AIエージェントとは？生成AIとの違いや主な種類、メリット・課題を解説

AIエージェントとは？生成AIとの違いや主な種類、メリット・課題を解説

AIエージェントについて「生成AIとは何が違うのかわからない」「どの場面で活用できるのか知りたい」といった悩みを抱えている方も多いでしょう。

そこで今回は、AIエージェントとは何か、生成AIとの違いや主な種類、メリット、課題などについて解説します。本記事を読めば、AIエージェントの全体像がわかり、業務への導入イメージが具体的に描けるようになるでしょう。

AIエージェントとは

AIエージェントは、あらかじめ決められた指示だけではなく、自分で考えて行動する能力をもったAIのことです。よく耳にする生成AIとの違いや、AIエージェントが動く仕組みを解説します。

生成AIとの違い

生成AIは、文章や画像などコンテンツの生成に特化したAIで、人間の指示に応じて出力を行います。一方で、AIエージェントは与えられた目標を達成するために、自ら情報を集めて判断し、行動を起こすAIです。状況を見て自律的に判断して行動できるため、スマート家電などのように、実世界で制御・自動化を行えます。

AIエージェントの仕組み

AIエージェントは、ただプログラムされたとおりに動くわけではなく、状況に応じて自ら判断し、行動する仕組みがあります。

まず、温度センサーや音センサーなどのセンサーを使い、周りの環境を確認することが最初のステップです。その後、過去に学習したことやルールをもとに、最適な行動が何か、意思決定を行います。何をどうするかが決まれば、モーターやアームなどのアクチュエータを使い、意思決定した行動を実行します。

この一連の流れを何度も繰り返すことにより、AIエージェントは状況に合わせて動き、問題を解決することが可能です。

AIエージェントの主な特徴

AIエージェントは、ビジネスや生活のさまざまな場面で活用されています。その理由は、AIエージェントがもつ特徴が有用だからです。以下では、AIエージェントの代表的な特徴を3つ紹介します。

自律的な判断能力をもつ

AIエージェントの特徴のひとつに、自律的に判断して行動できる点があります。人間から細かく指示をされなくても、AIが自分で考えて動くという能力です。

たとえば、ロボット掃除機をイメージしてみましょう。部屋を掃除するときに「どこを通って」「いつ止まって」「ゴミが落ちていたらどうするか」など、いちいち人が教えなくても、状況を見ながら自分で判断して動きます。これが、自律的な判断です。

継続的に学習・適応する

AIエージェントは、ただ判断するだけでなく、経験からも学べます。「継続的な学習」といい、新しい状況や変化に応じて、自分自身をアップデートする能力です。

たとえば、チャット対応を行うAIエージェントがいたとします。最初は質問にうまく答えられなかったとしても、どんな質問が多いか、どんな返答がよく使われるかを少しずつ学び、次第にスムーズな応答ができるようになります。

システムの拡張・変更が容易である

AIエージェントは、柔軟にシステムの拡張や変更ができる特徴があります。新しい機能の追加や、別の業務への対応が比較的簡単です。ほかのシステムと連携できるため、導入後の変化にも対応しやすく、結果として長く活用できるのは、企業にとって嬉しいメリットといえるでしょう。

AIエージェントの種類

AIエージェントにはいくつかの種類があり、それぞれの働き方や考え方が異なります。基本的な6種類のAIエージェントについて、具体例を交えて紹介します。

単純条件反射エージェント

単純条件反射型のAIエージェントは、ある条件が起こったときに、決まった反応をするだけのシンプルなものです。人間でいうと、熱いものに触れて思わず手を引っ込めるようなものです。

たとえば、温度センサー付きのヒーターが「部屋が寒くなったら電源を入れる」といった動きをする場合、単純条件反射エージェントが使われている可能性があります。

モデルベース条件反射エージェント

単純条件反射エージェントと似ているものの、少し賢く、状況確認にモデル（内部の情報）を使います。過去の状態や周囲の状況を考えながら、どう反応すればよいかを決めるのです。

たとえば、車の自動運転システムで、前の車との距離や信号の色、周囲の車線を見て判断するような動きが該当します。

目標ベースエージェント

目標ベースエージェントは、何を目指して行動するかという目標をもっています。目標に到達するために、いま何をするのが適切かを考えながら動くのが特徴です。

たとえば、迷路を抜けるロボットがゴールにたどり着くことを目標にしている場合、行き止まりを避けながらルートを選びます。

効用ベースエージェント

目標ベースエージェントが、目標に到達できればそれで良いと考えるのに対して、効用ベースエージェントはどの方法が一番良さそうかを考えます。成功するだけでなく、最適であるかを大事にするのです。

たとえば、道を案内するナビアプリで、早く着くが有料道路を通る道や、時間はかかるが無料で行ける道などを比較し、最適なルートを提案する場合が挙げられます。

学習エージェント

経験から学び、どんどん賢くなっていくのが学習エージェントです。最初はうまくできなくても、使っていくうちに成功や失敗を覚え、次に同じような場面が来たときに、より良い判断ができるようになります。たとえば、スマートフォンのキーボードが、よく使う言葉を覚えて予測変換してくれるのも、学習エージェントの一種です。

階層型エージェント

階層型エージェントは、いくつかの考え方を組み合わせて、ひとつの判断を下すAIエージェントで、複雑な動作が可能です。複数の機能が階層のような役割をもちながら、連携して動きます。

たとえば、人型ロボットが「周囲を見て」「人を認識して」「声をかける」という一連の動作を行うとき、それぞれの機能が別々に働きながら、全体として協力するようになっているのです。

AIエージェントの導入によるメリット

AIエージェントを導入すれば、企業はさまざまな面で恩恵を受けられます。代表的な3つのメリットについて見ていきましょう。

コストの削減

AIエージェントを導入することで、人が行っていた作業を自動化できるため、人件費や運用コストを減らすことが可能です。とくに、同じ作業を繰り返す定型業務は、AIエージェントの導入で大きな節約になる可能性があります。

たとえば、チャットボットなどカスタマーサポートの自動応答ができるAIエージェントが、よくある質問に対応すれば、対応スタッフの人数削減につながります。

業務の効率化・生産性の向上

AIエージェントは、単に作業を代行するだけでなく、スピードや正確さの面でも優れています。人間では時間がかかる作業でも、AIなら瞬時に処理できるのです。

たとえば、倉庫管理システムにAIを導入し、在庫の自動更新・発注を自動化すれば、より早く正確に在庫管理を行える可能性があります。

カスタマーエクスペリエンスの向上

AIエージェントは、企業の利益だけではなく、顧客満足度の向上にも貢献できるというメリットがあります。AIエージェントは時間を問わず、いつでも素早く対応ができます。AIエージェントを業務に利用することで、顧客のストレスが減り、信頼感を高められるのです。

AIエージェントの活用例

AIエージェントは、目的に応じて自ら考え判断し、行動できる特徴から、さまざまな場面で人間のサポート役として活用が進んでいます。

AIエージェントの活用例は、以下のとおりです。

AIエージェント導入における課題

AIエージェントには多くのメリットがある一方で、導入には課題もあります。後悔しないよう、導入前に確認しておきましょう。

・技術的課題

自社で使っているシステムとAIエージェントをうまく連動させるには、細かい調整や追加開発が必要な場合があります。自社の設備が古い場合、導入に苦労するかもしれません。

・倫理的課題

AIエージェントが自動で判断・行動することで、人間の価値観やプライバシーに関わる問題が発生する可能性があります。たとえば、就職活動の選考でAIエージェントを使った場合、性別や出身地で判断してしまうという問題が実際に起きています。

・実用面の課題

実際に現場で導入する場合、システムの構築費、データの準備、社員教育など、多くのコストと時間がかかるかもしれません。導入後も、定期的な見直しと改善が必要です。

AIエージェントの活用は専門家に相談しよう

AIエージェントは、業務の効率化やコスト削減、サービス品質の向上など多くのメリットをもたらす一方で、導入や運用には専門的な知識や判断が必要です。

AIエージェントは、自律的に行動する性質をもっているため、導入設計を誤ると、大きなトラブルの原因にもなりかねません。AIエージェントの導入や活用を検討する際は、AIやITに詳しい専門家へ相談することをおすすめします。

専門家に相談することで、自社の業務内容や予算から最適なAIエージェントを提案してくれるため、安心してAIエージェントを導入できるでしょう。導入後のサポートもしてくれる専門家を選べば、間違えた使い方やトラブルを予防できる可能性が高くなります。

まとめ

AIエージェントは、ただプログラムされたとおりに動くわけではなく、状況に応じて自ら判断し、行動する仕組みをもつことが特徴です。AIエージェントの導入により、コスト削減や業務の効率化・生産性の向上などのメリットがある一方で、いくつかの課題も存在するため、理解したうえで導入を検討することが重要です。

AIエージェントの導入や運用には、専門的な知識や判断が必要になります。活用を検討する際は、AIやITに詳しい専門家へ相談すると良いでしょう。

本記事を参考に、AIエージェントを有効活用してみてください。