システムインテグレーション（SI）とは？システム開発外注の基礎

システムインデグレ―ションの基礎知識を身に付ける際にはSI、Sier、SEのそれぞれの違いを把握しておく必要があります。それぞれ全く違うものになっているので、性質を理解しておくことで正確な知識を身に付けることが可能です。

外注する際などにも重要な知識となるので、改めてそれぞれの違いを理解しておきましょう。

1.　システムインテグレーションの基礎知識

システムインテグレーション（SI）とは

皆さんはシステムインテグレーション（SI）と聞いて、どのような業務をイメージするでしょうか。 システムインテグレーション（SI）とは、顧客の業務内容を分析し、その問題に合わせた情報システムの企画、構築、運用などを一括して行うことを言います。

システムの企画・立案からプログラムの開発、必要なハードウェア・ソフトウェアの選定・導入、さらに完成したシステムの保守・管理までを総合的に行うのがこのシステムインテグレーション（SI）の業務であると言えます。 部門を超えて連携を高めることができるので、開発における利便性の向上に繋がるでしょう。

このシステムインテグレーション（SI）を行う事業者のことをシステムインテグレーター（Sier）と呼びます。

Sierとは

SIとSierは名称が似ているため、混同しやすいですが実際には下記の違いがあるので注意しましょう。

● SI（名称：エスアイ）
システムインテグレーションの略称。システム開発や運用などを請け負うサービスのことを指す。
● Sier（名称：エスアイヤー）
システムインテグレーターの略称。システム開発や運用などを請け負うサービス事業者や会社のことを指す。

企業によってはSierのことを「システムベンダー」や「ITベンダー」という名称で呼ぶこともあるのであらかじめ覚えておくと良いでしょう。また、Sierの仕事内容としては下記の項目が挙げられます。

• 業務システムや基幹システムの設計開発
• アプリケーション開発、組込みシステムの開発
• サーバー、データベースの構築
• ECサイトやホームページの構築
• パッケージソフトウェアの販売
• 完成したシステムの保守や運用

SEとは

SEとはシステムエンジニアのことを指す略称です。具体的にシステムエンジニアはクライアントの要望を聞き出し、その要望通りのシステム開発を行う職業となっています。基本的には開発の現場において、システム設計やプログラミングを担当することが多いです。

プログラミング業務に関しては自分でプログラミングを行うこともあれば、プログラマーに依頼することもあるのが特徴的です。システムエンジニアはプログラマーの上位職に当たるので、リーダー的な立ち位置で働くことも多くなります。

そこで実際のSEの仕事としては下記の項目が挙げられるでしょう。

• 要求分析：クライアントから要望をヒアリングするのがメインの仕事内容。この段階で課題発見を行うことも多い。
• 要件定義：クライアントへのヒアリング内容からシステムの概要を決定する。
• 基本設計：システムの表示方法や操作方法など基本的な部分を設計する。
• 詳細設計：実際のシステムを動かすためのプログラミングに対する設計を行う。
• プログラミング：基本、詳細設計の内容に沿ってプログラミングを行う、
• テスト：完成したシステムが動作するかどうか実際に確認する。

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2.　日本の代表的なSier企業

日本には数多くのSier企業が存在します。そこで実際には国内のSier企業は、下記の3つの種類に分かれているのが特徴的です。

• メーカー系
• ユーザー系
• 独立系

メーカー系

メーカー系のSierはシステムインテグレーションだけではなく、ハードウェアを合わせて提供することのできるSierです。そのため会社のハードウェアと共にソリューションを提供可能な点が大きな特徴となっています。

国内における代表的なメーカー系のSierとしては日立製作所、NEC、富士通が挙げられるでしょう。いずれも国内において有名な企業となります。

日立製作所

日立製作所はNEC、富士通と並ぶ国内大手のSier企業です。IT、エネルギー、モビリティなど事業領域も非常に広く、技術力の高さがうかがえるでしょう。SI事業においては、「サービス＆プラットフォーム」「フロントビジネス」の分野で成果を発揮しています。

クライアントと次世代の社会でデジタルイノベーションを目指す施策である「Lumada」など、常に新たな取り組みに挑戦している点も大きなポイントとなっています。

NEC

NECはシステムインテグレーションとハードウェア提供を組み合わせ、独自の幅広い事業展開を行っているのがポイントです。ワンストップでソリューションを提供していることからも、技術力や対応力の高さも魅力となっています。

オンラインイベントも積極的に開催しており、NECのビジョンや技術力の高さを欠かさずに発信し続けています。製造、小売、金融など幅広い業種に対応したサービスを提供できることからも、国内で多大な支持を獲得しているメーカー系Sierです。

富士通

業界内でも非常に大きな規模を誇るメーカー系のSierとなっており、AI、５Gといった最新技術の開発も積極的に行っています。また、サーバー製品の展開も行っており、国内で高いシェアを確立しているのが特徴的です。

システムインテグレーションにおいても最適な提案を行ってくれる上に技術力も高いため、信頼性が非常に高くなっています。まさに国内No1のSier企業として相応しいブランド力と技術力を兼ね備えた企業と言えるでしょう。

ユーザー系

ユーザー系Sierは金融系の企業のシステム部門が独立して生まれたSierとなっています。母体となっている会社からの案件を中心に受注するため、経営基盤が安定しているのも大きな特徴と言えるでしょう。

国内のユーザー系Sier だと、NTTデータ、NRI、SCSKなどの企業が代表として挙げられるでしょう。ここからはそれぞれのユーザー系Sierについて詳しく解説します。

NTTデータ

NTTデータは国内でも規模の大きいSierとなっています。ビッグデータ・AIなどの最新技術を活用したソリューションが特徴で、質の高いシステムインテグレーションが期待できるのがポイントです。

また、積極的に海外での活動も行っており、常にITのトレンドの最前線に立っている企業です。国内、海外において多くの開発事例をもっているため技術力も高く、信頼感のあるSier企業と言えるでしょう。

NRI

NRI（野村総合研究所）ではマネジメントコンサルティング、システムコンサルティング、金融ITソリューションなど多方面においてソリューションしています。そのため提案力が非常に高いSierであることがうかがえるでしょう。

また、野村ホールディングスとの資本関係もあるため、金融・証券会社のITソリューションを得意としているのもポイントです。NRI独自の調査なども公式ホームページで確認できるようになっており、リサーチ能力や調査能力の高さが感じられます。

SCSK

SCSKは、住友商事が元となっているユーザー系SIerです。自社グループの企業を中心にソリューションを展開しているため、事業基盤が安定しています。業務の効率化、プロセスの改善などクライアントに寄り添ったソリューションを得意としているのもポイントです。

どこでも働けるシステムの展開や、サーバーのリモート運用化など常に世界のトレンドを見たサービス展開を行っているのも大きな魅力です。クライアントの課題改善を念頭にシステム開発を行う国内でも実力の高いSierとなっています。

独立系

独立系のSierはシステムインテグレ―ションを行うことを第一に作られた企業です。親会社やグループ会社の制限がないため、クライアントに自由度の高いソリューションを提供することを可能としています。

独立系のSierで有名な企業を挙げると大塚商会、TIS、トランスコスモス、オービック、富士ソフトが挙げられるでしょう。ここからはそれぞれの独立系Sierについて詳しくご紹介します。

大塚商会

国内の独立系Sierとして有名な企業としてはまず大塚商会が挙げられるでしょう。IT機器の導入から業務改善といった幅広いITソリューションを可能としており、確かな技術力の高さを誇っています。企業向けに通販なども積極的に展開していることから、独立系Sierとして業務範囲が非常に広いことで有名です。

また、オンラインセミナー、地域別セミナーなども精力的に行っており、積極的に大塚商会のブランド力を発信しています。

TIS

TISは常にトレンドに対応したソリューションを展開している独立系Sierです。キャッシュレス化、スマホによるペーパーレス化など最新のITソリューションを可能にしています。 導入事例も幅広く、様々な業種に対応できるのが強みです。

近年ではSI事業の縮小を見越しており、サービス型やプラットフォーム型のビジネスの展開にも注力しています。常に時代の流れとともに柔軟に対応していくことができるのが、TISの最大の特徴と言えるでしょう。

トランスコスモス

トランスコスモスは国内外で精力的に活躍している独立系Sierです。デジタルマーケティングサービス、ECワンストップサービスなど幅広いソリューション業務を展開しています。1部上場企業の大半を顧客に持っていることから経営基盤も安定しているのが特徴的です。

クラウド型のプラットフォーム、在宅コンタクトサービス、音声認識ソリューションなど様々な開発を可能としています。最新の技術にも対応しており、多くの企業にITソリューションを展開し、信頼性を獲得しているのがポイントです。

オービック

オービックはワンストップでITソリューションを展開している独立系Sierとなっています。業種などに関わらず幅広いITソリューションを可能にしており、様々な業界の顧客を持っているため、経営基盤が安定しているのが特徴的です。

クラウドソリューション、マイナンバー制度対応など技術力の面でも非常に優秀なことがうかがえます。さらに、サプライ用品、奉行クラウド、フルクラウド３D CADなど直接販売製品も整っていることが強みとなっているのも、オービックの強みの1つと言えるでしょう。

富士ソフト

富士ソフトは1970年に設立された独立系Sierとなっており、東証一部上場も果たしています。モバイル、教育、クラウドインテグレーションなど幅広いITソリューションを可能としているのがポイントです。

ロボット開発、AIの研究、ペーパーレスなど最新技術の多くに携わっており、単純に技術力的にも優れています。最新技術を取り入れていることや柔軟性の高いソリューションを展開していることから、国内でも知名度の高い独立系Sierです。

3.　システム開発の依頼先はSier？

ここまで国内における多くのSier企業についてご紹介しました。ただ、実際にシステム開発を行う際の依頼先としてSierを選ぶのか悩む方もいらっしゃるでしょう。

そこでここからは、Sierの業界構造や外注における仕様について詳しくご紹介します。これからSier企業にシステム開発の依頼を検討している場合はご参考にしてください。

多重下請け的なSier業界

Sier業界ではゼネコン的な多重下請け構造を取っていることが多くなっています。大手Sierに依頼しても案件規模によっては、下請けの会社が対応していることもあるでしょう。

このような下請け構造の原因には大手Sier企業に発注が偏ることが挙げられます。そこで、大手Sier企業は労働力の確保のために、別のSier企業に下請けを発注するという構造になっているのです。

そのためSier企業にシステム開発を発注する場合は、このようなIT業界の構造を知っておくことが大切です。

開発依頼なら小規模開発会社でも問題はない

自社のシステム開発を依頼するときなどは、元請け企業に頼まずとも、普段2次請け、3次請けなど受けている会社に依頼するほうがおすすめです。そうすることで、直接開発に携わっている担当者とやり取りができ、コスト面やコミュニケーション面で齟齬の発生を抑えることができます。

コスト面やコミュニケーション面での齟齬の発生を防ぐことで、よりスムーズにシステム開発が完了します。そのため単純な開発依頼をする場合は、中小レベルのSier企業に相談することがおすすめです。

上流工程に慣れている会社に依頼しよう

小規模会社でも、受託開発体制を取っている会社に依頼するほうが、上流工程から入ること（システムインテグレーション的な発想）でシステム開発を対応してくれることが多いです。

上流工程から入ると、しっかりとヒアリングの段階から親切に接してくれるため、安全にシステム開発を行うことが可能です。要件定義、機能定義などを明確にした上で、開発が進むため、発注者側と受注者側で齟齬が起きにくくなります。

したがって、初めてシステム開発などをSierに依頼する場合は上流工程に慣れている会社に依頼することを検討しましょう。

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4.　システムインテグレーションのまとめ

さて、本記事ではシステムインテグレーションの意味合いと、関連するSIer、使い方を間違いやすいSEなどの言葉の紹介をしました。
システム開発でよく聞く言葉などは理解しておくことで、発注業務がスムーズになることがあります。

また、代表的なSIer企業を見ながら、実発注においては必ずしもそのような大手企業に依頼しなくてもよいケースがあることをご紹介しました。
プロジェクトの規模によって適した依頼先の開発会社の規模も変わってきますので、もしシステム開発で開発先選定に悩まれることがあれば、 ぜひシステム開発業者のマッチングを行っているリカイゼンにご相談ください！
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