221匹の野良犬を救った、メキシコのキャンペーン事例

こんにちは、コア・アド・インフィニティ編集部の橋本です。
小学3年生のとき、柴犬（メス）を家族に迎えました。
ボール遊びやフリスビーのトッテコイが好きで、夏はスリムなキツネの様になり、冬はモコモコしてタヌキに似る犬でした。
一緒に暮らし始めてから犬が大好きになりました。
犬に関連して、今回はあるキャンペーンをご紹介したいと思います。

「未来の飼い主さん」へダイレクトにメッセージを伝える方法

まずはこちらの動画をご覧ください。
↓↓↓↓↓
https://vimeo.com/65559613

この動画は、メキシコで200店舗を展開する最大手のペットショップ「＋KOTA」による
“Invisible owner（見えない飼い主）”というキャンペーンの様子です。
飼い主に捨てられた野良犬の存在を人々に知ってもらいつつ、
迅速に里親を募り、できるだけ多くの犬たちを助けることが目的でした。

「＋KOTA」のスタッフは限られた予算の中で、シンプルかつ影響力のあるアイデアを考えました。
動画の最初のほうでは、まず犬の散歩時に使用するリード（手綱のようなもの）を、
形状記憶のできる素材を使い、飼い主がリードを手にもち犬を散歩させているような形に固めていきます。
固めたリードを犬たちに装着し、街を自由に歩かせました。

不思議な犬たちは、街ゆく人々の注目を自然と集めます。
犬の首輪には、骨型のメッセージカードが幾つもついています。
カードの表面には“Adopt me”（私を飼ってください）、
裏面には「すべての犬は、飼い主を必要としています」というメッセージが書かれていました。
犬たちの境遇を理解した人々は、思わず犬を抱きしめてしまうのでした。

このキャンペーンは、犬が“見えない飼い主に散歩されている”
つまり“あなたこそが未来の飼い主かもしれませんよ”と訴えかけるものでした。
この取り組みによって僅か2か月間で221匹の犬に飼い主が見つかったそうです。

キッカケづくりでハッとさせて、訴えかける

マーケティングでは「認知させること」が最初のステップです。
認知したものが消費者の興味関心を喚起して、共感を呼べば購買に繋がります。
まずは認知させるキッカケづくりを何にするかが重要です。

今回の事例では、認知のキッカケを犬にしたことが効果的でした。
不思議な格好の犬から興味のキッカケを得て、なんだろう？近寄ると、犬の首元にある広告（メッセージ）を見つけることが出来る仕組みです。
同時に目前の犬が抱える問題を知り、ハッとする気持ちと共感が生まれます。

大勢の人々と犬とをゲリラ的に引き合わせたことも効果的でした。
犬が直接訴えかけてくるスタンスは心を惹きます。
街ゆく不特定多数の人々が対象だったので、相手が興味あるかどうか？
潜在顧客かどうか？は関係なく、平等なアプローチで飼い主の分母を拡げました。

マーケティングの重要要素である「認知させ、興味関心を持たせる方法」で多くのワンちゃんを救った事例でした。

平成25年度の1年間で保護された野良犬はおよそ6万頭でしたが、飼い主が見つからなかった約2.9万頭が殺処分を受けました。
日本の保健所での保護期間は一週間と短く、この期間中に飼い主が見つからない犬たちの運命は決まっています。
この件に限らず、問題意識を持つような「文字情報」は日常にあふれていますが、
今回のキャンペーンのように、リアルな実感を伴わせる情報は意外と少ないですから、
そういった面でも斬新なキャンペーンだなあと思いました。

参考：
http://markezine.jp/article/detail/17950
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html