デジタル化とは？DXやIT化との違い、メリットや進め方を解説

デジタル化とは？DXやIT化との違い、メリットや進め方を解説

「デジタル化」という言葉を耳にする機会が増えたものの、「DX化とどう違うのかわからない」「進め方に不安がある」という悩みをもつ人も多いでしょう。そこで今回は、そのような悩みを抱える人に向けて、デジタル化の基本から実践的な進め方まで網羅的に解説します。自社のデジタル化のために、ぜひ参考にしてみてください。

デジタル化とは？

「デジタル化」とはなにか、混同されやすい言葉との違いも含めて解説します。まずは、デジタル化の基本を確認し、理解を深めていきましょう。

アナログ業務をデジタルにすること

デジタル化とは、今まで紙や手作業で行っていたアナログ業務を、パソコンやスマートフォンなどのデジタル技術を使って進めるよう変更することです。デジタル化を適切に行えば、仕事のミスを防止しながらスピードを上げて効率化できるため、多くの企業がデジタル化を推進しています。

デジタル化の種類

「デジタル化」と似たような言葉には、以下の3つがあります。いずれもデジタル化ではあるものの、段階に応じて呼び分けています。

＜デジタル化の種類＞

• デジタイゼーション
• デジタライゼーション
• デジタルトランスフォーメーション（DX）

それぞれの違いと内容について、具体的に見ていきましょう。

デジタイゼーション

デジタイゼーションは、アナログの情報をデジタルな情報に変更することです。最もシンプルなデジタル化の形で、データをコンピューターで扱えるように変えることが目的です。

たとえば、紙の書類をスキャナーで読み取り、PDFに変える作業が挙げられます。この段階では、業務の進め方自体は変わりませんが、情報が扱いやすくなることでその後の業務の効率化につながります。

デジタライゼーション

デジタライゼーションは、業務の進め方そのものをデジタルで効率化することです。単に紙をPDFにするだけでなく、業務のやり方自体を見直して、デジタルの力で改善していきます。

たとえば、紙の申請を電子申請に切り替えることが挙げられます。この段階では、業務のスピードや正確さが向上し、無駄な作業を減らせる可能性が高いです。

デジタルトランスフォーメーション（DX）

DXは、会社のビジネス全体をデジタルの力で変革することです。ただの効率化ではなく、デジタル技術を使って、事業のやり方そのものや、価値の提供方法を根本から変えることです。

たとえば、リアル店舗中心だった小売業が、ECサイトやアプリ販売をしてみることが挙げられます。DXは単なるツール導入ではなく、経営の考え方まで変えるような取り組みといえるでしょう。

「DX」「IT化」との違い

デジタル化・DX・IT化は混同されやすい用語ですが、それぞれ意味が違います。デジタル化・DX・IT化の違いは、以下のとおりです。

デジタル化の主な取り組み例

企業が行っているデジタル化の取り組みには、さまざまな種類があります。代表的な取り組みは、以下のとおりです。

取り組み内容は多岐にわたりますが、人の手間を減らし、仕事を効率良くすることは共通している点です。

デジタル化の5つのメリット

デジタル化を進めることで、企業や組織の働き方が大きく変わるため、企業にとってメリットがあります。以下では、代表的なメリットを5つ紹介します。

業務効率化と生産性が向上する

デジタル化を行うことで、仕事のスピードと正確さがアップすることにより、業務効率と生産性が向上する点は大きなメリットです。これまで手書きだった作業をパソコンやアプリに置き換えることで、時間も手間も大幅に減らせるかもしれません。

コストの削減につながる

アナログ化で発生していたトータルコストを、デジタル化によって削減できる可能性があります。たとえば郵送には、切手代などの見えるコストのほかに、印刷して封をする作業などの見えないコストも発生しています。小さいコストのように見えて、長期的な視点やトータルコストで見たときには、大きな経費になっているかもしれません。デジタル化によって、このようなコストを大幅に削減できることは、企業にとってメリットとなるでしょう。

BCP（事業継続計画）を強化できる

災害やパンデミックなど、予期せぬ事態が発生したときでも、デジタル化されていれば業務を止めずに済む可能性が高まります。緊急時でも、安心して業務を続けるための体制が整っていることは、BCPの強化に不可欠です。

新サービスを創出できる

デジタル技術を活用すれば、新しいサービスを生み出すチャンスが広がります。飲食店のアプリ注文や、オンラインでの健康診断もその一例です。デジタル化によって利用者の利便性が向上し、企業が新たな価値を提供できるようになります。

多様な働き方に対応できる

デジタル化は、場所や時間に縛られない柔軟な働き方を可能にします。テレワークやフレックスタイム制など、社員一人ひとりのライフスタイルに合わせた働き方を実現するうえでは、デジタル化が欠かせません。従業員の満足度が上がることで、会社全体の生産性の向上にもつながる可能性があります。

デジタル化推進のための5ステップ

デジタル化を迷わずに取り組めるよう、5つのステップに分けて解説します。それぞれのステップに沿って進めることで、無理なく着実にデジタル化を進められるでしょう。

現状の課題と目標を明確にする

まずは、現場で困っていることや、さらに良くしたいことをはっきりさせることが重要です。課題や目標を明確にしないままデジタル化を実施しても、導入したツールをうまく活用できず、無駄な投資になるかもしれません。

優先順位づけと対象業務の選定を行う

課題が洗い出せたら、次はどの業務から取り組むかを決めましょう。いきなりすべてをデジタル化しようとすると、時間もコストもかかり、現場も混乱してしまいます。すぐにデジタル化を実施できるものや、わかりやすい業務から手をつけると、デジタル化のハードルが下がり、社内の理解を得やすくなります。

必要なツール・システムを導入する

次に、業務に合ったツールやシステムを選びましょう。高機能なものが必ずしも良いとは限らないため、使いやすさと現場との相性を考慮して選定することが重要です。ツールによっては、初期費用がかからない無料プランが用意されているものもあるので、導入してから後悔しないように試してみるのがおすすめです。

業務へのフィッティングを進める

ツールを導入しただけで業務が変わるわけではなく、実際の業務の流れにうまく組み込むことが必要です。従業員が業務に落とし込めるよう、使い方のマニュアルを用意することをおすすめします。操作方法の研修や勉強会をひらくことも、効果的です。

効果測定と改善を行う

最後のステップは、導入した結果を確認・分析し、改善を実施します。せっかくツールを導入しても、あまり使われていない場合や、期待した効果がでていない場合は意味がありません。必要であれば、別のツールへの乗り換えや設定の見直しを行いましょう。継続的に改善を進めることで、デジタル化の効果を最大限に引き出せます。

デジタル化を推進するためのポイント

デジタル化をうまく進めるには、ただツールを導入すれば良いわけではありません。デジタル化を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえて取り組む必要があります。以下では、欠かせない4つのポイントを紹介します。

全社員に理解してもらう

デジタル化を進めるには「なぜデジタル化を行うのか」を全社員にしっかりと伝え、理解してもらうことが重要です。実際にツールを利用する従業員が、デジタル化を行う意味を理解していなければ、ツールが使われずに効果がでない可能性があります。

使いやすいツールを導入する

どんなに高機能なツールでも、使いにくく、従業員が使うのを避けていると意味がありません。とくに、パソコンやスマホに不慣れな従業員が多い場合は、操作が簡単で直感的に使えるツールの選定が重要です。実際に導入する前に、無料プランで従業員に触ってもらうのも、導入判断の決め手になるでしょう。

デジタル化の研修や教育を行う

ツールを導入しただけで、すぐにうまく使いこなすのは難しいかもしれません。そのため、研修のような使い方を学べる機会をつくることが重要です。また、研修は一度きりで終わらせるのではなく、何度か実施して少しずつ慣れる環境を整えることで、従業員が安心してデジタル化に取り組めるでしょう。

スモールスタートで始める

いきなりすべての業務を一気にデジタル化しようとすると、現場が混乱し、導入に失敗するリスクが高くなります。まずはスモールスタートで行い、成功体験を積み重ねていくことがポイントです。少しずつデジタル化の範囲を広げていくことで、無理なく社内全体のデジタル化を進められます。

専門家のサポートを受けながら、デジタル化を推進しよう

デジタル化を進めようとしても「なにから始めれば良いかわからない」「社内に詳しい人がいない」と悩む企業は少なくありません。適切にデジタル化を実施しないと、あまり効果がでない可能性があるため、外部の専門家の力を借りるのがおすすめです。専門家に依頼することで、企業の状況を分析して最適な方法を一緒に考え、スムーズに導入できるようサポートしてくれます。

まとめ

デジタル化は、業務効率やコスト削減だけでなく、企業の将来にも大きな影響を与える重要な取り組みです。デジタル化をうまく進めるには、ただツールを導入すれば良いわけではありません。デジタル化を進める意図を全社員に理解してもらい、研修や教育を行う必要があります。

まずはできる部分から小さく始め、必要に応じて専門家の支援を受けながら、着実に進めていきましょう。