです。ただ、ここまでこだわりの製品となると、価格もどうしても上がってしまうのでは。

赤木:そこはブランドラインに加えて、廉価版ラインを出すことで折り合いをつけていきます。ブランドラインでは、アクティベーションも含めてすべての体験を提供し、「体験を買う」仕組みに。スマホのカメラでARを楽しんだり、リアルイベントとメタバース上で同じものを着たり、SNSなどを通じて仲間とつながったり、といったハイブリッドな体験を提供します。

一方で廉価版については安価で販売していくことで、いずれ「イベントに参加するために、思い切ってブランド版も買う」と思ってもらえたら嬉しいですね。

——今後の展望についてもお聞かせください。

メタバースは、人とのつながりを通じて自分の居場所を見つけられる点に最も価値があると感じています。

内閣府の調査によると、「居場所の数」、もしくは「相談できる人がいる場の数」が増えれば増えるほど自己肯定感は高まっていきます。ここで面白いのが、内閣府の調査ではインターネット空間も「居場所」に含めていること。現実世界が居場所になりづらくても、デジタルな空間ならひとつ居場所が増えるかもしれない。それはとても喜ばしいことですよね。

ただ、デジタルに傾倒しすぎると現実との乖離が起きてしまうのも事実。リアルとデジタルを融合させるXRTなら、デジタルな繋がりをもとにリアルな居場所を生み出すことができるんじゃないか……そう考えています。

NFTやメタバースは、どうしても抽象的な思想で語られがちです。それに対して我々が目指すのは、「いい服を買ったから、ちょっと外に出ようかな」くらいの、シンプルでわかりやすい例。自分が着て気持ちいい・楽しいだけではなく、人のつながりを生むためのファッションアイテムを生み出すことで、社会に貢献できれば嬉しいです。

取材:夏野かおる 執筆:中島佑馬

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この記事の監修
リカイゼン サポートデスク 
吉田・新町
BtoBマッチングサービスであるリカイゼンにおいて、発注企業からのご相談のヒアリング、企業選定のフォローなどを行う部門の担当です。出展企業であるシステム開発やWEB制作、クリエイティブ制作会社ともコミュニケーションを取りながら、年間数百件の受発注のサポートを行っています。

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